「1兆ドルコーチ シリコンバレーのレジェンド ビル・キャンベルの成功の教え」
2020/10/20公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(84点)
要約と感想レビュー
1兆ドルコーチとは
1兆ドルコーチとは、シリコンバレーでグーグル,アップル、ツイッター等のCEOをコーチしたビル・キャンベルのことです。ビル・キャンベルはアメフトコーチから家計簿ソフトIntuitのCEO、会長を歴任していました。ビルはIntuit経営の傍らでアップル、グーグルの経営に参加し、コーチと呼ばれていたのです。それだけ、アップルやグーグルの幹部から、信頼を受けていたのです。
例えば、グーグルではスピード重視のため開発チームを,マネジャー抜きのフラットな組織で運営するという実験を行っていましたが、ビルがマネジャーの必要性を主張し、1年以上ちょっとでマネジャー職を復帰させました。ビルはアップルの幹部時代,決定者不在によって方針決定ができず,事業がうまくいかない経験を持っていたのです。マネジャーの役割は議論に決着をつけることと,部下を成長させることであり、マネジャーは必要なのです。
また、役員会議などでビルは「コンセンサスなんかクソくらえ!」と主張し、議論義よりも最適な道を合理的に選択することを教えていたという。つまり会議参加者のコンセンサスを目指すと「グループシンク(集団浅慮)」に陥り,意思決定の質が低下することを経験的に知っていたからだという。
スティーブ・ジョブズが1985年にアップルを追放されたとき,ビル・キャンベルはそれに抵抗した数少ない同社幹部の一人だった(p36)
経営者のアドバイザー
コーチというと相手の話を聞くだけのように感じますが、ビルはちょっと違っていたようです。仕事がダメならダメというし、経営セミナーで経営のコツを教えるし、取締役候補の面接もしています。コーチというよりも経営者のアドバイザーという感覚なのでしょう。本来社外取締役というものは、経営者をチェックする役割です。アドバイザーであり、第三者の視点で意見してもらえる貴重な立場が社外取締役なのです。
ビルはマネジャーに対して、「ああしろこうしろと指図するんじゃない」と教えていました。部下をやる気にさせるためには、同じ部屋で一緒に過ごして,耳を傾け,部下が大事にされていると実感させることが大事なのです。チームメイトにどう思われているのか,肝心なのはそこなのです。
経営者に対しては、「誰もが仕事以外のことを君と話したがっている,それを忘れるな」と従業員の話を聞くように諭しています。そしてビルはいつもミーティングを「ムダ話」で始め,本心から相手の生活に関心を持っていたという。相手を尊重していることを伝えばうえで、ビルは仕事の話をしはじめたという。
マネジャーは部下の家庭、生活を知らなくてはならないとビルは言い、自分も実践しています。ドライなアメリカにおいて珍しく、人の心を大切にする経営者であるように感じました。口は悪いが、いいオヤジ。でも経営者としては一流。なかなかいませんよね。シュミットさん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・ビルはコダックでマーケッティング担当ながら,エンジニアに問題解決の知恵を借りにいったのだ。肝心なのは,エンジニア(やプロダクトを生み出す人々)には力があり,それなりの自由を与えられる必要があるということだ(p114)
・ビルは,物語を語れとコーチしてくれた。人は物語を理解すれば,それを自分の身に置き換えて考え,何をすべきかを悟る。心から納得させるんだ(p153)
・ハイパフォーマーだが扱いのむずかしい「規格外の天才」には寛容であれ。守ってやりさえすべきだ。だがそれは,倫理に反する行動や人を傷つけるような行動を取らず,経営陣や同僚へのダメージを上回る価値をもたらすかぎりでのことだ(p105)
・彼(ビル)はグーグラー向けの経営セミナーで諭している。「業務レビューをどうやって行うか。1on1で部下を評価し,正しい軌道に戻してやるにはどうするか。成功している人は・・・部下に説明責任を持たせている。最高の人材を採用し,評価し,フィードバックを与える方法を知っていて,給料を十分に支払う」(p65)
ダイヤモンド社
【私の評価】★★★★☆(84点)
目次
序文 シリコンバレー最大の伝説(アダム・グラント)
CHAPTER1:ビルならどうするか?
CHAPTER2:マネジャーは肩書きがつくる。リーダーは人がつくる
CHAPTER3:「信頼」の非凡な影響力
CHAPTER4:チーム・ファースト
CHAPTER5:パワー・オブ・ラブ
CHAPTER6:ものさし
著者経歴
エリック・シュミット(Eric Schmidt)・・・2001年から2011年まで、グーグル会長兼CEO。2011年から2015年まで、グーグル経営執行役会長。2015年から2018年まで、グーグルの持株会社アルファベット経営執行役会長。現在はグーグルとアルファベットのテクニカルアドバイザーを務める。
ジョナサン・ローゼンバーグ(Jonathan Rosenberg)・・・2002年から2011年まで、グーグルの上級副社長としてプロダクトチームの責任者を務めた後、現在はアルファベットのマネジメントチームのアドバイザーを務める。
アラン・イーグル(Alan Eagle) ・・・2007年からグーグルでディレクターとしてエグゼクティブ・コミュニケーションの責任者、セールスプログラムの責任者を歴任
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