「医療の限界」小松 秀樹

|

医療の限界 (新潮新書)

【私の評価】★★★★☆(85点)


■秋田県でも医師が辞めるなどして
 市民病院などの運営が難しくなっているとの
 報道がありました。


 この本は、現在、医師が直面している
 医療事故による訴訟リスク、
 長い勤務時間、大学病院を含めた医師の教育の
 問題を示した一冊です。


■まず、全体的な傾向として
 大学病院や市民病院などから小規模の病院に
 医師がシフトしているのは事実のようです。


 労働時間と収入、そして訴訟リスクを考えれば、
 当然の結果なのでしょう。


 そのため医師不足、看護婦不足の病院が
 増える傾向にあるわけです。


・全国の意思がリスクの高い病院診療から、小規模の病院に、
 さらに、開業医にシフトし始めています。
 患者との紛争、労働時間、収入とあらゆる面で開業医が
 有利でした・・・しかし、これからは開業も楽ではない(p190)


■また、大学病院にも問題が多いようです。


 この本で指摘しているのは、
 「手術のできない外科教授がいる。」
 「大学院生を研修医として安い給与で酷使している」
 「論文だけで評価されて、実際の能力で評価していない」
 といったところです。


・医局によっては、大学院を修了して学位を得ると
 人事上、 優遇されます。
 それは医師としての能力とは全く関係ないのです。
 基礎研究の学位で、臨床医としての
 ポジションを得るということが、
 人事の論理をゆがめ、ひいては医師としての
 責任感にまで影響を与える(p132)


■お医者さんの世界を、
 少し見ることができました。


 小松さん、
 よい本をありがとうございます。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・「日本では恨みで医事紛争になる。
 アメリカではお金が目的になる。
 アメリカの意思は、紛争が表ざたになる前に、
 患者にお金を渡すことが多い」
 と聞きました。(p59)


・アメリカやヨーロッパでは、
 基礎研究の多くは学位を持った理学、薬学あるいは
 農学部の出身者が担っています。
 しかし、日本の大学は、臨床医であっても
 基礎研究を重視します・・・
 「手術ができない外科教授」は、
 決してめずらしくないのです(p129)

 
・大学病院では、研究はなおざりで、
 基本的に臨床医として働くことになる。
 医師として働いても、ほとんど給与ももらえずに
 (月に四~五万円)、逆に授業料を払うのです。
 死亡した女性患者を担当していた研修医は、
 四日連続で当直していました(p136)


・パチンコ産業の市場規模は年間約三十兆円ですから、
 医療費とほぼ同じぐらいです。
 葬儀関連の費用も十数兆円と
 いわれています。(p153)


医療の限界 (新潮新書)
小松 秀樹
新潮社
売り上げランキング: 5303
おすすめ度の平均: 4.0
1 医者と一般人との乖離を感じた
4 医療は、不確実性と限界を理解してもらうことで、医師と患者の不毛な対立を防ぐ必要がある。
5 医療の現場と医師の意見を知る良書
5 現場の悲鳴
4 医療が直面する壁

【私の評価】★★★★☆(85点)



楽天ポイントを集めている方はこちら



読んでいただきありがとうございました!

いつも応援ありがとうございます
人気ブログランキング
に投票する

人気ブログランキングへblogrankings.png


メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」
44,000名が読んでいる定番書評メルマガです。購読して読書好きになった人が続出中。
もちろん登録は無料!!
        配信には『まぐまぐ』を使用しております。



お気に入りに追加
本のソムリエ公式サイト一日一冊:今日の名言



この続きは無料メールマガジン 「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』:1ヶ月30冊を超える情報をe-Mailで」でお読みいただけます。

無料メルマガ購読

>月別(2002年7月~)