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「嘘と感情論で封殺された5つの日本の真実」高橋洋一

2022/01/07公開 更新
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「嘘と感情論で封殺された5つの日本の真実」高橋洋一


【私の評価】★★★★★(93点)


要約と感想レビュー

 アベノマスクが倉庫に大量に余っており、保管に年6億円かかっていることがニュースとなっていました。これは酷いと思っていたら、高橋洋一Youtubeチャンネルで、余っているのは全戸配布用ではなく介護施設用で、介護施設用はあえて多めに作ったものであり、会計検査院も問題にしていないとの解説がされていました。こうした事実を隠して報道するマスコミは、いつものことながら存在すること自体が罪なのではないかと、がっくりしながらこの本を購入しました。


 日本のマスコミが批判する政府のコロナ対応については、「日本はコロナ封じ込め「失敗国」なのか?」と問題提起し、日本は財政支援も先進国中でトップクラスであり、その結果、経済の落ち込みの少なさも先進国中でトップクラスであるとデータで説明しています。そして、マスコミの「心に響かない」などの定性的な表現の批判について「ポエム表現」と批判しています。マスコミが止めろの大合唱だった「GoToトラベル」についても、8~10月の旅客輸送数は50億人弱に対し、GoToトラベル事業における利用実績は3976万人、つまり鉄道・航空輸送の1%程度しかないと定量的に問題ないことを説明しているのです。



 この本はオリンピック前に出版されたものであり、当時は政権批判を演出したいマスコミと野党が「五輪中止」と「ワクチン副反応」で批判を繰り返していた時期です。著者の結論は、ワクチン接種の準備は完了しており、最低ラインとして無観客での開催とすれば、新型コロナ対策に与える影響はほとんどなく、五輪中止する必要はないと主張しています。


 ちなみに著者は、新型コロナ感染者数が欧米に比べて10分の1以下であり「さざ波」と表現したら、その一部を切り取って「表現が悪い」と批判され、内閣官房参与を辞任することになってしまいました。


・五輪開催否定論者は、五輪が新型コロナ対策に与える負担を口実としてるが、なかには五輪開催を政権のミスとしたい人もいるのかもしれない(p30)


 偏向報道として説明されているもので、面白いものを3つ紹介しましょう。まず、途中で中止されたGoToトラベル事業における人流増加は1%程度で、新型コロナ感染拡大への影響は小さいものであったこと。


 二つ目は、『女性が多い理事会は時間がかかる』との問題発言で辞任した森会長は、全文を読むと実は両論を述べており、報道は一部を切り取って主旨をねじまげたものであったこと。


 三つ目としては、菅総理の長男が総務省官僚を接待していた事件については、新聞、テレビ局にも「波取り記者」と呼ばれる電波や放送利権確保のため、総務省を接待している人がいるという事実があるのに自分の会社の接待は報道しないこと。


 こうして偏向報道の実例を列挙されると、日本のマスコミとは何のために存在するのか、と不信感を持たざるえまんせん。


・菅総理の長男が勤める放送事業会社が総務省官僚を接待していた・・・NHKやNTTとの会食問題まで浮上・・・総務省全体での接待調査をぜひ行ったらいい・・・大手マスコミだけは接待がまったくないとは言い切れないだろう(p93)


 非常に残念に感じたのは、NHKが森会長の発言の一部を切り取って偏向報道している中で、英国BBCは中国大使にウイグル問題への説明を要求していたということです。日本のNHKは一部を切り取って偏向報道をし、英国BBCはウイグル問題を報道する。情けないというのか、NHKだからしょうがないと表現すべきなのかわかりませんが、メディアのレベルに差があるのは事実のようです。


 タイトルにあるように日本では「嘘と感情論」でメディアが堂々と報道し、世論を操作しようとしています。「メディアは死んだ」と発言した人がいましたが、もう本当に死んでいるのかもしれません。高橋さん、良い本をありがとうございました。



この本で私が共感した名言

・欧洲では、1年以上前から、患者の国境をまたぐ搬送が行われていた。日本でも、県をまたぐ患者搬送が・・・実行されたことはない・・・県の「縄張り意識」はなかなか払拭できないのが現状だ(p17)


・世界のエネルギー起源CO2排出量・・・日本は3.8%であり、仮に日本が半減しても、世界の減少への貢献は、はっきり言って言葉ほどのインパクトはない(p77)


・種苗法改正・・・国外持ち出しを防ごうとしている。この改正に反対したのは、立憲民主党や共産党・・・外国の知的所有権法制に委ねるべきとした(p144)


・政府は・・・東京電力福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出を決めた。すると中国は、すぐさま日本の方針を強烈に批判・・・これこそまさに内政干渉だ・・・中国と同調するマスコミ・・・原発国ではトリチウムを含む処理水をすでに自国でも放出している(p174)


▼引用は、この本からです
「嘘と感情論で封殺された5つの日本の真実」高橋洋一
高橋洋一、徳間書店


【私の評価】★★★★★(93点)


目次

第1章 日本は本当にコロナ封じ込め「失敗国」なのか?
第2章 マスコミによって覆い隠された真実
第3章 バイデン政権で変わる日本の役割
第4章 非民主国家の牙を剥き出す中国
第5章 コロナ後の日本経済、蠢き出す財務省には警戒せよ



著者経歴

 高橋洋一(たかはし よういち)・・・1955年東京都生まれ。数量政策学者。嘉悦大学ビジネス創造学部教授、株式会社政策工房代表取締役会長。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年に大蔵省(現・財務省)入省。大蔵省理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、内閣参事官(首相官邸)などを歴任。小泉内閣・第1次安倍内閣ではブレーンとして活躍。2008年に退官。菅儀偉内閣では内閣官房参与を務める。


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