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【書評】左派野党・メディアと役所の「利権のトライアングル」髙橋洋一、原英史

2025/03/27公開 更新
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「利権のトライアングル」髙橋洋一、原英史


【私の評価】★★★★☆(87点)


要約と感想レビュー


毎日新聞の印象操作報道

利権のトライアングルとは、メディア、役所、左派野党が利権を守るために連携して、改革や敵を潰す現代の手法です。役所が材料を提供して、メディアが報道して、それを野党が国会で追求するというサイクルを回すのです。


国家戦略特区座長代理だった原英史氏は、2019年6月11日の毎日新聞朝刊の一面トップに「特区提案者から指導料」「WG委員支援会社200万円、会食も」と報道され、疑惑の中心人物にされました。原英史氏は、会食はしていないし、謝礼をもらったこともなかったという。


毎日新聞は事前に原氏に取材し、そうした事実を把握していたにも関わらず、毎日新聞の記事では、原氏の顔写真入りのカネの流れや協力関係を示すチャート図が掲載されており、あたかも原が犯人であるかのように報道されたのです。


チャート図で原さんの顔写真だけをでかでかと出し、「もし公務員だったら贈収賄です」なんていうコメントまで出して、何か悪いことをしたのではないかと匂わせる(p33)

毎日新聞と篠原孝議員と森ゆうこ議員が有罪

その後、国民民主党(その後、立憲民主党)の篠原孝議員は自身のブログに「国家戦略特区は安倍政権による新たな「利権」を生むだけ「政僚」原英史の跋扈を許す制度は廃止すべし」と投稿したのです。


また、立憲民主党の森ゆうこ議員は、予算委員会で「支援会社が200万円、原座長代理に対して支払い、会食も行っていた」という記事を取り上げ、二回目の時は、原氏の顔写真を掲載したパネルまで用意し追求しました。森ゆうこ議員は2019年11月7日の質疑で原氏の自宅住所の情報が掲載された資料を配布し、それをそのままツイッターで拡散までしたという。


裁判では、毎日新聞側は「原が200万円を受け取ったとは書いていない」と主張しています。毎日新聞の印象操作の技術は、ウソでもうまく書けば、裁判で勝てる洗練されたものなのです。結局、裁判では「200万円」に関しては「記事にそうとは書いてないので、名誉棄損にあたらない」となり、会食接待のところが名誉毀損として毎日新聞と篠原孝議員と森ゆうこ議員が有罪となったのです。


「火のないところに煙は立たない」というが、マスコミと国会議員がつるむと違う。火のないところにも火をつけて火事にできるのだ(p9)

安倍晋三政権打倒という共通目標

ではなぜ毎日新聞は、報道機関として死を意味する、印象操作報道を行ったのでしょうか。高橋氏の仮説は、2017年の森友学園、加計学園問題、2019年5月の「桜を見る会」問題、そして2019年6月の原氏の記事は安倍晋三政権打倒という一つの目標に向かう役所、メディア、左派野党の活動の一環であったというものです。


例えば、加計学園問題では、文科省の「通達」で医学部、歯学部、獣医学部などの新設の申請を認めないという既得権があったものです。そうした中、加戸愛媛県知事が、地域に獣医師が少なく、鳥インフルや狂牛病、口蹄疫の対応に苦労したため、愛媛県に獣医学部の新設を望んだだけなのに、メディアは「安倍案件」として印象操作の技術を駆使して批判を続けたのです。


状況証拠になりますが、過去にはメディアと野党は規制改革を好意的に取り上げていました。つまり、自民党が既得権益を擁護し、民主党は改革を推進していたのです。ところが、改革を行う安倍政権が長期政権となってしまったため、旧民主党勢力は安倍政権を潰すために、「改革反対」に転向し、朝日新聞や毎日新聞もそれに追随したわけです。


野党とメディアと役所には、日本を良くしようとか、安定した国にしようという目的以外の目的があることが、垣間見えるのです。


内閣人事局は・・・第二次安倍政権と菅内閣でかろうじて何とかなってきたのです。だから役所の「安倍許すまじ」の負のエネルギーや恨みはすごいですよ(高橋)(p139)

重要土地利用規制法を潰す方法

著者の高橋さんは、コロナ禍の中での「さざ波」発言で、内閣官房参与を辞任しています。実は当時、重要土地利用規制法という自衛隊の基地や駐屯地周りや原発基地周辺、離島など重要な土地については売買に制限を設けるという法案が審議されていたのです。


高橋氏の推定では、重要土地利用規制法を通したくない野党が、マスコミと連動して高橋氏の「さざ波」発言を国会で取り上げで、重要土地利用規制法案の審議を時間切れに持ち込もうとしたとしています。


なるほど、当時はなぜ「さざ波」発言がそんなに問題となるのか訳がわかりませんでしたが、そうした背景があるとすれば、あり得る話だと思います。高橋さん、原さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・西山事件とは1971年の沖縄返還協定に関して、毎日新聞政治部の記者だった西山太吉が外務省職員の女性と強引に性的関係を結んで、それをテコにして機密情報を入手し、これを野党の国会議員に漏洩して、野党議員が国会で追求した・・西山自身も国家公務員法違反により最高裁判所で有罪判決を受けています(p84)


・唯一反省しているのは毎日新聞の口頭取材を受けてしまったことです。すごくまじめに、真摯に対応したつもりだけれど、むしろそれが失敗でした・・記者はそれを恣意的に切り貼りして、あたかも私が問題のあることを認めたかのような記事に仕立て上げた(p41)


・考えられる防衛策としては、相手が取材に来たときに録画するなりして「ユーチューブに流します」と相手にも告知して牽制するくらいはやらないと、こういう歪曲は防げない(高橋)(p41)


・最初は「原さんって素晴らしいですよね」「原さんの功績を記事にしたい」などと言って取材にくる・・話しているとその最中に突然、「原さんにおカネを渡していませんか」と言い出す(p43)


▼引用は、この本からです
「利権のトライアングル」髙橋洋一、原英史
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髙橋洋一、原英史、産経新聞出版


【私の評価】★★★★☆(87点)


目次

第1章 毎日新聞による報道被害
第2章 利権のトライアングル
第3章 規制改革を潰すのは誰か
第4章 役所という伏魔殿
第5章 メディアと政治の改革



著者経歴

髙橋洋一(たかはし よういち)・・・株式会社政策工房会長、嘉悦大学教授。1955年、東京都生まれ。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年、大蔵省(現・財務省)入省。大蔵省理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、内閣参事官(首相官邸)などを歴任。小泉純一郎内閣・第1次安倍晋三内閣で経済政策のブレーンとして活躍。菅義偉内閣で内閣官房参与を務めた。


原英史(はら えいじ)・・・株式会社政策工房代表取締役社長。通商産業省(現・経済産業省)入省後、中小企業庁制度審議室長、規制改革・行政改革担当大臣補佐官などを経て退職。2009年に株式会社政策工房を設立。第二次安倍晋三内閣では規制改革推進会議委員、国家戦略特区ワーキンググループ座長代理などを務めたほか、大阪府・市特別顧問、NPO法人万年野党理事、外国人雇用協議会代表理事なども務める。


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