「続 ムダな医療」室井一辰

| コメント(0) |

続 ムダな医療

【私の評価】★★★☆☆(75点)


■日米の医療には、
 大きな違いがあるといいます。


 日本は国民皆保険制度により
 安い保険料で国民すべてが
 医療を受けることができます。


 一方、米国では民間の保険だけであり、
 高い保険料のため一部の人しか
 医療保険をかけられない。


 例えば、米国ではMRIを受けると
 90万円請求され、保険がない人は
 90万円支払わなければならないのです。


 そうした背景を頭にいれつつ、
 米国では「Chooseing Wisely」(賢く選ぼう)
 米国医学会の動きがあるという。


・日本の国民医療費は2017年に42兆3644億円・・・
 一方で米国の医療費は、年間およそ300兆円・・・
 そんな中で不必要な医療が横行すると、
 保険料の上昇など、国民生活に大きな
 影響が及ぶことが懸念されていた(p27)


■それは「受けないほうがいい」
 「ムダと思われる医療」をリストとして
 各学会が発表しているもの。


 つまり、デメリットがメリットより
 大きいものや、メリットがほとんど
 ゼロである医療行為を公表しているのです。


 こうした情報により、
 医師と患者がお互いに納得できる
 対話ができるようになるというのが
 米国の考え方なのです。


・「精神病でない子供に、
 いきなり向精神薬を使わない」
 「風邪に抗菌薬を使うな」
 「ピルをもらうための膣内診は不要」
 「PETガン検診は控えよ」・・・
 驚くようなメッセージを世界的に著名な医学会が
 次々と発信していた(p21)


■米国でも日本のように
 不要と思われる検査や治療をしている場合が
 あるのだと思いました。


 もちろん個人個人の病状により
 判断がことなるのは当然のことですが、
 統計的なデータに基づく議論が
 必要なのではないかと思いました。


 医師に対して意見を言うと
 心象を害するのではないか、などと
 考える患者が多い日本ではなおさらでしょう。


 室井さん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・「大腸ガンの内視鏡検査は10年に1回でいい」
 「前立腺ガンの検診のためにPSAを測ってはいけない」
 「爪水虫の飲み薬はほとんどムダ」(p18)


・CT検査によって得られる情報の価値よりも
 放射線被ばくによる発ガンリスクの上昇の方が
 問題視されるケースは、実は数多くある(p24)


・米国泌尿器科学会は、子供の腎結石が
 疑われるときでも日常的にCT検査を
 行わないように推奨している。
 同学会が問題視しているのは
 放射線被ばくの影響だ(p103)


・放射線医学総合研究所のデータによると、
 1回のCT検査で受ける被ばくにより人体が受ける
 影響は5ミリシーベルトから30ミリシーベルト・・
 一般的な胸部X線検査(レントゲン検査)が
 1回当たり0.06ミリシーベルト・・・
 福島第一原子力発電所の作業員の被ばく量の
 データを見ると、2013年12月の最高値は
 10ミリシーベルト程度(p103)


・米国救急医学会(ACEP)は背中から脇腹にかけて、
 ちょうど腎臓のある辺りに痛みがあると訴えて
 救急に訪れた人で、過去に腎臓結石や尿管結石を
 患い、ほかの点では健康な50歳未満の人に対して、
 腹部や骨盤部分のCT検査をしないように
 求めている(p228)


・ガンの検診を慎重に行うように勧めている・・
 ガンかもしれないとなれば、追加の処置を
 行うこととなり、その処置によるリスクの方が
 問題なのだ。PET検査やCT検査では放射線で
 ガンを調べるので、放射線に被ばくし、
 ガンのリスクを高めることも分かっている(p74)


・米国医療ディレクターズ協会(AMDA)
 60歳以上では収縮期血圧が150mmHg未満、
 または拡張期血圧が90mmHg未満であれば、
 降圧薬による治療を開始しない(p87)


・米国看護学会は・・・入院中の寝たきりや
 イスでの座りっぱなしを控えるよう求めている・・
 入院した高齢者の65%が、
 入院中に歩く能力を失ってしまう・・
 歩く能力を失うと、その後にリハビリを
 受けざるを得なくなったり、
 介護を必要とするようになったり、
 転倒のリスクを高めたりする弊害がある(p92)


・米国睡眠医学会は、子供の睡眠障害を治すために
 薬を処方しないように勧めている。
 多くの場合、子供の睡眠障害の原因は、
 親子関係にあると考えられている(p122)


・米国婦人科腹腔鏡学会は、婦人科系の病気に対して、
 お腹を切る手術や、腹腔鏡を使った手術のほか、
 ロボットの補助を受けた手術を行うことが可能で、
 それが適切と考えられる場合には、お腹を大きく
 切る開腹手術を行わないよう求めている・・・
 さらに米国産婦人科科学会は、良性の婦人科系疾患が
 あるとき、腹腔鏡手術や膣からのアプローチで手術
 できるなら、ロボットの補助による腹腔鏡手術は
 避けるように求めている(p243)


・米国婦人科腹腔鏡学会は、リスクの低い
 腹腔鏡手術を行うときには、感染症予防のための
 抗菌薬を使わないよう求めている・・
 抗菌剤を投与するのが適切でないのは、
 卵巣を摘出する手術や、子宮内膜や
 子宮筋腫を取り除く手術など。
 必要以上に抗菌薬を使うと、薬の効かない
 耐性菌を増やすことを問題視している(p244)


・米国中毒学会・米国臨床中毒学会は、
 病気の治療や予防を目的とした腸洗浄や
 発汗促進などのデトックスを
 推奨していないと説明する。
 客観的な科学的根拠を基にした解毒効果が
 あるとは示されていないからだ(p258)


この記事が参考になったと思った方は、
クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓ 
blogranking.png


人気ブログランキングへ


続 ムダな医療
続 ムダな医療
posted with amazlet at 19.04.28
室井一辰
日経BP社
売り上げランキング: 7,266

【私の評価】★★★☆☆(75点)

[Amazonで購入する]

[楽天ブックスで購入する]


■目次

第1章 米国医学会が出した「衝撃のリスト」
第2章 最先端の「受けたくない医療」を一挙公開
第3章 待ったなし!ムダな医療を撲滅せよ



にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ第3位
にほんブログ村




この続きは無料メールマガジン 「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』:1ヶ月30冊を超える情報をe-Mailで」でお読みいただけます。

無料メルマガ購読

>月別(2002年7月~)