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【書評】「子どもをやめる本  何をするにも、親の顔が浮かぶ」 平 光源

2026/07/03公開 更新
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「子どもをやめる本  何をするにも、親の顔が浮かぶ」 平 光源


【私の評価】★★★★★(93点)


要約と感想レビュー


何をするにも親の顔が浮かぶ人たち

著者は25年間、精神科医として診察室で多くの患者と対話してきました。そこで見てきたのは、自分でも気づかないうちに親の声に支配されてしまっている人たちの姿だったといいます。


事例は極端ですが、衝撃的です。数年ぶりの友人との再会を「携帯の調子が悪いから急いで来て」という母の一言で捨ててしまった女性。6か月間も転職を決断できずにいた理由がただ「母親に言い出せない」からだった患者さん。どちらも親の存在が、成人した子どもの人生の選択を実質的に支配しているのです。


著者はこうした心の状態を「インナー母」という概念で説明しています。3歳までの育てられ方が、「インナー母」を形成するのです。親からの言葉が、大人になっても心の中で鳴り続けているのです。


良いも悪いも含めて、3歳までの育てられ方が「インナー母」の大元を形成する(p39)

心の中のインナー母の影

著者は、安定した母に守られて育つと、「外の世界も安心だ」とチャレンジできるようになり、不安定な母のもとで育つと、「外の世界はもっと怖いかもしれない」と不安や怒りといった反応が出やすくなると説明しています。


幼い頃に「母の言うことを聞いていれば安心」という体験は、大人になっても形を変えて生き続けます。職場で無理な仕事を頼まれても断れないのは、その典型です。


「誰かのために身を粉にして尽くすことが愛だ」というインナー母の声を持っていると、困っている相手に与え続けてしまいます。相手が不誠実な人であっても与え続けてしまう。これがいわゆる『共依存』の状態です。


「失敗は恥だ」というインナー母の声を持っている場合、「どうせ続かない」「笑われるかもしれない」という思いから行動を起こせなくなります。親から受け取った信念が、知らぬ間に人生の選択肢を狭めているのです。


幼い頃、母の言うことを聞いていれば安心でした。でも逆らえば、食事をもらえないかもしれない・・・その恐怖は、大人になった今も形を変えて生き続けています(p65)

信念は変えられる

著者は、そうしたインナー母の影響を「変えられる」と明言しています。絶望感は現実ではなく、ただの感情だからです。その感情は信念が作り出すものであり、信念は変えられるというのです。


長い年月をかけて刻み込まれたインナー母のパターンも、いつからでも新しいパターンで上書きできるのです。


具体的なワークも紹介されています。


「自分が心地よいと感じる基準」を書き出してみること、コンビニで罪悪感が湧くものをカゴに入れてみること。こうした小さな「インナー母の禁を破る」行動の積み重ねが、自分を取り戻す第一歩になるといいます。


「自分には価値がない」という信念も、1日1つ誰かのために動いて「ありがとう」と言ってもらう経験を重ねることで、少しずつ書き換えられていくそうです。


「絶望感」は現実ではない・・ただの感情です。その感情は信念が作ります。そして信念は変えられます(p52)

子どもをやめるとは

タイトルの「子どもをやめる」ことの意味は、親を捨てることではなく、「認めてもらえないと生きていけない」という子どもの世界のルールを卒業することだといいます。


「もう私は、自分を粗末にしない」「私は、やりたいことをやっていく」そう思えるようになることが、子どもをやめるということだと著者は述べています。


昔は村八分が命取りだったかもしれませんが、今は自分の気持ちを押し殺してまで「良い人」でなくても生きていけるのです。


子どもは親を見て育ちます。あなたが自分に小さなワクワクを許すのを見て、子どもは「人生って、そうやって生きてもいいんだ」と学んでいくのです。


実は著者もインナー母の声に苦しんできました。「インナー母の声」は克服できる。この本は著者自身のための本でもあったのです。平さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・他人の評価を基準に生きるようになると、まず起きるのは「自分で自分にOKを出せなくなる」ことです(p44)


・褒められなければ不安になり、反応が薄いだけで見捨てられた気がして、相手の機嫌1つで自分の価値まで上下してしまう。そうやって、毎日誰かの顔色をうかがいながら、自分の存在許可を更新し続ける(p176)


・誰かがあなたを攻撃しても否定しても真に受けなくて大丈夫・・・私ではなくその人の「認めてほしい」という心の叫びなのです(p184)


・悪口を言う人は、心が飢えている・・・「あの人より私のほうがマシ」「あの人はわかっていない」そんなふうに、どこかでマウントを取りたくなるのです。一体なぜでしょう・・・十分に認められていない。十分に満たされていない。すると人は、外から奪おうとします(p183)


▼引用は、この本からです
「子どもをやめる本  何をするにも、親の顔が浮かぶ」 平 光源
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平 光源 (著)、サンマーク出版


【私の評価】★★★★★(93点)


目次


第1章 何をするにも、親の顔が浮かぶ
第2章 あなたを縛る8つの生きづらさ
第3章 心の中に住む、6人の母
第4章 頭の中でインナー母と距離を置く10のワーク
第5章 子どもをやめる
第6章 全ては愛のボタンのかけ違い
専門家の方へ


著者経歴


平 光源(たいら こうげん)・・・東北の精神科医院を営む精神科医。高校時代、自分の不登校によって医学部受験に失敗。 3浪してうつになり、ある本がきっかけでうつから回復した経験をふまえて、約25年精神科医として心のケアに当たる。


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