「GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代」アダム・グラント
2024/07/12公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(92点)
要約と感想レビュー
ギバーは他人のために行動する
世の中には、受け取ってばかりのテイカー、与えてばかりのギバー、バランスを取ろうとするマッチャーがいるという。一般的には、テイカー2割、ギバー2割、マッチャーが残りの6割だそうです。
特にテイカーとギバーは正反対で、テイカーは自分を中心に考えるのに対し、ギバーは相手が何を求めているかに注意を払うという。
面白いのは一番生産性の低い技術者はほどんどがギバーですが、もっとも生産性の高い技術者も、ギバーということです。生産性の低いギバーは、自分の仕事が忙しくても、他の人からお願いされると手伝ってしまうので、自分の仕事がおろそかになります。悪く言えば、断れない良い人、お人好し、うまく使われる人なのです。
生産性の高いギバーは、他人のために行動するので、関係者の信頼を得ることで、良い人脈を作り、仕事や情報が集まって、仕事をうまく回せているのです。
もっとも成功していないエンジニアがギバーだった・・ほかの人の仕事を手伝っているせいで、自分の仕事を終えられないのだ(p30)
テイカーは失敗は他人のせい
このようにギバーは、自分の利益より相手の利益を優先するので、短期的には成功しにくいのですが、周囲の人からの信頼を得て、長期的には成功する場合が多いのです。
反対にテイカーは短期的には成功しますが、成功したテイカーは妬まれやすく、周囲から何とかして足を引っ張ってやろうと思われるという。テイカーの典型的な例としては、失敗は他人のせいにし、成功は自分の手柄にする人です。また、テイカーは上司には愛想を振りまき、部下には厳しく当たるという。
したがって、ギバーがテイカーを相手にするときには、自衛のために、マッチャーになるのがいいという。つまり、基本はギバーですが、相手がテイカーとわかったら、自分の適正な利益を要求すべきなのです。
(テイカーは)目上の者にはよい印象を与えようと一生懸命だが、目下の人間にはどう思われようと気にしない(p70)
ギバーへの助言
著者から短期的に損をしがちなギバーへの助言は、次のとおりです。
まず、他人から邪魔されない自分の仕事に集中する時間を確保すること。例えば、午前中は相談や打ち合わせ禁止で、自分の作業時間とするルールを作りましょう。
二つ目は、他の人に相談することです。相談することで情報が得られるし、相手とのかかわり合いが強められし、相手へのゴマすりにもなるのです。
三つ目は、交渉にあたっては、自分自身を、交渉する代理人だと考えることです。ギバーは交渉すると、相手の利益を優先してしまいがちだからです。
ギバーはギブ・アンド・テイクの関係を相手の利益になるようにもっていき、受けとる以上に与えようとする(p28)
ギバーが長期的には成功する
著者は長期的に成功するであろう、ギバーが増えることを願っています。ギバーは他人の利益を優先し、困っている人を助け、チームワークをよくし、メンバーの尊敬を集めることができるからです。職場でギバーとして信用を得ると、大胆で挑戦的なアイデアを出しても、特別に認められてしまうという。
その一方で、ギバーは自分の利益より他人の利益を優先するので、自分の幸せを犠牲にしてしまうことがあります。テイカーから奪われるだけの状態となることもあるのです。基本的にはギバーであることを心がけ、テイカーからは逃げ、マッチャーとはバランスを意識すればよいのでしょう。グラントさん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・金持ちになったからギバーになったわけではない・・ギバーだから「金持ちになれた」(p285)
・天才はテイカーになる傾向があり、自分の利益を大きくするために、ほかの人から「知力、エネルギー、能力を奪う」(p116)
・テイカーは化けの皮をかぶって寛大に振る舞い、ギバーやマッチャーを装って相手のネットワークのなかにまんまと入り込もうとする(p69)
【私の評価】★★★★★(92点)
目次
1 あなたは、まだ「ギブ&テイク」で人生を決めているのか
2 「名刺ファイル」と「フェイスブック」を見直せ
3 チームの総力を活かせる人
4 荒野で"ダイヤモンド"を見つける法
5 「パワーレス」の時代がはじまった
6 「与える人」が気をつけなければならないこと
7 気づかいが報われる人、人に利用されるだけの人
8 人を動かし、夢をかなえる「ギブの輪」
9 「成功への道」を切り拓く人たち
著者経歴
アダム・グラント(Adam Grant)・・・ペンシルベニア大学ウォートン校教授。組織心理学者。1981年生まれ。同大学史上最年少の終身教授。『フォーチュン』誌の「世界でもっとも優秀な40歳以下の教授40人」に選ばれるなど、受賞歴多数。グーグル、IBM、ゴールドマンサックスなどの一流企業や組織で、コンサルティングおよび講演活動も精力的に行う。
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