「ラストホープ 福島孝徳 「神の手」と呼ばれる世界TOPの脳外科医」福島孝徳
2004/05/26公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(95点)
要約と感想レビュー
この本は昨日の夜、手にしてから、私らしくもなく睡眠時間を減らして読みきった本です。なぜなら、この本を「早くみなさんにお伝えしたい!」と思ったからです。横になっても、少し興奮して考えていました。「すごい日本人がいるものだ、どうやって、みなさんに伝えよう、どうすればこの本を買ってくれるだろう?」
普通、脳神経外科医は手術をどれくらいするのでしょうか。週1,2回だそうです。ところが福島孝徳先生は年900回。桁違いです。一日に平均3件の手術を世界中でしている計算になります。これだけの手術をして、少し後遺症がでる確率は普通の医者の五分の一なのですからその技術は世界一といえます。
これだけの手術数をこなすために、朝8時から夜11時まで手術をするのはたいへんなことです。福島さんは患者からの感謝の言葉、笑顔が自分を動かすのだといいます。「すべては患者さんのため。」なのです。
このような人が日本人にいることをうれしく思うとともに、福島さんが本当のプロとして活躍できるようになったのはアメリカに行ってからなのです。優秀な人を潰してしまう日本の医学界の仕組みが、少し怖くなりました。福島さんについて、もっと知りたくなったので、★5とします。
この本で私が共感した名言
・神の手を持っていないからこそ、手術の時に祈るんです。「神様、どうかこの人を救ってください」「どうか、私にこの人を救う力を貸してください」とね。(p12)
<リンカーンは夜、自分にこの状況に対応できる能力をお与えください、と祈っていたといいます。力を最後まで徹底的に努力した人は、最後に祈るようです。どうか神様、私に力を貸してくださいと。>
・私はね、自分の技術とか力に絶対の自信を持っています。だから、私が手術をすることで少しでも良くなる人がいたら、どこにだって行く。・・・だけど、結局いくつかの病院以外では声をかけてこない。(p42)
<患者より自分のメンツが大切な病院が、まだまだたくさんあるようです。>
・アメリカでは年間、GNPの約15%が医療費として医療機関に支払われています。ところが日本はGNPの七%しか払われていない。・・・医療に真剣に携わっている人たちが、その労働や努力に見合うだけの報酬を得ていないのだとしたら、どうなると思います?(p47)
<医師会は悪いイメージがありますが、もう少し医療費を増やしてもいいのかなと感じました>
・若い人にいつも言うのは、・・・私の持っているものは、すべて教えるので、少なくとも私と同じか、私よりうまい手術ができなければいけないということです。私の言ったことはすべて取り入れ、よく聞いたうえで、疑問に思ったり、もっと良い方法があったら教えてください。私はいつでもあなたたちから学ぶ準備ができていますと言っています。(p53)
<恐るべき学ぼうとする姿勢ですね。これも、すべては患者さんのためにです>
・私は常々思うんです。医師という仕事ほど適正というものが厳しく問われるべき職業はない、と。とりわけ外科部門は患者さんの身体にメスを入れるわけです。患者さんの生命の危機、リスクがいつも隣り合わせにある仕事です。「誰でも彼でもなれちゃう」状況でいいはずもない。「臨床経験をろくに問われずに医師になれる」ことが許されていいはずがないのです。(p196)
<日本では医学部を出れば、誰でも彼でも医師になれるのです>
・そうした害悪の根源が閉鎖的かつ封建的な医局主義にあります。患者さんを治すことよりも、自分たちの名誉やメンツを重んじる。若手育成においても本人の技量や成果より、上に対する従順さや、世渡りのうまさで人材登用がなされる結果、優秀な若い医師たちが埋もれていってしまう。そうした結果、損失を被るのはいつも患者さんたち、という現実が今も続いています。(p199)
・確かに日本の医療の世界には歪みや害毒が無数にある。だけれど、今すぐにだってできることはあるんです。少なくとも「自分はどこで誰に何を学びたいか」を選ぶことはできるはずだし、それを行動に移すことができるはずです。私で役に立てることがあるなら協力します。どうか、人に頼らず、人を活用して、自分を高めようという志を実現するべく行動を起こしてください。(p206)
<まず、自分ができることを考え、実行していくとうことですね。他人と過去は変えられない、自分と未来は変えられる、ですね>
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【私の評価】★★★★★(95点)
目次
第1章 ブラック・ジャックと呼ばれて
第2章 人間・福島孝徳
第3章 世界一の手術師
第4章 日本医療界を改革せよ
第5章 名医を探せ!
著者経歴
福島孝徳(ふくしま たかのり)・・・アメリカ合衆国在住の日本人医師。脳腫瘍に対する「鍵穴手術」の考案者として知られる。カロライナ脳神経研究所、デューク大学、ウェストバージニア大学、カロリンスカ研究所、マルセイユ大学、フランクフルト大学教授を兼任
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