【書評】「ウォルマートの成功哲学」ドン・ソーダクィスト
2026/01/13公開 更新
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【私の評価】★★★★☆(85点)
要約と感想レビュー
フランチャイズからはじめる
世界で80兆円を売り上げるというウォルマートも、最初は小売店のフランチャイズからはじめました。ウォルマートの創業者であるサム・ウォルトンは、フランチャイズのマニュアルに縛られず、自ら工夫し改善していくことで、1962年には15店舗を抱える最大のフランチャイジーになっていたのです。
サム・ウォルトンは、さらに大きな店舗で品ぞろえを増やし、直接メーカーから仕入れ、安値で大量販売するディスカウント店の実験をフランチャイズに提案します。しかし、小さい町で大きなディスカウント店がうまくいくはずないと、フランチャイズから協力を拒否され、ウォルマートを創業することになるのです。
小さな町だと,お客様の数が限られているから,ディスカウント店をやっても十分な売上を確保するのは無理だ・・今やっている商売ですでに一番大きな規模にまで成長して成功しているのだから,これ以上を望むことはないだろう(p22)
お客様のために尽くすこと
サム・ウォルトンの基本的な考え方は,「お客様のために尽くすこと」「すべての従業員に配慮すること」「絶えずより良い結果を目指して努力すること」とまとめられています。つまり、サム・ウォルトンは、絶えず従業員やライバル店,お客様の話を聞き、ビジネスを改善し続けてきたのです。
ウォルマートでは経営メンバーは、毎週少なくとも一日はいくつかの店を訪問することになっています。例えば、著者がライバル店の視察で、「これまで見てきた中で最悪の店だよ」とぼやいていたとき、サム・ウォルトンは「今まで見た中で最高のパンティ・ストッキング売場だったよ」と語り、陳列棚の裏の会社の名前と住所をメモして、同じ陳列棚を設置するように指示を出したという。
このように経営メンバーも朝早く飛行機で出発し,一日に5~6の店舗を訪問し、店長や店舗のマネジャーたちに視察結果を伝え,近くのライバル店を訪れて良好事例をチェックして,次の店に向かうのです。
なお、ウォルマートでは従業員も経営メンバーも、宿泊はビジネスホテルに同性の同行者と相部屋となります。経費削減と、会社内のコミュニケーションを深める機会としているのです。
テン・フット・ルール・・自分の半径10フィート(約3メートル)以内にお客様がいらした場合には,その時何をしていても,いったん顔を上げ,お客様の目を見てこちらから話しかけるというものだ・・・アソシエイトは,そうしたお客様の多くの名前を覚えている(p147)
ストア・イン・ストア(小さく考える)
ウォルマートは初期からPOSシステムを導入しており、土曜日の経営会議では、前日の金曜日までの全店舗の売上データが,朝5時までに,経営メンバーに配られるという。
こうした経営データは、ウォルマート内での「ストア・イン・ストア」、つまり、店舗の一部門を一つの専門店として経営する考え方も支えています。つまり、店舗の部門マネジャーは,毎月担当する部門の売上高,利益率,在庫状況などの経営データを受け取り、店長と課題を洗い出し,翌月の販売計画を考えるのです。
在庫管理については、定番商品は自動補充されますが、それ以外は過去の売上履歴から需要予測が出され、それを各店でチェックして物流センターに発注します。自社倉庫の在庫の最適化が行われ、欠品がないどころか、お店の売り上げに合わせた単品、少量発注ができる仕組みになっているのです。
商品の搬送頻度も週2回から一日おきへ,さらには毎日へと徐々に増えていった。今日では,毎日複数回の商品搬送が普通になっている(p243)
サプライヤーとの在庫共同管理
在庫管理については、自社倉庫の在庫の最適化だけでなく、サプライヤーとの在庫共同管理までやっています。つまり、サプライヤーは、ウォルマートのシステムで販売状況、在庫状況が確認できるだけでなく、商品在庫をウォルマートの倉庫在庫とサプライヤーの在庫の最適化までしているのです。
これは「エブリデー・ロープライス」ということで、ウォルマートは大量販売し、サプライヤーは限りなく固定費を削減し、販売と同期した生産を行っているということであり、画期的だと感じました。
こうした技術的な革新も、すべてはお客様のために継続的な改善を行ってきたサム・ウォルトンの考え方から生まれているのです。ソーダクィストさん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・物流システム全体の改善プロセス・・フェーズ1 自社で倉庫を保有・・・フェーズ2 自社倉庫で商品のバックアップ在庫を保有・・フェーズ3 機械化・自動化・・フェーズ4 店舗ごとの商品の自動補充,商品在庫のサプライヤーとの共同管理(p235)
・ウォーレン・バフェット氏の推定によれば,ウォルマートは,主としてその「エブリデー・ロープライス」プログラムを通じて,年間100億ドル相当の消費者支出の節減に貢献している(p36)
・多数のトラックが商品を満載して店に向かうのはいいが,商品配達後に荷台が空っぽのままで物流センターまで戻ってくる・・帰り道にこうした工場に立ち寄って,商品を積み込んできてもらうようにした・・・今では物流センターに運ばれる商品の半分以上が,自社のトラックで搬入されるまでになっている(p244)
▼引用は、この本からです

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ドン・ソーダクィスト (著)、ダイヤモンド社
【私の評価】★★★★☆(85点)
目次
ウォルマートの成功哲学
果てしなく広がる夢
ビジョン―他の人には見えないものを見る力
企業カルチャーの力
人こそが価値を生み出す
お客様こそが私たちの「ボス」
卓越した成果を生み出す情熱
何事も実行あるのみ
テクノロジーで変革を加速する
サプライチェーンを刷新する
サプライヤーとの信頼関係の構築する
成長の終わりはない
地域社会への貢献
著者経歴
ドン・ソーダクィスト(Don Soderquist)・・・1980年にウォルマートに入社。創業者サム・ウォルトンに仕え、同社の副社長、最高執行責任者(COO)、副会長などの要職を歴任。サム・ウォルトンが1992年に逝去した後は、同社の企業文化の継承・発展に尽力し、1996年に小売業界の殿堂入り。1998年には、John Brown University内に彼の名を冠した「ソーダクィスト・センター・フォア・ビジネス・リーダーシップ」が創設された。
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