【書評】「松下幸之助に学んだ 「人が育つ会社」のつくり方」 青木 仁志
2026/05/14公開 更新
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【私の評価】★★★★☆(84点)
要約と感想レビュー
青木仁志さんの半生
人財育成セミナー「頂点への道」受講者49万人、7,000名を超える中小企業経営者教育に取り組んできた青木仁志氏。本書はその著者が自らの半生を振り返りながら「人が育つ会社」アチーブメントの経営の考え方を語った一冊です。
著者が松下幸之助に強く惹かれた理由は、境遇の共通点にあります。松下幸之助は父が米相場で失敗したことで小学校を中退し、丁稚として働き始めました。著者もまた両親の離婚を経て父と義母への反抗の末に東京へ出るという、恵まれないスタートでした。
温かい家庭がなく、貧しく、学歴もない。その境遇から這い上がった松下幸之助の人生が、著者にとって単なる成功者以上の意味を持っていたのでしょう。
本書は著者の「私の履歴書」とも言える内容となっており、ビジネスと精神的な成長の記録として読むことができます。
私が松下幸之助翁の残された書籍から学んだことは計り知れません(p2)
最年少セールスマネジャーとなる
東京で起業に失敗した著者は、百科事典販売会社でトップセールスへと上り詰め、最年少でセールスマネジャーに就任します。マネジャーとして自ら習得したマインド・ノウハウ・スキルを部下に伝えましたが、なぜか部下は育ちませんでした。
この挫折の中で出会ったのが、松下幸之助の「素直な心になるために」という書籍でした。松下幸之助は、問題が起きるのは素直な心を持っていないからだと言います。自分の立場や主義主張にとらわれ、ものごとの本質を見誤るというのです。
著者はここで気づきます。部下指導がうまくいかないのは、「自分が正しく、部下が間違っている」という上司の立場からしか部下を見ていないからではないかと。視点を「部下を変える」のではなく「部下の本質と長期的成長」へと変えただけで、部下に成果が出るようになったというのです。
売ったところから本当のセールスがはじまる・・・役に立つような情報を提供したり、お困りごとを解決するような人を紹介したり・・・一回のセールスで一生の協力者をつくる・・・これが私のモットーでした(p138)
人材育成の世界に入る
セールスで成果を出し続けるなかで、著者は二つの大きな転換点を迎えます。
一つ目は、自分のセールスは、自分の目標を達成するためだけのものであると気づいたことです。そこで著者は、「自分だけの幸せを追うのではなく、自分も他人も共に幸せになる道を求めよう」と考え、セールス会社を辞めて、自己啓発教材の販売会社へ転職するのです。
二つ目は、「選択理論」との出会いです。選択理論とは、「人のすべての行動はみずからの選択による」という考え方です。ところが人は、選択理論を無視して「相手を変えようとする」ので、関係を壊し、不幸になってしまうのです。
日本の職場においては上司が部下に対して、外的コントロールによって思い通りに動かそうとしてばかりで、関係が悪化するわけです。以前の自分のような間違いを減らすためにも、著者は、選択理論に基づく人材育成セミナーを作ろうとアチーブメント株式会社を創業するのです。
相手の行動を変えようと・・・批判する、責める、文句をいう・・・外的コントロールをしている当の本人は、自分が原因で人間関係が悪化していることに気づいていません(p69)
ピンチから生まれた「頂点への道」
独立後の著者は、時間管理研修や能力開発教材の制作に取り組みますが、教材が売れずに倒産の危機に直面します。その窮地から生まれた発想が、「教材を売るのではなく、セミナーを開催してその中で教材を提供する」というモデルへの転換でした。
こうして生まれたのが、25年以上にわたって続く人材育成セミナー「頂点への道」です。「戦略的人生経営」という著者のセミナーの内容は、自らが自分の使命を選択して、内発的動機により成長していくというものであり、著者の「人が育つ会社」の根底にある考え方そのものなのです。
松下幸之助は「人は偉大な存在であり、その能力を開花させ、世の中に貢献していくことこそ、ほんとうの意味での成功」と語っており、まったく同じだと感じました。
青木仁志さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・人を育てる・・・相手を受け容れ、相手の成長を信じ、みずから目標を設定しそれに向かって伸びていくまでじっと見守り、必要な支援をする(p160)
・折にふれ「あなたはほんとうは何を求めているのか」「何のためにこの会社に入ったのか」「自分の人生で何を実現したいのか」といった内発的動機を呼び起こし、それに気づくようなきっかけを与える(p161)
・社員に求める水準を下げることはしませんでした・・・結果的に、優秀でアチーブメントの理念に心から共感する社員だけが残ることになった(p79)
・アチーブメントでは創業以来29年間、日曜日は完全休業・・・・私が家族を大切にしたいからです(p123)
▼引用は、この本からです

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青木 仁志 (著)、PHP研究所
【私の評価】★★★★☆(84点)
目次
プロローグ こんな私でも経営者になれた!
第1章 育ち育てられのビジネス戦記
第2章 人が育つ経営は幸之助哲学にあり
第3章 人が育つ会社の経営者像とは
エピローグ 幸之助さんが遺した「無形の資産」
著者経歴
青木仁志(あおき さとし)・・・1955年、北海道函館市生まれ。セールスマンとして腕を磨き、その後に能力開発トレーニング会社を経て、1987年、選択理論心理学を基礎とした人材教育コンサルティング会社「アチーブメント株式会社」を設立。会社設立以来、延べ49万名の人財育成と、7000名を超える中小企業経営者教育に従事している。
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