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「神の手の提言―日本医療に必要な改革」福島 孝徳

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「神の手の提言―日本医療に必要な改革」福島 孝徳


【私の評価】★★★★★(93点)


要約と感想レビュー

 福島先生は、大学の教授選考会で拒否され、アメリカで大学教授となる道を選びました。日本では実力よりも、同窓会の圧力や人脈、金脈で医学部の教授は決まるのだという。


 福島先生が許せないことは、そうした実力のない大学の教授や大病院の部長が絶対にしてはいけない手術をして、患者さんが寝たきり状態になったり、完治せずに福島先生に相談に来ることです。そもそも日本にはレベル7~10の脳腫瘍の手術をできる人は、5人くらいしかいない状況であり、経験不足で能力のない医師が行う「犯罪」のような手術の尻拭いを福島先生はいくつも施術してきたのです。


 さらに最悪なのが、日本の大学教授の閉鎖性で、「福島孝徳の手術を見学に行ったら破門」としている教授がいるというのです。閉鎖的で向上心のない無責任な教授や医師が、現実に存在するのです。


・自分が適切な脳外科手術ができないのなら、できる医師に委ねるべきですが・・・自分のところに囲い込んでしまうのです(p26)


 福島先生の提案は、医師を技術レベルでランク付けすることです。さらに家庭医、開業医は1年50時間の教育を受けることを義務化させる。できればアメリカのように1~3年ごとに試験により医師免許の更新を行うのが望ましいと提案しています。


 また、大学の医学部では欧米のように臨床実習を2倍にすること。学生が自分でカリキュラムを選べるようにする。このように患者さん第一の提案をする福島さんは、業界第一の日本の医師会や厚生労働省からは嫌われるのでしょう。


・それぞれの専門医に対し、本人が行った症例の種類と件数、全治率、合併症率で・・・分けるのです(p162)


 最後に、日本の医療費はアメリカの半分(GDP比)であり、さらに削減が進められています。日本の医療は医師と看護師が長時間労働と安い診療報酬に耐えることで支えられているのです。福島先生の具体的提案は、診療報酬の増額です。過疎地の勤務医の年俸を3倍にすること、医師不足と言われている産科や小児科は診療補修を5倍にすることです。


 その一方で、軽症の人が大病院に行くことを減らさなければならないし、余命が限られた高齢者の医療も見直しが必要なのでしょう。10年以上前の書籍ですので、現在もそうなのかわかりませんので、日本医師会を含めて医学界について調査を続けます。福島さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・「福島の手術を見に行った医局員は破門だ」という教授のお達しが出ているところがある(p30)


・不親切でいばった態度になる医師がいるのも事実です・・・必要なのは、自分や大切な人を診ている医師が、どれだけの技量をもち、どれだけ患者さんのことを考えているかを見抜く力です(p170)


・厚労省の保険支払いが安すぎて・・薄利多売の能力のない大病院は儲かるのに、患者さんのために最高の施設を作って、最高の治療を行うことが、哀しいかな大赤字につながるのです(p185)


・何でもかんでもガンマナイフを使う脳外科医がいる・・・厚労省がガンマナイフの診療報酬点数を引き下げ、50万円しか払ってくれなくなった(p143)


・診療報酬の引き下げで必要な手術器具、材料が買えない、医師がやとえない(p82)


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▼引用は、この本からです
「神の手の提言―日本医療に必要な改革」福島 孝徳
福島 孝徳,角川グループパブリッシング


【私の評価】★★★★★(93点)



目次

第1章 こんな医師にあなたの命は救えるのか!?
第2章 能力のない医師が増えていく日本のシステム
第3章 日本は先進国最低レベルの医療費国家だ!
第4章 日本の脳外科医に伝えたいこと
第5章 賢い患者が名医に出会える!
おわりに すべてを患者さんのために


著者紹介

 福島 孝徳(ふくしま たかのり)・・・1942年東京生まれ。68年東京大学医学部卒業。1980年、三井記念病院脳神経外科部長。鍵穴手術を確立する。1991年渡米。医学の名門・デューク大学をはじめ世界各国で教授職を務める。現在も年間約600件の手術を行い、世界トップの脳外科医として活躍中。


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