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【書評】「ジェフ・ベゾス 発明と急成長をくりかえすアマゾンをいかに生み育てたのか」ブラッド・ストーン

2026/01/20公開 更新
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「ジェフ・ベゾス 発明と急成長をくりかえすアマゾンをいかに生み育てたのか」ブラッド・ストーン


【私の評価】★★★★☆(86点)


要約と感想レビュー


アマゾンエコー(アレクサ)の開発

2010年から2022年くらいまでのアマゾンの発展の経緯をまとめた一冊です。


2010年頃からアマゾン創業者ジェフ・ベゾスは音声のみで操作できるデバイスを開発しはじめました。グーグルのアンドロイドで音声で検索できる機能からヒントを得て、スマホがなくても音声だけで使えるものを作ろうとしたのです。


ところが2011年アップルは、Siriを搭載したiPhone4Sを発表します。グーグルもアップルも自分たちと同じように音声認識技術に注力していたのです。


ベゾスは音声認識、人工音声のスタートアップを買収し、深層学習のための音声データを数千人分集めて、2014年にやっとアマゾンエコーを発売することになるのです。


グレッグ・ハートは、2010年の後半、音声認識についてベゾスに語った・・スマホに向かって「近くのピザ屋」と言って検索、、グーグルの音声検索はすごいと力説した・・「音声のみで使うデバイスをつくろう。頭脳はクラウドに置く。価格は20ドル」(p31)

新企画の立ち上げと試行錯誤

このようにアマゾンの特徴は、アマゾンエコー(アレクサ)だけではなく、新企画を次々に立ち上げていくことでしょう。失敗に終わったものも多いのですが、アマゾンウェブサービス(AWS)のように立ち上げから10年目で売上は46億ドル、本業より儲かる事業になっているものもあります。


新企画としては、無人のリアル店舗「アマゾンゴー」。中古も売れる「マーケットプレイス」。失敗したFire Phone(スマートフォン)。


送料が無料になるプライム会員向けサービスとして、生鮮食料品を短時間で配送する「アマゾンフレッシュ(プライムナウ)」や無料動画配信「プライムビデオ」を提供しており、顧客を囲い込もうとしていることがわかります。


在庫管理もシステムが自動で行い、大雪の天気予想なら雪かき用シャベルの在庫を増やすような仕組みになっているという。


さらに、輸送についても大手運送会社に頼らずに、自前で配送ネットワークをつくり、配送料の増加に伴い、翌日配送でも低コストで行えいるようになっているのです。


プライム・ビデオ。2016年には32億ドル、2017年には45億ドル近くを投資した・・メディア事業はAmazonプライムの魅力と「粘着性」を高め、アマゾンに落ちるお金を増やしてくれるとベゾスは考えていた(p173)

アマゾンの企業文化

こうした革新を続けるアマゾンの特徴は、ジェフ・ベゾスの発言からわかります。意思決定においては、後戻りできない判断(ワンウェイドア)は時間をかけて検討し、やり直せる判断(とツーウェイドア)はすぐにテストしてみるという。


例えば、インド事業では、狙って狙って狙って撃つ方法ではなく、撃って撃って撃ってからちょっと狙え、と指示しています。つまり、時間をかけて分析し、精度を上げるより、「とにかくやってみろ」という具合です。


また、人の感覚よりもデータを重視する傾向にあり、映画や番組など製作者の才能に依存しているものも、データや分析に基づく判断ができないか要求していることがわかります。ワシントンポストを個人で買収した後に、記事の評価を定量化できないか要求しています。


チームは「ピザ2枚チーム」(8~10名程度)とし、チームのリーダーは1つの課題を与えられ、成功も失敗もすべて責任を取るかわりに、やり方は自由に決められるというものです。アレクサの開発では、音楽、天気予報、照明、温度調節、動画などに機能別に分割し、チームごとに1機能を割り当てて開発したという。


そして企画会議では、商品が市場に与えるインパクトをプレスリリース形式にまとめ、6ページの物語で描くことになっているというのです。


ジェフが持ち込んだもののなかで一番は実験の文化でしょう。大金をつぎ込んだあげくプロジェクトが失敗したら・・心配する人はここにいません。みな、失敗を恐れなくなりました(p152)

アマゾンの暗部

こうした革新の一方で、ニューヨークタイムズにアマゾンの週80時間の労働、生産性が低い社員を首にする「スタックランキング」など、職場の問題が報道されました。その結果、スタックランキング制は廃止となり、異動願いを出して、おなしな上司から逃げ出せるようになったという。


ベゾスの人事の問題意識は、作業員が労働組合をつくり、ストライキを行い、仕事が滞ることです。したがって、作業員は昇進しないかぎり勤続3年でクビになる厳しいものです。


また、アマゾンの販売ページでは、売れる商品はすぐにアマゾンが似たような製品を用意し、アマゾンベーシックとして販売されるという。さらに販売ページ内広告もはじめ、検索結果にはスポンサー広告、アマゾンチョイスが上位に並び、広告を買わなければ商品が売れない状況になっているというのです。


手数料も広告料金が上がり、似たい商品がアマゾンベーシックで販売され、多くのセラーが撤退する状態になっているという。本当なのでしょうか。


確かに私もアマゾンと付き合ってきましたが、金儲けのためなら何でもやるのがアマゾンなのかもしれません。ストーンさん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・ベゾスは・・「これくらいしか投資してもらえないだろうという企画なんぞ持ってくるな。聞きたいのはどうすれば勝てるかだ。その上で、いくらかかるのか、教えてくれ」(p88)


・足りない技術は買う(p35)


・ベゾスは「意図がよくてもうまくいかない。仕組みがよければうまく行く」とよく言う(p117)


・商品写真に人が写っているのがガイドライン違反だとしてセラーアカウントを停止されてしまう・・おそらくはライバルのどこかが違反の監視窓口に苦情を入れたのだろう(p431)


▼引用は、この本からです
「ジェフ・ベゾス 発明と急成長をくりかえすアマゾンをいかに生み育てたのか」ブラッド・ストーン
Amazon.co.jpで詳細を見る
ブラッド・ストーン (著)、日経BP


【私の評価】★★★★☆(86点)


目次


第I部 発明
 第1章 アレクサ―ウーバープロダクトマネージャーとしてのベゾス
 第2章 アマゾンゴー――つまらない名前で始めた極秘プロジェクト
 第3章 インド、メキシコに進出――カウボーイのように開拓せよ
 第4章 AWSとプライムデーの躍進、そして過ちを認める
 第5章 ワシントンポスト再建――「民主主義は暗愚に死す」
 第6章 プライム・ビデオの成功とハリウッドスキャンダル

第II部 レバレッジ
 第7章 マーケットプレイス――品ぞろえマシン
 第8章 アマゾンフレッシュ、プライムナウ――アマゾンの未来はCRaPだ 
 第9章 物流――ラストマイルの支配から脱却せよ
 第10章 アマゾン内広告――裏庭の金鉱をみつける
 第11章 ブルーオリジン――宇宙開発は一歩ずつ貪欲に

第III部 無敵のアマゾン
 第12章 第2本社 ――操業許可を得る
 第13章 大スキャンダル――ややこしくなる要因
 第14章 強くなりすぎた代償――審判を受ける
 第15章 CEO交代――パンデミック


著者経歴


ブラッド・ストーン(Brad Stone)・・・20 年以上にわたってシリコンバレーを取材してきたベテラン記者で、ブルームバーグニュース、グローバルテクノロジー部門の上席編集主幹を務めている。著書にニューヨークタイムズ紙のベストセラーに入り、日本語を含む35 言語以上に翻訳された『ジェフ・ベゾス 果てなき野望-アマゾンを創った無敵の奇才経営者』(日経BP)、『UPSTARTS-Uber とAirbnb はケタ違いの成功をこう手に入れた』(日経BP)がある。サンフランシスコはベイエリア在住。


アマゾン関連書籍


「ジェフ・ベゾス 発明と急成長をくりかえすアマゾンをいかに生み育てたのか」ブラッド・ストーン
「アマゾンのすごいルール」佐藤 将之
「amazon「帝国」との共存」ナタリー・バーグ、ミヤ・ナイツ
「アマゾン、ニトリ、ZARA・・すごい物流戦略」角井 亮一


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