「人類進化の700万年」三井 誠

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人類進化の700万年 (講談社現代新書)

【私の評価】★★★★☆(86点)


■NHKスペシャル「人類誕生」を見て、
 興味を持ち、人類進化について
 3冊ほど入手。


 ちょっと古いのですが、
 この本が一番まとまりの
 良い本でした。


 この本の良いところは、
 分かっていること、
 推察していること、
 分からないことを
 明確にしていることでしょう。


・人類。毛が薄くなった時期を明かす化石は、
 残念なことに見つかっていない・・・
 現代の研究者たちは、長い距離を歩いたり
 走ったりするようになった原人の時期と
 考えている(p84)


■面白いところは、
 夜行性となって生き延びた人類が、
 後に再度、色覚を獲得したこと。


 遺伝子の突然変異から
 ビタミンCを体内で作れなくなったり、
 血液中の尿酸が増えたり、
 アルコールへの耐性も変わる。


 こうした突然変異の中で
 生き残った人類が
 その遺伝子を伝えてきているのです。


 まさに遺伝子という
 オプション設定装置を少しずつ
 切り替えながら人類は
 試行錯誤しているのです。


・恐竜時代に生活の場を夜に移した哺乳類では、
 このうち二つ、緑と青のセンサーを作る
 遺伝子がダメになってしまった・・
 人類はいかにして、色覚を取り戻したのだろうか。
 この変異も、人類とニホンザルなどが
 未分化だった数千万年前にさかのぼる(p222)


■限られた情報から推測している部分も
 多いのだなと思いました。
 実際に、化石の捏造もある。


 そうした限られた情報の中から
 人類の歴史を推察していくことは
 とても面白いと思いました。


 三井さん
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・一般にサルと呼ばれる霊長類が繁栄するのは、
 約6500万年前以降のこと・・・この時代は
 白亜紀末と呼ばれ、恐竜が絶滅したころだ(p62)


・700万年前 直立二足歩行、犬歯の縮小
 400万年前 歯のエナメル質の厚み増大
 250万年前 石器の作製・・
 200万年前 体毛の喪失・・
 180万年前 アフリカから出る
  80万年前 火の使用
 7.5万年前 シンボル・・言語の使用(p15)


・大きな犬歯は、食べ物を噛み砕くよりも、
 戦いに役立つ。犬歯が発達していなければ、
 オスはメスを獲得するのも、ままならない(p16)


・不思議なことに、チンパンジーの
 化石は全く見つかっていない・・・
 例外的に約950万年前の化石(サンブルピテクス)
 が見つかっているが、これは
 上あごの骨が一つ出ているだけ・・(p47)


・4万~3万年前のヨーロッパ。
 ネアンデルタール人と現生人類のクロマニョン人が
 共存していたらしい・・・
 クロマニョン人は「ホモ・サピエンス」の
 地域集団という位置づけだ。
 1万数千~約3000年前の日本列島にいた
 現生人類を「縄文人」と呼ぶのと同じような
 意味合いを持つ名称だ(p127)


・壁画は、フランス南東部のショーベ洞窟で
 見つかっている。年代は約3万年前・・・
 有名なアルタミラやラスコーの壁画は
 1万7千~1万2千年前のものだ。
 これらよりも1万年以上古い(p136)


・約1500万年前・・・「尿酸酸化酵素」・・
 UOX遺伝子が働かなくなったために、
 尿酸が分解されずに血中に出てくるように
 なった。この尿酸が過剰になり、
 関節で結晶になるのが「痛風」だ・・・
 類人猿は血中の尿酸のおかげで、
 活性酸素の害を抑え長生きできるように
 なった可能性がある(p217)


・ビタミンCを体内で作れなくなった祖先のサルだが、
 その生活環境に豊富なビタミンCがあったため、
 この変異は致命的にならず現在まで
 生き延びられているのだろう。
 ビタミンCを体内で作れない動物は、ほかにも
 モルモットやゾウなどが知られている(p219)


・下戸タイプと酒豪タイプを分けているのは、
 たった一個の塩基の違いに過ぎない・・・
 日本人では約4割が"下戸タイプ"の遺伝子を
 持つと推測されている。欧米やアフリカでは、
 下戸タイプを持つ人はほとんどいない(p230)


・オランウータンと、人類やほかの大型類人猿が
 枝分かれした年代を化石の証拠をもとに
 1600万~1200万年前と推定し・・・
 オランウータンと人類との遺伝的な差である
 約3.1%が生み出されたとすると、
 1%の違いが出るには387万~516万年間かかることになる・・
 人類とチンパンジーが分かれた年代は、
 「1.2%×500万年」により約600万年前となる(p239)


・男性の履歴を追うY染色体、
 女性の履歴を追うミトコンドリア・・
 Y染色体では際立った地域差は
 見つけられなかったのに対し、
 ミトコンドリアには南北で遺伝情報に差があった。
 男性が活発に移動し地域ことに
 Y染色体の遺伝情報の差がなくなっている一方で、
 女性はそれぞれの集団にとどまる
 傾向が強く地域差が目立つらしい(p251)


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■目次

第1章 人類のあけぼの
第2章 人間らしさへの道
第3章 人類進化の最終章
第4章 日本列島の人類史
第5章 年代測定とは
第6章 遺伝子から探る
終 章 科学も人間の営み



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