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日米医療の差に驚いた!「続 ムダな医療」室井一辰

2019/04/29公開 更新
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続 ムダな医療


【私の評価】★★★☆☆(75点)


要約と感想レビュー

米国では「ムダと思われる医療」を学会が発表

著者は、日米の医療には大きな違いがあるといいます。日本は国民皆保険制度により、安い保険料で国民すべてが医療を受けることができます。日本の医療費は40兆円、米国の医療費は300兆円。人口3倍と考えても、米国のほうが医療費が高いのです。


さらに米国では民間の保険だけであり、高い保険料のため一部の人しか医療保険をかけられないのです。例えば、米国ではMRIを受けると90万円請求され、保険がない人は90万円支払わなければならないのです。そうした中で、米国では「Chooseing Wisely」(賢く選ぼう)という米国医学会の動きがあるという。


それは「受けないほうがいい」「ムダと思われる医療」をリストとして各学会が発表しているものです。つまり、デメリットがメリットより大きいものや、メリットがほとんどゼロである医療行為を公表しているのです。こうした情報により、医師と患者がお互いに納得できる対話ができるようになるというのが米国の考え方なのです。


・「大腸ガンの内視鏡検査は10年に1回でいい」「前立腺ガンの検診のためにPSAを測ってはいけない」「爪水虫の飲み薬はほとんどムダ」・・・「精神病でない子供に、いきなり向精神薬を使わない」「風邪に抗菌薬を使うな」「ピルをもらうための膣内診は不要」「PETガン検診は控えよ」・・・驚くようなメッセージを世界的に著名な医学会が次々と発信していた(p21)


PET検査やCT検査で放射線に被ばく

例えば、米国看護学会は入院中の寝たきりやイスでの座りっぱなしを控えるよう求めているという。歩く能力を失うと、その後にリハビリを受けざるを得なくなったり、介護を必要とするようになったり、転倒のリスクが高くなったりするからです。また、米国睡眠医学会は、子供の睡眠障害を治すために薬を処方しないように勧めているという。多くの場合、子供の睡眠障害の原因は、親子関係にあると考えられているというのです。


米国で面白いのは、PET検査やCT検査の放射線被ばくの影響を重要視していることでしょう。例えば、米国泌尿器科学会は、子供の腎結石が疑われるときでも日常的にCT検査を行わないように推奨しています。また、ガンの検診を慎重に行うように勧めているのは、仮にガンかもしれないとなって、追加のPET検査やCT検査で放射線に被ばくし、ガンのリスクを高めることもあるとしているという。


米国でも日本のように不要と思われる検査や治療をしている場合があるのでしょう。もちろん個人個人の病状により判断がことなるのは当然のことですが、統計的なデータに基づく議論が必要なのではないかと思いました。医師に対して意見を言うと心象を害するのではないか、などと考える患者が多い日本ではなおさらでしょう。室井さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・米国婦人科腹腔鏡学会は、リスクの低い腹腔鏡手術を行うときには、感染症予防のための抗菌薬を使わないよう求めている・・抗菌剤を投与するのが適切でないのは、卵巣を摘出する手術や、子宮内膜や子宮筋腫を取り除く手術など。必要以上に抗菌薬を使うと、薬の効かない耐性菌を増やすことを問題視している(p244)


・米国中毒学会・米国臨床中毒学会は、病気の治療や予防を目的とした腸洗浄や発汗促進などのデトックスを推奨していないと説明する。客観的な科学的根拠を基にした解毒効果があるとは示されていないからだ(p258)


続 ムダな医療
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室井一辰
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【私の評価】★★★☆☆(75点)


目次

第1章 米国医学会が出した「衝撃のリスト」
第2章 最先端の「受けたくない医療」を一挙公開
第3章 待ったなし!ムダな医療を撲滅せよ


著者経歴

室井 一辰(むろい いっしん)・・・医療経済ジャーナリスト。大手出版社を皮切りに、医学専門メディアや経営メディアなどで全国の病院や診療所、営利組織、公的組織などに関する記事を執筆。米国、欧州などの医療、バイオ技術の現場を取材。


日本の医療問題関連書籍

「医療経済の嘘」森田 洋之
「続 ムダな医療」室井一辰
「医療の限界」小松 秀樹
「大往生したけりゃ医療とかかわるな」中村 仁一
「神の手の提言―日本医療に必要な改革」福島 孝徳
「在宅医療の真実」小豆畑 丈夫


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