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【書評】「The Nvidia Way エヌビディアの流儀」テイ・キム

2026/02/02公開 更新
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「The Nvidia Way エヌビディアの流儀」テイ・キム


【私の評価】★★★★☆(83点)


要約と感想レビュー


エヌビディアGPUがAIを支える

日本国内でも巨大なAIデータセンターの建設ラッシュが起きています。このAIデータセンターで、本書のエヌビディアのGPU(画像処理チップ)が使われているのです。


エヌビディアのGPUは主にゲームを楽しむための画像処理アクセラレーターとして開発されました。ところが画像処理の「単純計算を並列で行う」技術が、シミュレーションやMRI診断画像の処理に活用できるとわかったのです。それまでスーパーコンピュータでやっていた処理が、PCにエヌビディアのゲーム用カードを何枚か装着するだけで処理できるようになったのです。


さらに大量のデータをニューラルネットワークに深層学習させるAIも、エヌビディアのGPUと開発ツールが使われています。エヌビディアの2023年度の売上高では、 AIを含むデータセンター関連が55%を占めました。


これまで2000基のCPUで行っていた作業を、わずか12基のエヌビディア製GPUに集約できるようになった・・AI革命の火つけ役(p349)

3倍速で新製品を発表

進化の激しいゲーム用GPU開発で生き残ったエヌビディアの特徴は、光の速度とも言われる仕事の速さです。仕事の速さは、仕組みと従業員の長時間の労働で支えられています。


以前パソコンメーカーは半年毎、春と秋に新製品を発売していましたが、チップ・メーカーは、1年半毎に新製品を発売していました。そこで、エヌビディアでは、新製品を3倍速で発表するために、設計チームを3つに分割し、半年ずらしながら並行開発することにしたのです。ライバルが1.5年で新製品を発表する中、エヌビディアは半年ごとに新製品を発表できたのです。


さらに従業員は9時から夜中まで働くことを強要され、土日も働くことが当たり前だというのです。


「われわれは超アグレッシブだ」と(マーケティング部長)彼は新入社員に伝えた。「・・給料を受け取り、5時に帰宅できると思っていここに来たなら大まちがいだ。そう思っているなら今すぐ辞めたほうがいい(p141)

仕事の管理も並行処理

エヌビディアでは、仕事の管理も並行処理が行われています。


まず、新しいプロジェクトが立ち上がると社長のジェンスン・フアンに直属するリーダー「Pilot in Command, PIC」がを指名されます。PICは重い説明責任を負う代わりに、社長並みの権限が与えられるのです。ジェンスン・フアン社長の下には60ものPICがいるという。


直属の部下を多くし、一対一の面談を減らすことで、会社がフラットになり、情報がすばやく伝達されるようになったという。


また、PIC以外の社員も全員、自分の取り組んでいることや最近の市場で気づいたことのトップ5をまとめたメールを、自分の所属チームや幹部たちに送ることになっています。このトップ5メールを丹念に見ることで、市場のちょっとした変化も見逃さないというわけです。


年月と経るごとに、人々が自分の縄張りやアイデアをどう守るのかがわかってきた。だからこそ、私はずっとフラットな組織を築こうと思ったんだ(ジェンスン)(p21)

事務屋が企業を破壊する

この本では、マイクロソフトにしろインテルにしろ技術に詳しくない人が社長になり、判断を間違うケースが多いと指摘しています。


例えば、マイクロソフトのスティーブ・バルマーはP&Gの営業担当あがりですが、CEOになってからはスマートフォンで乗り遅れ、買収も失敗ばかりでした。バルマーCEOの14年間でマイクロソフトの株価は30%下落したのです。


インテルも財務畑のボブ・スワンがCEOになると、自社株買いを優先させて開発費用を削減して、AMDに遅れを取り、AI分野でもエヌビディアに先行されてしまいました。


企業が大成功して危機意識がなくなると、人当たりはよいが技術に疎い事務屋さんがテクノロジー企業のCEOに就任して、企業は没落するというわけです。スティーブ・ジョブズもアップルを追放されたので、次はエヌビディアの順番なのでしょうか。


キムさん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・他社では、社員が安定的で持続可能な成長が実現するようプロジェクトを巧妙に加減し、みずからの出世のプラスにする、という手口が横行していた(p143)


・ジェンスンはメールを受信してから数分以内に返信することも多く、社員にも最長24時間以内の返信を求めていた(p306)


・不合格品にもう少しだけコストをかけ、低性能なチップとして再利用・・低価格チップを主力製品とする競合企業に対する防衛策になる(p215)


・企業内部には、AIによってまだ構造化されていない手つかずのデータが山ほど存在する。例えば、電子メール、メモ、機密の社内文書、プレゼンテーションなどだ(p415)


▼引用は、この本からです
「The Nvidia Way エヌビディアの流儀」テイ・キム
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テイ・キム (著)、ダイヤモンド社


【私の評価】★★★★☆(83点)


目次


はじめに 究極のシンボル
ジェンスン・フアンへのインタビュー
エヌビディアの決定的な特徴は、技術力ではない
第1部 黎明期 ~1993年
 第1章 苦難を乗り越えて:ジェンスンの生い立ち
 第2章 グラフィックス革命のなかで
 第3章 エヌビディア誕生
第2部 瀕死の経験 1993年~2003年
 第4章 すべてを賭ける
 第5章 ウルトラアグレッシブ
 第6章 勝利をつかめ!
 第7章 ジーフォースとイノベーションのジレンマ
第3部 エヌビディアの隆盛 2002年~2013年
 第8章 GPU時代の到来
 第9章 試練が人を偉大にする:ジェンスンの哲学
 第10章 ジェンスンとライバルを分かつもの
第4部 未来に向かって 2013年~現在
 第11章 AIへの道
 第12章 世界「最恐」のヘッジファンド
 第13章 未来に光を
第14章 ビッグバン
おわりに エヌビディアの流儀


著者経歴


テイ・キム(Tae Kim)・・・経営コンサルタントおよびヘッジファンドの株式アナリストとしてキャリアを開始したのち、ブルームバーグ・オピニオンの米国テクノロジー担当コラムニストを務めてきた。現在は投資金融専門誌『バロンズ』の上級テクノロジー・ライターを務める。アメリカの半導体企業やゲーム会社の上層部と深いつながりを持ち、1990年代からエヌビディアを追っている。本作が初の著書。


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