「アマゾン、ニトリ、ZARA・・すごい物流戦略」角井 亮一
2019/01/11公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(86点)
■物流の視点から優良企業の経営を
教えてくれる一冊です。
物流は目立ちませんが、
やり方によって結果が
はっきり分かるところが面白い。
物流戦略がその会社の
利益に大きく影響するのです。
・セブン・イレブンが同じ物流重視の考え方です。
関西や中国地方などへの進出の際には、
惣菜工場や物流センターを作るのが先でした。
また、店舗を出店するかどうかは、
物流部隊に決める権限があります(p18)
■具体的な企業の物流事例が面白い。
例えばアマゾンの配送費比率は約12%。
ZARAを運営するインディテックスでは
世界の店舗に発注から48時間以内に
商品を配送している。
ヨドバシカメラでは、
店舗とネットショップで在庫と価格を
一元管理しており、
どちらでも同じように買える。
・(ZARA)出荷指示からの時間軸で見ていくと、
1時間後にはスペインにある物流センターに商品情報が
送られ商品を確認、2時間後には出荷準備が開始され、
8時間以内に商品の出荷が完了します。ヨーロッパの
店舗ではトラック便で36時間以内に商品が到着。
ヨーロッパ以外の店舗の場合は、航空便により
48時間以内に到着というのが基本です(p177)
■世界のベストプラクティスを知り、
そこから学ぶことが大事だと思いました。
理論も大事ですが、
実際に成果を出している仕組みは
説得力があるのです。
角井さん
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・アマゾン・・営業利益の黒字化を達成した
2002年ごろには配送費比率は10%近く
かかっていましたが、年々配送費用を効率化し、
2009年には7%程度にまで引き下げました。
ところがそこを境に、配送比率は再び右肩上がり・・
2015年には、配送費が100億ドルを超え、
配送費比率も約12%に上昇・・・顧客の
利便性を重視した将来に対する先行投資(p36)
・ヨドバシカメラ・・・
オムニチャンネルでの対応・・・
まず、「在庫の一元管理」です。
これはネットショップ、リアル店舗の店頭、
物流センター、移送中のトラックにある商品在庫を
リアルタイムで管理することです・・・
次に「価格の統一」です(p243)
・同社(アイリスオーヤマ)では、コストをかけた
マーケット調査というものを行いません。
「マスを対象にリサーチしてもだいたいニーズは
同じものになり、そこからは潜在需要はわからない」
という考えが根底にあるからです(p143)
・アイリスオーヤマの工場の稼働率に対する
考え方もユニークです。
100%稼働させることはなく、稼働率65%程度、
常時3割以上の余裕をもたせておくのが基本です・・
稼働率65%で運用していれば・・
生産設備の追加投資をすることなく
増産への対応が容易になります(p161)
・ニトリグループでは商品の約90%を、部品の調達
(一部部品では自社製造も行っている)から
組立まで海外で生産しています・・・
国際分業によりコストは半分になりました・・
品質管理について大きく改善したのは、
2004年に元広州ホンダ技術総監の杉山清氏が
参画してからです。杉山氏は自動車生産の
品質管理手法を取り入れ、不良品クレーム率を
3.5%から0.2%まで大きく改善させました(p103)
・「在庫テコの原理」・・・
在庫が増えるとテコのようにコストが
2倍3倍と上がる・・返品もありますし、
そもそも送る必要のない商品を
送るコストもかかります。
在庫を置く倉庫賃料もかかりますし、
廃棄コストもかかります(p300)
・通常のアパレル製品の場合、プロパー販売率
(発売時の店頭価格で売り切る割合)は
60%あればかなり効率的と言われていますが、
インディテックス(ZARA)ではプロパー販売率は
90%にもなるそうです。ムダの少ない販売で
定評のあるユニクロでも75%程度です(p187)
・ニトリ・・社員1人当たり年間で平均研修時間を
約36.6時間もかけています。1人あたり
(パート・アルバイトを含めた)の平均教育費は
約26万円。上場企業の平均の5倍にもなります(p82)
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【私の評価】★★★★☆(86点)
■目次
序章 なぜ、物流戦略なのか?
第1章 アマゾンの物流戦略
第2章 ニトリの物流戦略
第3章 アイリスオーヤマの物流戦略
第4章 ZARAの物流戦略
第5章 DHLの物流戦略
第6章 オムニチャネルと物流戦略
終章 物流戦略の4C