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「フェイズ3の眼」柳田 邦男

2010/05/26公開 更新
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フェイズ3の眼 (〔正〕)


【私の評価】★★☆☆☆(66点)


要約と感想レビュー

 「フェイズ3の眼」とは、冷静でもなく、かといって慌てるでもない、ちょうどいい緊張状態のことです。この本では、そうした精神状態を切り口にした、柳田さんの世の中を切るエッセーとなっています。


 1984年の本ですので、ちょうどバブル絶頂期であり、日本が元気の良かった時代です。大韓航空機をサハリン沖でソ連空軍が撃墜した話題などが含まれており、時代を感じさせてくれる一冊です。その後、アメリカから超円高攻撃、アメリカ製品を買え要求などにより、日本の成長が止まるのです。


・日本は多くの商品分野で世界市場に進出し、その経済活動は、欧米諸国に比べはるかに活気があるが、はたして日本はさらに飛躍して、世界の指導国の地位にのし上がっていくのか、それとも、このあたりで頭打ちとなって、やがて衰退するのか(p80)


 冷静では動きが鈍くなる。慌ててしまってはミスをする。その中間、中庸の心のようなちょうど良い精神状況が「フェイズ3」で大切ということでしょう。よく分かるようでわからなのですが、柳田さん、よい本をありがとうございます。


この本で私が共感した名言

・アメリカ人は四年ごとに規則正しく大統領選挙があるので、その前後関係から、年号を覚えやすいのではないか、と思う。(p16)


・アメリカ中央情報局(CIA)の報告によると、世界平均で耕地一ヘクタール当たりで養わなければならない人口は、1970円代前半には2.6人であったのに、2000年には、人口爆発の結果、4.0人へと増えてしまう。農業の生産性が多少向上したとしても、巨大な食糧危機が生じることは避けられない見通しである。(p64)


フェイズ3の眼 (〔正〕)
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柳田 邦男
講談社
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【私の評価】★★☆☆☆(66点)



目次

1 新発想を生むフェイズ3
2 歴史と政治を見るフェイズ3
3 事故・災害の中でのフェイズ3
4 医と心を考えるフェイズ3
5 事件を読むフェイズ3
6 大韓航空機事故をめぐるフェイズ3
7 私事についてのフェイズ3


著者経歴

 柳田 邦男(やなぎだ くにお)・・・1936年栃木県生まれ。NHK記者を経て作家活動に入る。72年『マッハの恐怖』で第3回大宅壮一ノンフィクション賞、79年『ガン回廊の朝』で第1回 講談社ノンフィクション賞、95年『犠牲(サクリファイス)わが息子・脳死の11日』などで菊池寛賞、97年『脳治療革命の朝』で文藝春秋読者賞を受賞


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