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「人類進化の700万年」三井 誠

(2018年9月20日)|本のソムリエ メルマガ登録
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人類進化の700万年 (講談社現代新書)

【私の評価】★★★★☆(86点)


■NHKスペシャル「人類誕生」を見て、
 興味を持ち、人類進化について
 3冊ほど入手。


 ちょっと古いのですが、
 この本が一番まとまりの
 良い本でした。


 この本の良いところは、
 分かっていること、
 推察していること、
 分からないことを
 明確にしていることでしょう。


・人類。毛が薄くなった時期を明かす化石は、残念なことに見つかっていない・・・現代の研究者たちは、長い距離を歩いたり走ったりするようになった原人の時期と考えている(p84)


■面白いところは、
 夜行性となって生き延びた人類が、
 後に再度、色覚を獲得したこと。


 遺伝子の突然変異から
 ビタミンCを体内で作れなくなったり、
 血液中の尿酸が増えたり、
 アルコールへの耐性も変わる。


 こうした突然変異の中で
 生き残った人類が
 その遺伝子を伝えてきているのです。


 まさに遺伝子という
 オプション設定装置を少しずつ
 切り替えながら人類は
 試行錯誤しているのです。


・恐竜時代に生活の場を夜に移した哺乳類では、このうち二つ、緑と青のセンサーを作る遺伝子がダメになってしまった・・人類はいかにして、色覚を取り戻したのだろうか。この変異も、人類とニホンザルなどが未分化だった数千万年前にさかのぼる(p222)


■限られた情報から推測している部分も
 多いのだなと思いました。
 実際に、化石の捏造もある。


 そうした限られた情報の中から
 人類の歴史を推察していくことは
 とても面白いと思いました。


 三井さん
 良い本をありがとうございました。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・一般にサルと呼ばれる霊長類が繁栄するのは、約6500万年前以降のこと・・・この時代は白亜紀末と呼ばれ、恐竜が絶滅したころだ(p62)


・700万年前 直立二足歩行、犬歯の縮小
 400万年前 歯のエナメル質の厚み増大
 250万年前 石器の作製・・
 200万年前 体毛の喪失・・
 180万年前 アフリカから出る
  80万年前 火の使用
 7.5万年前 シンボル・・言語の使用(p15)


・大きな犬歯は、食べ物を噛み砕くよりも、戦いに役立つ。犬歯が発達していなければ、オスはメスを獲得するのも、ままならない(p16)


・不思議なことに、チンパンジーの化石は全く見つかっていない・・・例外的に約950万年前の化石(サンブルピテクス)が見つかっているが、これは上あごの骨が一つ出ているだけ・・(p47)


・4万~3万年前のヨーロッパ。ネアンデルタール人と現生人類のクロマニョン人が共存していたらしい・・・クロマニョン人は「ホモ・サピエンス」の地域集団という位置づけだ。1万数千~約3000年前の日本列島にいた現生人類を「縄文人」と呼ぶのと同じような意味合いを持つ名称だ(p127)


・壁画は、フランス南東部のショーベ洞窟で見つかっている。年代は約3万年前・・・有名なアルタミラやラスコーの壁画は1万7千~1万2千年前のものだ。これらよりも1万年以上古い(p136)


・約1500万年前・・・「尿酸酸化酵素」・・UOX遺伝子が働かなくなったために、尿酸が分解されずに血中に出てくるようになった。この尿酸が過剰になり、関節で結晶になるのが「痛風」だ・・・類人猿は血中の尿酸のおかげで、活性酸素の害を抑え長生きできるようになった可能性がある(p217)


・ビタミンCを体内で作れなくなった祖先のサルだが、その生活環境に豊富なビタミンCがあったため、この変異は致命的にならず現在まで生き延びられているのだろう。ビタミンCを体内で作れない動物は、ほかにもモルモットやゾウなどが知られている(p219)


・下戸タイプと酒豪タイプを分けているのは、たった一個の塩基の違いに過ぎない・・・日本人では約4割が"下戸タイプ"の遺伝子を持つと推測されている。欧米やアフリカでは、下戸タイプを持つ人はほとんどいない(p230)


・オランウータンと、人類やほかの大型類人猿が枝分かれした年代を化石の証拠をもとに1600万~1200万年前と推定し・・・オランウータンと人類との遺伝的な差である約3.1%が生み出されたとすると、1%の違いが出るには387万~516万年間かかることになる・・人類とチンパンジーが分かれた年代は、「1.2%×500万年」により約600万年前となる(p239)


・男性の履歴を追うY染色体、女性の履歴を追うミトコンドリア・・Y染色体では際立った地域差は見つけられなかったのに対し、ミトコンドリアには南北で遺伝情報に差があった。男性が活発に移動し地域ことにY染色体の遺伝情報の差がなくなっている一方で、女性はそれぞれの集団にとどまる傾向が強く地域差が目立つらしい(p251)


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■目次

第1章 人類のあけぼの
第2章 人間らしさへの道
第3章 人類進化の最終章
第4章 日本列島の人類史
第5章 年代測定とは
第6章 遺伝子から探る
終 章 科学も人間の営み



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