内観とは?「憎しみと愛 感謝と許し」大山真弘
2023/01/16公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(90点)
要約と感想レビュー
著者は熊本県の蓮華院誕生寺の内観研修所で、2000人もの「内観」をサポートしてきました。「内観」とは、母や父や親代わりの人について、(一)してもらった事、(二)してあげた事、(三)迷惑・心配かけた事、について具体的に思い出すことです。内観では、時期を区切って、どういったことがあったのか思い出していきます。母親であれば、自分が小学校入学前、小学校低学年、小学校高学年、中学校の時、高校の時、大学の時社会に出たら2から5年で区切って思い出していくのです。
一週間泊まり込みの内観が標準で、現在は参加しやすい一日30分くらいの内観を30日間行う「Eメール内観」が人気とのこと。さらに内観では、自分を育てるためにかかった養育費を計算してもらいます。その金額の大きさに驚く人が多いのだという。
・一週間泊まり込みの集中内観では四日目位から、Eメール内観では二週間位から、気付きが増え、効果が出てきます(p85)
内観をしていくと、いかに親という存在が、無償の愛、自己犠牲で接してくれていたことに気づきます。今まで見落としていた、自分のまわりにたくさん存在していた幸せに気付くのです。子どもの不登校や引きこもりなど、子どもに起こる問題の原因の7~8割は、家族の人間関係に起因することが多く、内観で改善するケースが多いという。
つまり内観によって、いかに自分が愛されていたのかに気づくと、人が変わっていくのです。それまでは、自分は愛されていない→相手を責める→そういう自分を責めるという悪い循環が解消されるのでしょう。よく会社で弱い人や楽しそうな人がいると、攻撃したり、イジメたりする人がいますが、実は心の中に足りないものがあって幸せそうな人を否定せざるをえない可哀想な人なのかもしれないと思いました。
・「ああ、私は母のお腹にいる時から今現在まで、ずっとこんな風に母の愛に包まれていたんだなぁ」と感じました・・母への恨みが消えたとたん、自分を卑下する気持ちも消えました(p88)
私も50代になって、通勤中に子どもの頃を思い出し、「これって内観だよな」と思うことも多く、内観は素晴らしいものだと実感していいます。私は親から愛されてきたという実感がありますが、そうではない「被愛感」を持てない人には、内観が絶対的に必要なのでしょう。
一週間ぶっ通しの内観に比べて、Eメール内観はハードルが低いので非常にお勧めです。事例も多く参考になりました。本の評価としては★5とします。大山さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・Eメール内観はわずか4つの質問があるだけです。(一)してもらった事、(二)してあげた事、(三)迷惑・心配かけた事、(四)気づいた事(p3)
・幼い頃親に愛されていたという「被愛感」がいかに大事かという事を内観で痛感いたします(p76)
・自分の中の相手を責める気持ちが、自分自身の心を苦しめている場合が多いのです(p112)
・逆内観とは、(一)してもらっていない事、(二)してあげたのにお返しがない事、(三)迷惑かけられた事を思い出したり数えたりする事です(p145)
【私の評価】★★★★★(90点)
目次
第一章 内観の効果とEメール内観
第二章 Eメール内観体験実例集
第三章 説話
著者経歴
大山真弘(おおやま しんこう)・・・1948年、鹿児島県生まれ。真言律宗僧侶。熊本県玉名市の蓮華院誕生寺に奉職。蓮華院誕生寺内観研修所所長。鹿児島ラ・サール高校、早稲田大学政治経済学部卒業。伊藤忠商事、富士ゼロックスに勤務するなか、内観創始者・吉本伊信氏に出会い、1987年、真言宗僧侶を育成する高野山専修学院で真言宗阿闍梨を授かり卒業、現職に就く。設立25年目を迎える蓮華院誕生寺内観研修所では、毎月1~2回の内観研修を行っており、体験者は現在約2000人にのぼる。蓮華院誕生寺ホームページで『幸福ニュース』と題して無料のメールマガジンを配信。メールを利用する「Eメール内観」も受け付けている。
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