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「IKIGAI: 日本人だけの長く幸せな人生を送る秘訣」茂木 健一郎

2023/03/13公開 更新
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「IKIGAI: 日本人だけの長く幸せな人生を送る秘訣」茂木 健一郎


【私の評価】★★★★☆(84点)


要約と感想レビュー

脳科学者が、英語で「生きがい」について説明した一冊です。日本では「生きがい」とは当たり前すぎて、説明する必要性を感じませんが、「労働は苦役」と考える欧米では、目新しい視点なのかもしれません。著者は「生きがい」を「生きる喜び」、「人生の意味」と定義しています。そして「生きがい」は朝の空気、一杯のコーヒー、太陽の光といった生活の中の些細な物事に宿るとしています。


この本の最初に紹介しているのは、オバマ大統領に寿司を提供した寿司屋「すきやばし次郎」の職人の小野さんです。小野さんが「寿司を握りながら死にたい」と語っていたことを紹介し、仕事の中に宿る「生きがい」を説明しているのです。同じように「生きがい」は、年齢を重ねると重要なものとなっていきます。毎日空手の技術を磨いている102歳の空手の達人、週に三回家族のために魚を獲りに行く100歳の漁師、小さな孫娘を抱くことを「生きがい」とする102歳の女性を紹介しています。


・「生きがい」は、私的な喜びの中にある(p27)


日本における「生きがい」は、仕事へのこだわりという形で現れているものが多いように感じます。仕事を「生きがい」にする人は、その技を極めようとします。欧米人には、その努力はやりすぎだと感じられるかもしれません。しかし、そうした合理性を超えたところで完璧を目指すところに奇跡的な深みを生み、新しいジャンルさえ生まれるというのです。


例えば、「千疋屋(せんびきや)」という日本の高級フルーツ店の創業は1834年です。「千疋屋」では完璧なフルーツが売られています。マスクメロン、マンゴーなどが1万円を超える値段で売られているのです。日本に数百年続く企業が数多く存在することと、その仕事に完璧を追及していく姿勢とに関連があるように思われます。


・彼ら完璧の追求者は・・・他の人から見れば、その努力はやりすぎだと感じられるかもしれない(p53)


こうして「生きがい」を欧米人向けに文字で定義しようとする中で、幸福の定義にまで足を踏み込んでいっています。まず、幸せはお金で買うことができない、結婚も、社会的地位も、学問的成功も、実際には幸せの本質とはほとんど関係がないのではないかと問いかけるのです。


著者の主張は、「生きがい」つまり、幸せを感じるためには、自分自身を受け入れる必要があるということなのです。そのままの自分自身を受け入れることで、日々の生活の中に「生きがい」を見い出すことができる、というのです。よくまとまっていると思いました。茂木さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・「生きがい」は時に「朝、目を覚ます理由」と表現される(p32)


・アメリカの文筆家ダン・ベットナーは、「生きがい」とは健康で長生きするための精神の持ち方であると論じた(p19)


・日本人は、個人の欲望の抑制を、奥床しさや渋さ、また「足るを知る」というような一つの美の形にまで高めてきた(p106)


▼引用は、この本からです
「IKIGAI: 日本人だけの長く幸せな人生を送る秘訣」茂木 健一郎
茂木 健一郎、新潮社


【私の評価】★★★★☆(84点)


目次

"生きがい"とは何か
朝、目を覚ます理由
"こだわり"と小さく考えることがもたらすもの
"生きがい"の感覚的美しさ
フローと創造性
"生きがい"と持続可能性
人生の目的を見つける
あなたを殺さぬものがあなたを強くする
"生きがい"と幸福
あなたがあなたであるために、あなた自身を受け入れる
自分自身の"生きがい"を見つける



著者経歴

茂木健一郎(Ken Mogi)・・・1962(昭和37)年東京都生まれ。脳科学者。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。東京大学大学院物理学専攻課程を修了、理学博士。〈クオリア〉をキーワードとして、脳と心の関係を探究している。本書は、著者が英語で執筆した最初の書籍となる。


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