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【書評】「名を惜しめ」及川善祐

2026/04/21公開 更新
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「名を惜しめ」及川善祐


【私の評価】★★★★☆(85点)


要約と感想レビュー


東日本大震災で店舗や工場、自宅を流される

著者の及川さんは、宮城県本吉郡南三陸町で蒲鉾屋を営む株式会社及川商店の五代目です。東日本大震災の大津波で店舗や工場、自宅などを流されてしまいました。


義弟は南三陸町危機管理課長で防災庁舎の屋上で43人の犠牲者のうちの一人でした。


近くの体育館で2か月の避難所生活を余儀なくされ、「店の再建なんて無理だ」と諦めていたのを支えてくれたのは、同業の商人たちだったのです。


59日間。私は志津川小学校の体育館で避難所生活を送りました・・・自治会が設立され、土足厳禁やトイレの使用方法、避難者の名簿作成、マスコミ取材対応など、避難所のルールが決められました(p88)

同業者の支援

東日本大震災で被災した商人を支えたのは2008年に発足した「ぼうさい朝市ネットワーク」でした。阪神・淡路大震災で被災し、防災活動に取り組んでいた神奈川県鎌倉市の藤村望洋さんが立ち上げたネットワークです。


四国の呉服屋さんは「取引先が潰れたから、そこに卸すはずだった品物を送るぞ。それを売れ」と言ってくれました。潰れたというのは、多分嘘です。


阿部蒲鉾店の阿部秀一会長は、「工場で使わなくなった臼があるから、持っていけ。店舗を閉めるから、冷蔵庫やテーブルを持っていったらどうだ?」と言ってくれたという。


南三陸町が一番まとまっていて、応援する甲斐があるね。こんなにやられたのに、君らはいつ来ても歓迎してくれて、何を言われてもニコニコしている。君らね、非常に変わっている!(p116)

奇跡の「さんさん商店街」

南三陸町では毎月最終日曜日に復興市が開催され、全国の商人仲間が無償で商品を持ち込んでくれました。毎月2日間の復興市には1万人以上の人が訪れ、数百万円の売り上げがたったのです。


サンサンと輝く太陽のようにと名付けられた「さんさん商店街」は「奇跡の商店街」と呼ばれました。


福興市「さんさん商店街」の会場を埋め尽くす人の力は「店の再建なんて無理だ」と諦めていた心にをつけるのに十分だったのです。著者は山の手の登米市にに建設された新工場で再スタートを切っています。


2012年2月・・・仮設の「さんさん商店街」がオープン・・・その時に撮影した集合写真があります。そのなかの3分の2が全国からのボランティアです(p108)

「旅するかまぼこ」を開発する

著者から社長を継いだ息子は、常温で180日も保存可能な「旅するかまぼこ」を開発に成功します。そして「旅するかまぼこ」の製法をオープンにしライバルも製造・販売できるようにしているという。


これは、「笹かまぼこ」の命名者であり「自動笹焼き機」を考え出した阿部蒲鉾店が、ライバルにも広く公開して、仙台お土産として定着させた姿勢に倣ったという。


タイトルの「名を惜しめ」とは、迷ったときには、信用という看板を大切にしろという、先代から繰り返し伝えられてきた言葉なのです。


困ったときに支援してくれる同業者の商人たちの心意気に感動しました。旅の帰りには蒲鉾を買って帰ろうと思います。及川さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・私を身近で見てきた(息子の)善弥は「震災の前と後で親父は変わった。家族にも社員にも外の人にも、感謝の言葉を頻繁に口にするようになった」と評します(p113)


・「壊滅三兄弟」と言われたのが、岩手県の大槌町、陸前高田市、宮城県の南三陸町でした(p116)


・新型コロナウイルスの感染拡大・・・令和2年の売り上げは、目標を大きく下回り、1億8000万円でした・・・3億円の売り上げがなければ借金を減らすことができないのに・・さらに新型コロナウイルスに伴う緊急融資を受けて、借金は増えています(p139)


▼引用は、この本からです
「名を惜しめ」及川善祐
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及川善祐 (著)、ブレインワークス


【私の評価】★★★★☆(85点)


目次


第1章 及善に生まれて
第2章 人生を変えた東日本大震災
第3章 及善商店の伝統を託す


著者経歴


及川善祐(おいかわ ぜんゆう)・・・1953年、 南三陸町(旧志津川町)生まれ。福島大学経済学部卒業(硬式野球部)。1976年仙台水産入社。1978年 家業の及善商店入社。2011年 東日本大震災にて全財産流失全壊。2011年、登米市に臨時工場開業。2012年 仮説商店街さんさん商店街開業(初代組合長)。2017年 新自宅完成(避難所、仮設住宅生活約 6 年)。株式会社及善商店本社新工場竣工式。2021年 株式会社及善商店代表取締役会長


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