「否定しない習慣」林 健太郎
2023/07/20公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(93点)
要約と感想レビュー
否定されると追い詰められてしまう
この本のスタートは、「あなたのお子さんが、『将来は宇宙飛行士になりたい』と言ってきたら、あなたはなんと答えるでしょうか」という質問から入ります。一般的な日本人なら、そんな突飛で無謀な目標を聞いたら、自分の子どもだからこそ、「そんなの無理」と本音を口にしてしまうのではないでしょうか。
人間関係における「否定」とは、相手の話や意見を否定すること、相手の話を奪って違う話をすること、相手の悩みに対して向き合わないことです。あなたの立場で考えれば、「事実を伝えているだけ」なのかもしれませんが、それがが一番危ないのです。正論だからこそ相手は否定され、追い詰められてしまうのです。
話をさえぎった時点で、それはもう、立派な「否定」(p105)
論破しても、いい結果はおとずれません
日本人が簡単に相手を否定するのは、自分が正しいと思っているからでしょう。「どうして、こんなこともできないの」「ちゃんと指示を聞いていたのかよ」「何度同じことを言わせるんだ」そう言いたくなる状況なのです。
でも冷静に考えてみると、「私ならできる」という上から目線で、実は、伝え方が悪かったのかもしれない、という見方もあると思うのです。さらに否定された相手は、否定されることによって、落ち込み、怒り、心の中で恨みの感情から復讐を誓う人さえいるのです。相手を否定することは、とんでもない結果を引き起こす可能性があるのです。
相手が間違っているからといって、それを否定して、仮に論破しても、いい結果はおとずれません(p51)
「一緒に考えてみよう」
では、私達は「否定しない」でどうすればよいのでしょうか。著者のオススメは「そういう意見もあるよね」と相手の考えをひとつの意見として受け止めることです。否定しないことが、心理的安全性を生むのです。
「一緒に考えてみよう」と同調しつつ、自分事として考えてもらうのもよいでしょう。もし、どうしても同意できないときでも、別の選択肢を提示させてもいいし、相手の考えを「覚えておくよ」といったん、保留にするというテクニックもあるのです。
もしあなたが上司である場合、あなたにオススメする部下への対処法は、部下が話をし、自分の行動や思いを内観するための時間を提供することなのです。
アドバイスや判断がほしいのであれば、自分から求めてくるはず。それがないということは、黙って聞いていてもらいたいのだ(p161)
「否定しない」ことで人生を変える
私も多くの人と出会ってきましたが、私がこの人はすごいな!と驚く人は、相手を否定せずに、自分の求めるものを手に入れている人たちでした。
例えば会議であれば、おかしな意見を言った人を否定するのではなく、「あれ、この前の発言と違うようですが、何かありましたか?」と気づかせる。ピント外れのクレームを言ってきた人に、「それでは現場で確認してみましょう」と、相手を否定せず、客観的に問題があるのかないのか、気づいてもらう。
そんな「否定しない」技術を教えてくれる本書は、「否定しない」ことで人生を変える可能性を持っていると感じました。林さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・「相手を責める」という行動の選択肢はキッパリ捨ててしまう(p69)
・その人なりに精一杯やっている・・わざとパフォーマンスを低くしているわけじゃない(p66)
・自分ばかりがしゃべり続けてしまう人・・今は本当に、自分がしゃべるタイミングなのか?(p102)
・相手に「提案」する方法・・「提案があるんだけど、いいかな?」(p202)
【私の評価】★★★★★(93点)
目次
第1章 気づかないうちに否定する人の心理
第2章 「否定しないマインド」のつくり方
第3章 否定しない技術
第4章 「否定しない自分」をつくる習慣
第5章 「いい人間関係」をつくる会話の技術
著者経歴
林 健太郎(はやし けんたろう)・・・リーダー育成家。合同会社ナンバーツー エグゼクティブ・コーチ。一般社団法人 国際コーチ連盟日本支部 創設者。1973年、東京都生まれ。バンダイ、NTTコミュニケーションズなどに勤務後、プロコーチを目指して海外修行に出る。帰国後、2010年にコーチとして独立。2016年には、世界最大のたばこメーカー、フィリップ・モリス社の依頼で、管理職200名超に対するコーチング研修を実施。企業向けの研修講師としての実績も豊富。リーダーのための対話術を磨くスクール「DELIC」をオンラインで無料公開、自身のコーチングセッションをノーカットで動画公開する。2020年には、オンラインでの「10分コーチング」(商標出願中)を開発し、短期集中型の新しいコーチングのスタイルを模索している。
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