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【書評】「第3の時間: デンマークで学んだ、短く働き、人生を豊かに変える時間術」井上 陽子

2026/01/30公開 更新
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「第3の時間: デンマークで学んだ、短く働き、人生を豊かに変える時間術」井上 陽子


【私の評価】★★★★☆(86点)


要約と感想レビュー


デンマークに移住

大手新聞社に就職した著者は、朝刊と夕刊1日5回の締切に追われながら、平日に夕食を家で作って食べたことのないようなカツカツの生活を送っていました。


デンマーク人の夫と結婚してデンマークに移住してみると、週37時間労働、1日7時間半なので毎日午後4時に帰宅できます。家族で食事を取るのが当たり前で、遅くまで職場に残り、家族との時間が取れないという人をデンマークでは見たことがないというのです。


ただし、専業主婦はほぼおらず、男女ともに働いており、父親と母親が交代で保育園に子どもを迎えに行きます。延長保育もないので、仕事をかっきり午後4時に終わらせて保育園へ向かわなければならないのです。


延長保育が存在しない・・・「なんで延長してまで働く必要があるの?子どもと一緒に時間を過ごしたくないの?」と,これまた素朴な疑問が返ってくるのである(p132)

デンマークの職場

デンマークでは女性が男性と同じように稼いでいます。そもそも税負担が最大で55%なので男一人で稼いで半分以上税金で取られるより、二人で稼いで税金43%くらいに抑えるのが合理的と思える税設計になっているのです。


職場では週37時間しか働けないので、「最重要なことしかやらない」と割り切っているという。


また大企業が少なく、仕事も専門に特化しているので、組織内で昇進していくことは少なく、転職して給与アップやキャリアアップしていくことが主流とのこと。民間企業では5~7年程度で転職するのがごく一般的だという。


お医者さんに聞いてみると、大きな病院では困難な手術を一手に引き受けており,手術数が多いので、すぐにスキルアップできるという。


また、患者が転院する場合、日本では,受診断情報提供書を郵送する必要がありますが,一方,デンマークでは,データベースに医療情報すべてが記録されているので、何もする必要がないという。


デンマークの職場では,余計な仕事をせず,本来の仕事に集中できる環境が,短時間でも仕事の腕を上げることにつながっている(p128)

家族と趣味

デンマークでは毎日4時に退社して、秋休みにクリスマス休暇,冬休みにイースター休暇と,2カ月に一度は1週間か2週間の休みがあり、「休みが多すぎる」と感じるという。


そしてデンマーク人は、平日から子どもとのんびり時間を過ごし、休日はロードバイクで山道を走ったり、バンドや合唱団をやったりと趣味も多彩なのです。多趣味なデンマーク人を見ていると、自分は「仕事だけやってきたつまらない人間」のように感じてしまうという。


北欧では幸福度が高いという調査結果がありますが、それは自由になる時間が多く、その時間を幸福に使えているのです。日々の暮らしのなかに、意味のある目標に向かう充実感や,心から楽しむ時間を取り入れているから幸福度が高いのだと著者は分析しています。


著者も地元の生涯学習センターで,いつか習いたいと思っていたジャズピアノを学び始めたという。


カウンセラーのアドバイスは・・・普段の生活で,これは好き,これは面白い,というものを選んでいくことが大事。そうしていると,自分の皮膚感覚を取り戻していけるから(p170)

デンマーク社会

デンマークには学習塾が存在しません。デンマーク人に聞いてみると、「勉強ができて,いい会社に就職するだけが,いい人生じゃない。大工だっていい人生だし,企業勤めの人よりもいい暮らしの人もいる」と答えたという。学習塾がないことを、もう少し掘り下げてみたいと思いました。


また、デンマークは移民について、仕事を辞めると数ヶ月以内に出国しなくてはならない一方で、高度スキル人材には、税金の優遇制度が用意されているという。低度スキル人材を積極的に受け入れている日本とは、正反対だと感じました。


井上さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・転入転出や出生届、会社設立から不動産購入まで、生活に必要な手続きほぼすべてが、行政窓口に行くことなくオンラインで完結する(p73)


・離婚率が4割というデンマーク人にとって,カップルカウンセラーとは,結婚生活が終わる前にやっておくこと,みたいなイメージ(p225)


・仕事というのは4時に終わらせるものなのだと、「お尻が決まっている」ことそのものに、パワーがあるのだ(p52)


・海外旅行に出かける終末は、木曜日の終業後に飛行機に乗り、金曜日は現地のカフェで仕事をして、終業直後から旅行を満喫しているそうだ(p99)


▼引用は、この本からです
「第3の時間: デンマークで学んだ、短く働き、人生を豊かに変える時間術」井上 陽子
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井上 陽子 (著)、ダイヤモンド社


【私の評価】★★★★☆(86点)


目次


Part1 短時間労働で豊かな国
・第1章 ほどほどにしか働かない国が「競争力世界No1」?
・第2章 しっかり稼ぐデンマークの仕組み
・第3章 短時間労働は理にかなっている
Part2 時間こそ力
・第4章 1日を3分割する考え方
・第5章 なぜ北欧は幸福度が高いのか?
Part3 私はいかに4時に帰るようになったか
・第6章 「午後4時に帰る」を試してみる
・第7章 私を縛っていた成功のものさし


著者経歴


井上陽子(いのうえ ようこ)・・・ジャーナリスト、コミュニケーション・アドバイザー。筑波大学国際関係学類卒業後、読売新聞社に記者として入社。社会部で国土交通省、環境省などを担当したのち、ワシントン支局で特派員を務める。読売新聞在職中に、ハーバード大学ケネディ行政大学院修了。2015年、妊娠を機に夫の母国であるデンマークに移住。ビジネス・インサイダーなどメディアへの執筆のほか、デンマークの経済社会や働き方に関する講演、日本とのビジネスに取り組むデンマーク企業などのサポートも行っている。


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