【書評】「コメ消滅〜自民党と財務省が日本国民を飢えさせる!」三橋貴明
2026/02/13公開 更新
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【私の評価】★★★★☆(88点)
要約と感想レビュー
欧米の農業政策
農業政策は、欧米を真似しましょう!と提案する一冊です。
欧米の農業政策は、食料自給率を高く維持することです。その結果、欧米で過剰生産された穀物は安価な市場価格で世界に販売されます。価格があまりに安いので、農業生産者の所得は、政府による補助金で保障されています。
その結果、安価な穀物がアフリカ・南米に流入し、零細農家が廃業、貧困層となり、現在の移民流入の原因ともなっているのです。
この政策のメリットは、自国の食糧自給率を高く維持できること、食料の価格が安くなること、食料の輸出量をコントロールすることで相手国に対し影響力を持てることです。食料は国際政治での武器になるのです。
実際、アメリカのジョージ・W・ブッシュは、自国の農業生産者に次のように語っています。「食料自給は国家の危機管理上の問題だ。食料自給できない国を想像できるだろうか。できない国は圧力と危険にさらされている」
ただし、デメリットは農家への補助金が大きくなってしまうことです。
歴史的に、農産物は「兵器」として利用されてきた。食料は武器なのだ(p3)
日本の食糧自給率
日本の食料自給率は、カロリーベースで38%くらいです。
日本人はかつて一人あたり年間100キロのコメを消費していましたが、現在は50キロにまで減っています。増えたのは小麦と畜産物と油脂類です。要するに、主食としてパンやうどん、副食として唐揚げ、トンカツ、チキンナゲットを日本人が食べるようになったのです。
小麦は85%が輸入です。
畜産物は、アメリカのトウモロコシを食べて大きくなります。鶏肉200kcal作るのに穀物1400kcal、豚肉200kcal作るのに穀物2450kcal、牛肉200kcal作るのに穀物3850kcal必要です。したがって、日本はアメリカから年1000万トン以上のとうもろこしを輸入しています。国内のコメの需要が700万トンなので、ものすごい量です。
アメリカは日本の食糧供給源として、日本の胃袋を押さえているのです。
現在の我々は年に34キロもの畜産物を食べている・・コメ食からパン食に「胃袋」が変わると、おかずとして「肉」を食べたくなってくる(p241)
減反は危機管理上愚かな政策
欧米では穀物を大量生産し、農家の所得は補助金で補償し、安い穀物をグローバル市場で売っています。
一方の日本は、穀物が供給過剰にならないように減反政策によって生産量を減らし、減っていくコメの需要に合わせているのです。著者が減反政策を批判するのは、お金をかけて生産能力を減らして食料が自給できない方向に誘導しているからなのです。
さらに、農家の人手不足を補うために、外国人労働者を受け入れようとするのは、万が一のときに、外国人に食料自給を頼るという最悪の選択をしているわけです。
欧米では食料自給率を高く維持するため価格保障制度で日本の倍の農業予算を支出しています。スイスでは、農業所得以上には補助金を出しています。それだけ、食料の確保は死活問題なのです。
国産に対する需要を高め、農家を守る・・スイスの卵は国産1個60~80円もする。輸入品の何倍もしても、それでも国産の卵のほうが売れていた(p358)
農薬の問題
最後に農薬について問題提起しています。除草剤グリホサート(ラウンドアップ)がアメリカで健康被害について訴訟が起こされています。日本国内で販売されている食パンの多くからフリホサートが検出されていると著者は説明するのです。
また、アメリカ産小麦はサイロに詰める際に、防カビ剤を噴霧しています。日本では、収穫後の農薬散布は禁止されている点で矛盾があるのではないかという主張です。
農薬問題については、私は専門ではないので評価を避けます。
いずれにしろ、食料がなくなれば、餓死することになります。その点、政府に期待するよりも自分で危機管理するしかないのでしょう。三橋さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・アメリカにせよヨーロッパにせよ、低価格な穀物の輸出は、政府による補助金で実現している・・・穀物の輸出攻勢はアフリカや中南米の農業を破壊し、貧困層を増やし、彼ら、彼女らが自国に移民としてやってくる(p280)
・グローバリズムは「とにかく安い奴隷的に働く労働者が欲しい」という経営者が中心であり、リベラリズムは、「不法移民や不法滞在者にも優しいなんて、ああ、私は何て素晴らしい」と自己陶酔する人権主義者によって支配されている(p272)
・全国の水道管(総延長74キロ)のうち、法定耐用年数の40年を超えるものが、2022年の時点で16万キロに達している・・公共投資の削減により、日本の土木・建築の供給能力は著しく毀損した(p306)
・2017年に日本政府は小麦からのグリホサート摂取限界値を6倍へと緩和した(p24)
▼引用は、この本からです

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三橋貴明 (著)、経営科学出版
【私の評価】★★★★☆(88点)
目次
第一章 食料兵器としての食料
第二章 コメを食べるとバカになる
第三章 亡国の農業政策
著者経歴
三橋貴明(みつはし たかあき)・・・作家・経済評論家。中小企業診断士。1994年、東京都立大学(現:首都大学東京)経済学部卒業。外資系IT企業ノーテルをはじめNEC、日本IBMなどを経て2008年に中小企業診断士として独立、三橋貴明診断士事務所を設立した。現在は、経済評論家、作家としても活躍中。2007年、インターネットの 掲示板「2ちゃんねる」において、公開データの詳細な分析によって韓国経済の脆弱な実態を暴く。
食料安全保障関連書籍
「コメ消滅〜自民党と財務省が日本国民を飢えさせる!」三橋貴明
「日本のコメ問題-5つの転換点と迫りくる最大の危機」小川 真如
「人口減少時代の農業と食」窪田新之助,山口亮子
「国民は知らない「食料危機」と「財務省」の不適切な関係」鈴木 宣弘, 森永 卓郎
「日本一の農業県はどこか:農業の通信簿」山口亮子
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