【書評】「インナーワーク: あなたが、仕事が、そして会社が変わる。君は仕事をエンジョイできるか! 」W.ティモシー ガルウェイ
2026/04/08公開 更新
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【私の評価】★★★★★(97点)
要約と感想レビュー
ビジネスコーチングの原点
ティモシー・ガルウェイは、ハーバード大学で人間行動科学を学び、仕事としてテニスを教えていました。ある時、ガルウェイは生徒のフォームの欠点を直すのではなく、生徒が自然にボールに集中できるようになる手法を考え出し、「インナーゲーム」という書籍を書いたのです。
なんとこの「インナーゲーム」の手法がビジネスで使われるようになり、体系化されたのが「ビジネス・コーチング」です。そういう意味では、この本は「ビジネス・コーチング」の原本と言える本なのです。
この本では、「答えを教えるのではなく、自分に解決する能力があると気づかせる」というコーチングの考え方にについて書いてありますが、それは後半の1章の内容にすぎません。ここでは、それ以外のガルウェイの手法や考え方について見ていきましょう。
コーチングの対話の最も重要な目標は、・・前に進んでいく能力が備わっていると本人に思わせることだ(p325)
仕事のプレッシャーを取り除く
ガルウェイの発見は、自分の意思の中に指示を出し、評価する「セルフ1」と話しかけられる「セルフ2」がいることです。
セルフ1は、テニスボールを打つセルフ2に指示を出し、失敗すると批判するのです。そしてセルフ1はセルフ2の能力を信用せず、常に介入してきます。
これは仕事や生きていく中でも同じで、心の中のセフル1が「こんなことやっていて大丈夫なの?」と社会の枠に押し込もうとするというのです。
ガルウェイは、こうした常識や「結果を出せ」というプレッシャーこそが人を縛り、逆の効果をもたらすと考えました。そこでガルウェイは、評価や批評といった外部からのプレッシャーを排除するために観察し、演技する手法を考案したのです。
例えば、あなたがコールセンターで働いているなら、「顧客の満足」を高めようとするのではなく、顧客の声を「温かさ」「苛立ち」を1から10までの数字で評価してみます。
そして、次のステップでは、自身の顧客への対応の仕方を演技として変化させてみて、顧客の「温かさ」「苛立ち」の数字がどう変わるのかというゲームを導入します。すると、オペレーターのストレスが劇的に減ったという。
また、病院で患者の待ち時間が長いのであれば、終業時にすべての看護婦から「今日、20分以上待たせた患者が何人いたか」を書いてもらい、受付係が直接観察したデータと比較して、正解率を張り出すゲームを行います。
会議で一部の人間ばかり発言しているのなら、各人が発言した時間の合計とその頻度を記録してもらいます。
すると、「こうしろ」と指導していないにもかかわらず、仕事が改善されるというのです。
改善を求められたら・・・その指令に埋め込まれた要素に注目し、観察すればよいのだ(p139)
仕事を自分が成長できるゲームにする
では、仕事をしているとき、セルフ1が上司に評価されるために難しい仕事に挑戦しなくてはならないと考えたとしましょう。(顧客満足を高めるという指示)
するとセルフ2は、難しい仕事は残業が増えて家族との時間がなくなる。プレッシャーで苦しみたくないと主張するかもしれません。(顧客満足を高めるためにストレスを感じる)
ガルウェイは、外側の要求よりセルフ2を優先させればいいと主張するのです。しかし、それは非常に難しいでしょう。(顧客満足を高めるを拒否する)
ガルウェイは外からの厳しい要求に答えながらも、人は各人の内側のゲームも満足させることができるはずだというのです。(顧客の「苛立ち」を改善するゲーム)
ガルウェイは、会社からの要求は認めつつ、それを自分にとって楽しめるゲーム、自分が成長できるゲームに変換してみようと提案しているのです。
仕事の定義・・・よい結果を生み出すために、結果を生み出しながらその過程で自分自身の可能性を成長させていくこと(p160)
自分と家族のために働く
最後にガルウェイは、自分株式会社のCEOとなれ!と提案しています。会社のルールで仕事をさせられるのではなく、自分が楽しみ、自分が成長したうえで、会社のニーズを満たす方法を選択するのです。
リクルートの「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」という旧社訓と同じだと思いました。
ガルウェイは、会社で働くのは、顧客のためでも上司のためでもなく、家族と自分のためではないのかと問いかけています。基本は自分の幸せが第一という窮極の目的を、忘れてはいけないということです。
そこがずれていると、精神的に追い込まれたり、他人に自分の人生をコントロールされてしまう危険性があるのです。テニスから深い話になってびっくりしました。ガルウェイさん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・鍵は、評価や批評をしないことだ・・・コーチをするとき、私が最初にすることは、生徒がボールの弾道に面白いと思うことを見つけ、そこに集中するよう促すことだった(p112)
・テニスの生徒には「命令の翻訳」という方法を教える・・・プロが「ボールは体の前で打て」と指示してきたら・・・「ボールをどの位置で打っているか、観察してみよう」という意味に翻訳して受け止める(p138)
・セルフ2の視点から見ると、「仕事には、三つの形の見返りがある」・・・報酬・・学習・・歓び(p189)
・自分にとって「仕事とは何か」を問え(p10)
▼引用は、この本からです

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W.ティモシー ガルウェイ (著)、日刊スポーツPRESS
【私の評価】★★★★★(97点)
目次
序文 ワーク・フリーへの旅立ち
第1章 内側からの変化の時代
第2章 巨大企業とのチャレンジ
第3章 集中力のメカニズム
第4章 実践インナーワーク
第5章 「仕事とは」の再定義
第6章 自動力「モビリティ」と順応
第7章 STOPツールの活用法
第8章 自分株式会社CEO
第9章 コーチング
第10章 内側からの野生の欲求
おわりに ENJOYのために
著者経歴
ティモシー・ガルウェイ(Timothy Gallwey)・・・1938年サンフランシスコ生まれ。ジュニア時代にはナショナル・ハードコート選手権で優勝したほか、ハーバード大学ではテニス部主将として活躍。その後ヨガや東洋思想を研究、1974年「インナーゲーム」を発表してセンセーションを呼んだ。インナーゲーム・インスティチュートをカリフォルニアに設立、インナーゲーム理論は教育やビジネス分野からも高い評価を受けている。
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