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「ヒトは食べられて進化した」ドナ・ハート ロバート W.サスマン

2019/04/30公開 更新
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ヒトは食べられて進化した


【私の評価】★★★☆☆(72点)


要約と感想レビュー

 私の原始人のイメージは、アニメ「はじめ人間ギャートルズ」の氷河期にマンモスを食べているもの。確かに40万年前までは人は狩猟をした証拠があり、10万年周期とされる氷期を狩猟もしながら生きてきたのです。ただ、それは火を使うようになった40万年前からのことであり、それまでは雑食であったと考えられているのです。


 なぜならば、人の消化器と歯は肉食に最適化されていないからです。火で焼いた肉を食べてたかだか40万年では、肉食に適応した進化ができていないということなのです。現代においても、肉食だけを続けていると病気になりやすいというのは、納得できるものだと思います。


・人間は肉食動物のような歯も消化器官ももち合わせていない・・人間の腸管は短い。したがって、どんな肉を食べる前にもまずは消化しやすいように火で処理しなければならなかった(p314)


 本書のタイトルは「ヒトは食べられて進化した」ですが、ただ食べられていたわけではありません。本当に多く食べられたとしたらヒトは絶滅していたでしょう。現代と同じように絶滅しない程度に食べられていたのです。


 人は10万年単位でゆっくりと進化していくようです。あと10万年経てば、パソコンに適応した人に進化するのでしょうか。ハートさん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・人類は何百万年にもわたって採食活動によって食物を獲得し、そのなかで進化してきた。そのころは、肉とはめったに手に入らないおまけのような食べ物だった・・・毎日肉を食べている人では、ほぼ完全な菜食を守っている人と比べて、大腸がんが2.5倍発生しやすい(p313)


・ボアズが算出した脳の大きさの変化速度には驚いてしまう。10万年ごとに20ccの脳組織(神経細胞約1億5600万個)が増えていた(p320)


・霊長類種の繁殖はゆっくりしている。妊娠期間が長く、生まれてくる子の数は多子ではなく一子であり、出産と出産の間隔が開いている・・したがって、霊長類集団全体として見れば必然的に捕食はまれな出来事となる(p71)


・体の大型化、社会集団、発声、知性、威嚇行動・・ヒト科にはこういった防御の仕組みが最初から組み込まれていて、実戦のなかで改良され続けてきたのだ(p224)


・もしヒト科がなされるがままの被害者だったなら、まちがいなく種として生き残れなかっただろう。ウサギなどの小型哺乳類は、たいていの肉食動物、ヘビ類、猛禽類の食事メニューに載っている被食者でありながら、今なお種として生き残っている。ウサギにはすばやく逃げる、すばやく「多産する」(一度にたくさんの子を生むうえに妊娠期間が短い)という戦略がある(p219)


・原生霊長類、たとえばヒヒの行動を見てみると、霊長類-捕食者対決において、同じく昼と夜とで立場が逆転する現象が確認できる。雄のサバンナヒヒは、日中は歯をむき出しにして捕食者めがけて飛びかかる。それどころか捕食者を殺した事例もかなりの数に上る・・・ヒヒがヒョウに対して積極果敢に報復した例が11例あがっていたが、そのうち4例でヒョウが殺されていた(p11)


・動物学者ジョージ・シャラー・・彼の結論によれば、捕食は被食者人口に対する重要な限定要因ではない。それどころか、ほとんど影響を与えない。なぜならば、ライオンのような捕食者がおもに手を出すのは、栄養不足や病気によってどのみち死を運命づけられている余剰動物だからだ(p53)


・恐れを感じるときの生理的なしくみ・・・瞳孔の拡大(危険に対して視覚を敏感にする)、肺の細気管支の拡張(酸素吸収を高める)、血圧と心拍の急上昇(脳と筋肉により多くの燃料を供給する)、肝臓のグリコーゲン分解(瞬時にエネルギーを供給する)、アドレナリンを含んだ血液の大放出(生理的防御体制を確実にする)、脾臓の収縮(必要なときに備えて白血球を送り出す)、膀胱と結腸を空にする準備(激しい動きを予測して)、消化器官の毛細血管の収縮(血液を筋肉へ向ける)、立毛(体毛が「逆立つ」奇妙な現象-おそらく体を大きくするため)。 以上のような反応はすべて、小脳扁桃という脳のなかのいわば原始的な部分の働きによって起こる(p106)


・コモドオオトカゲは威嚇もせずにいきなり人間を襲う・・・トカゲの口の中には病原菌が含まれているため、人間が傷を負わされると、敗血症を起こしてしまうのだ(p172)


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ヒトは食べられて進化した
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ドナ・ハート ロバート W.サスマン
化学同人
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【私の評価】★★★☆☆(72点)


目次

1章 ありふれた献立の一つ
2章 「狩るヒト」の正体を暴く
3章 誰が誰を食べているのか
4章 ライオンにトラにクマ、なんてことだ!
5章 狩りをするハイエナに腹をすかせたイヌ
6章 ヘビにのみ込まれたときの心得
7章 空からの恐怖
8章 私たちは食べられるのをぼうっと待っているだけではなかった
9章 気高い未開人か、血に飢えた野獣か
10章 狩られるヒト



著者紹介

 ドナ・ハート(Donna Hart )・・・自然保護の専門家として長年活動する。現在は、ミズーリ大学セントルイス校の特待生プログラム・人類学科の教員


 ロバート・W.サスマン( Robert Wald Sussman)・・・ワシントン大学(セントルイス)の自然人類学教授。American Anthropologist誌の名誉編集委員。人類学や霊長類学に関する多くの論文や著書がある


人類の進化関係書籍

人類進化の700万年」三井 誠
人類大移動 アフリカからイースター島へ
異常気象が変えた人類の歴史」田家 康
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ホモ・デウス」ユヴァル・ノア・ハラリ


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