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「amazon「帝国」との共存」ナタリー・バーグ、ミヤ・ナイツ

2019/05/30公開 更新
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amazon「帝国」との共存


【私の評価】★★★★☆(84点)


要約と感想レビュー

 アマゾンはアメリカのオンライン販売の半分のシェアを持っているという。日本でも楽天とトップ争いをしています。アマゾンがこれだけ成長したのは、顧客サービスを重視する戦略によるものだとわかります。


 まず、配送料が無料となるプライム会員。プライム会員の会費だけでは配送料は赤字となりますが、顧客を集めるサービスとして戦略的に価格設定しているのです。注文してから当日届くプライムや最短で2時間で届くプライム・ナウというサービスは、リアル店舗の存在価値を失わせているのです。


 商品注文の起点となるであろうキンドルやエコーなどのデバイスも、原価か原価割れで提供して顧客を囲い込もうとしています。恐るべき拡大戦略だと感じます。


・長期間、利益を計上しない。それがわが社の戦略だ(ジェフ・ベゾス)(1997年)(p39)


 そしてアマゾンは利益をゼロとするまで、顧客サービスに投資する戦略を取っています。税金をできるだけ払わずに、顧客サービスを最大化するための投資を続けているのです。その資金は顧客サービスに配分したり、新しい技術開発に投資されています。


 特に技術開発については、すぐに実用化されそうなものが多いと感じました。例えば音声制御技術については、アマゾンエコーを使って、声だけで、家電を作動させたり、音楽を聞いたり、天気予報を確認したり、アマゾンで買い物をすることができるのです。


 また、2017年に導入された「アマゾン・キー」では、し自宅内にアマゾン・フレックスの契約業者が一回限りのエントリーコードを使って入り、注文品を運び入れることができます。入室してから出るまでの行動をカメラが記録し、その映像がユーザーのスマホにリアルタイムで送信されるサービスです。


・アマゾンの推進力・・・
  アマゾンブランドのキオスク・・・商品受け取り用ロッカー・・
  ・本を売ることを目的としないリアル書店・・・レジなしスーパーマーケット・・
  ・異動販売サービス「トレジャートラック」・・
  ・オンラインで高評価を得たアイテムのみを扱うアマゾン4スター・・
  ・ドライブスルー型スーパーマーケット(p143)


 オンライン書店からスタートしたアマゾンは成長し続け、今も試行錯誤を続けています。楽天やZOZOTOWNに比べても、センスと本気度が違うように感じました。将来の小売は実店舗もオンラインも統合されて、いつでもどこでも商品を検索し、注文できるようになるのでしょう。


 良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・1億人を超えるプライム会員を世界中に抱えている。およそ100ドルの年会費を支払うだけの魅力が、アマゾンにはあるのだ(p22)


・アメリカでは年収11万2000ドル(約1120万円)以上の世帯の82%がプライム会員(p83)


・配送コストのおよそ60%がプライムにより補てんされると推定され、プライムの収支を合わせるためには年会費を200ドル(約2万円)まで引き上げなければならない・・(p85)


・ウォルマート版プライムともいうべき「シッピングパス」は、注文から2日後に商品が届く会員制配送サービスで、年会費はプライムを下回る49ドル(約4900円)だった。それなのになぜうまくいかなかったのか・・・ウォルマートは早々にシッピングパスを廃止し、200万点以上の商品を対象とした2日以内配送を年会費無料で開始した(p76)


・100ドルで販売される衣料品の原価はおよそ40ドル。賃貸、間接費、人件費などの運営費に28ドルかかるとして小売の利鞘は32%・・・オンラインで受注して配送すると、原価は同じ40ドルだが、受注処理にかかるコストが実店舗での処理コストより若干高くなる。また、受注した商品はピッキング、梱包されたのち、物流センターから顧客の自宅へ個々に配送されるため・・諸々の運営費の合計は30ドルで、小売の利鞘は30%(p133)


・自社ブランド(PB:Private Brand)・・アマゾンの買い物客が「ブランド名」で検索をかけない・・アマゾンのサイトで検索される商品のおよそ70%は、「アイテム名」で検索されている(「ジレット」ではなく「シェービンググリーム」など)・・アマゾンはいとも簡単に買い物客をPBへ誘導できるようになっている(p214)


・2014年にアマゾンが取得した「予測出荷」の特許は業界に波紋を呼んだ。顧客自身が購入するかどうかを決める前に、顧客の近くに商品をストックしておくシステムだ。このシステムはアマゾンがAIを利用して、サプライチェーンからさらなる効率性を絞り出そうとする意図の表れだった(p260)


・値札付けに時間がかかるということは、競合相手の値引きに迅速に対応し価格変更をするのも難しい・・従来型店舗は、AI駆動の動的価格設定アルゴリズムを採用するアマゾンに対して、かなり不利な立場に追いやられる(p310)


amazon「帝国」との共存
amazon「帝国」との共存
posted with Amazonアソシエイト at 19.05.29
ナタリー・バーグ ミヤ・ナイツ
フォレスト出版 (2019-05-22)
売り上げランキング: 4,231


【私の評価】★★★★☆(84点)


目次

第1章 アマゾンの世界
第2章 なぜアマゾンは別格なのか?
第3章 アマゾンの最高傑作プライムの脅威
第4章 小売はアマゾンによって駆逐されるのか?
第5章 EC専業企業の生き残りへの道
第6章 いまだ果たされない生鮮食品への野望
第7章 ホールフーズ買収によるリアル店舗新時代へ
第8章 圧倒的に有利なプライベートブランドの破壊力
第9章 テクノロジーが変える私たちの消費行動
第10章 AIと音声が見せる小売の新たなフロンティア
第11章 未来のストアのデジタルとフィジカル
第12章 「経験」を売る未来のストアが生き残る
第13章 ラストワンマイルで顧客を勝ち獲る闘い
第14章 ラストワンマイルを支えるインフラストラクチャー
第15章 アマゾンはピークを迎えたか



著者紹介

 ナタリー・バーグ(Natalie Berg)・・・小売アナリストであり、小売戦略と購買の将来トレンドの専門コンサルタントNBK Retail創業者。
世界的なアナリストファームであるプラネット・リテール&カンターで15年間チームを率いた経験がある。

 ミヤ・ナイツ (Miya Knights)・・・Eagle Eye Solutionsのトップで、小売業界での企業技術に関するアナリスト、ジャーナリストとして20年のキャリアを持つ。
Vendの選ぶ小売に影響を与えたトップ50に入った『Retail Technology』誌オーナーでもある。本書が初めての著書。


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