「サバイバル決断力―「優柔不断」を乗り越える最強レッスン」印南 一路
2020/10/19公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(82点)
要約と感想レビュー
人生は思うようにはいかないものだ
著者は富士銀行から厚生労働省に出向し、医療政策に興味を持ちハーバード大学院に留学。ハーバードでは研究能力がつかないと判断し、シカゴ大学経営大学院博士課程に進学します。ところがシカゴ大学に医療政策関係の先生がいなくなり仕方がなく意思決定分野で博士号を取得。慶応大学で教授となっています。
自分の紆余曲折ある人生を振り返り、意思決定分野の博士である著者は、人生は思うようにはいかないものだと述懐しています。だからこそ、真剣に自分の人生に向き合い、納得感のある後悔のない決断を下していく必要があるのでしょう。
早期退職金をもらって退職すべきか、それとも会社に残るべきか?・・・この場合の目的は何でしょうか?・・・「安定した収入を得ること」なのか、それとも「自分の能力を発揮できる、やりがいのある仕事を見つけること」でしょうか。あるいは「これからの第二の人生(人生後半戦)をより豊かにすること」でしょうか(p182)
本当の問題は何なのか
判断に迷ったとき、まず考えるべきことは、それが本当の問題は何なのかを考えることだという。そもそも目的を間違うと、出てくる答えが良いものであったとしても、目的地には到達しないのです。
例えば、上場IT企業に就職したいとすれば、手堅い人生を送りたいのか、ITの仕事をしたいのか、はたまた休日に小説を書きたいのか、自分で問い直す必要があるのです。そもそもの自分のやりたいこと、求めているものがわからなければ、正しい道を選択することはできないということです。
本当の問題は何かを真っ先に考える・・・次に、意思決定自体の必要度・緊急度・重要度・コストを判断します・・・これらの判断が次に述べるように、「満足化原理」でいくか「最適化原理」でいくかを決定づけます(p133)
判断での注意点
判断で重要なのは、最悪の事態を予測し、ケース別に最善の手を打つためにはどう対処するかを考えておくことです。著者は常にバックアッププランを考えているという。また、特に重要な意思決定ほど複数人の意見を聞くことの重要性を説明しています。
また、日本人が判断するときに注意すべきことは、物事と人を分けることでしょう。欧米人は議論と人とを分離して考えますが、日本人は不得意なのだという。また日本人は「空気を読む」能力が高いのですが、「空気を読みすぎる」と正しい意思決定ができなくなる点も注意が必要です。
私はつねに「バックアッププラン」(英語ではBプラン)を用意します(p102)
重要な意思決定はしっかり考える
意思決定には、日常の中で「昼食は何を食べるか」といった軽い意思決定から、「どの会社に就職するか」といった重要なものなで幅があります。重要なものはしっかり考え、軽いものは軽く考えるということも大事なのでしょう。
人生は一度きりですから、判断した結果が正しかったのかどうか、測定することは容易ではありませんが、特に重要な判断は後悔のないようにしたいものです。 印南さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・アメリカでは、「頭のよい人は間違った問題を正しく解く」と教えています・・・真に賢い人は、まず問題自体を疑います(p88)
・全会一致ですんなり決まる意思決定はむしろ危ない・・・意見の対立がないため、議論自体が貧弱となり十分な検討を経ておらず、意思決定自体の質が精査されていないからです(p84)
・リスクを適切に見積もって、それは取るべきではないリスクだと判断し、撤退することも立派な決断です(p42)
・成功した事例は、世の中に多く出回っています・・・ですが、本当に重要なのは、むしろ失敗物語ではないでしょうか(p107)
・学生には授業の最終日に「もし50億円をもらったらどうするか?」という質問をします・・・働かなくても年間税引きで2億円の収入を得ることができます(p200)
【私の評価】★★★★☆(82点)
目次
第1章 決断とは何か
第2章 なぜ日本人には意思決定のトレーニングが必要か
第3章 間違った判断が起きる典型的ケースを知る
第4章 すぐれた意思決定をするための5段階フィルター
第5章 実践!「サバイバル決断力」トレーニング
著者経歴
印南 一路(いんなみ いちろ)・・・1958 年神奈川県生まれ。慶應義塾大学総合政策学部教授。専門は医療政策と意思決定・交渉領域。東京大学法学部卒業、富士銀行(現在のみずほ銀行)、厚生労働省勤務ののち、ハーバード大学行政大学院、シカゴ大学経営大学院で学ぶ。シカゴ大学経営大学院助教授やスタンフォード大学留学などを経て、2001 年より慶應義塾大学総合政策学部教授。
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