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【書評】やばい人の頭の中「パワハラ上司を科学する」津野 香奈美

2026/02/03公開 更新
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「パワハラ上司を科学する」津野 香奈美


【私の評価】★★★★☆(84点)


要約と感想レビュー


パワハラについて研究

会社の上司が読んでいたので、お借りした一冊です。著者は職場のパワハラについて10年以上研究されています。


著者はアルバイトでパワハラを目撃したことがあります。アルバイト先の部長は電話で契約が取れないと「契約が取れないってどういうこと!? 営業のセンスがないんじゃない!?」「ばかなの!?」と細木数子のように罵倒していたという。


もちろん部長は、仕事熱心で、部下が契約を取れるように「厳しく指導」「気合を入れよう」としているわけです。このようにパワハラは行為者に悪気がなくて、被害者は仕事ができないという状況から、一見正しそうに見えるため、「パワハラではない」と結論付けられてしまう場合があるのです。
 

学校のいじめ(いじり)の場合も、加害者は「いじめのつもりはなかった」「遊びだった」と証言します。それで教育委員会が「いじめはなかった」と結論付けてしまうのです。


そもそもいじめやパワハラの最初は、ちょっとからかってやろう、とか価値観が違うとか、些細なことをきっかけにスタートし、相手が御しやすいとわかるとエスカレートしてしまうのです。


どんなに仕事ができない部下でも、罵声を浴びせたり・・噂を流したり恥をかかせたりする行為は、手段としても行為としても不適切です(p29)

パワハラの背景分析

職場でのパワハラの背景を分析すると、管理職やベテランになって力を持つと、「自分が偉くなった」という勘違いが生まれることにあるという。


そして、パワハラをする人の性格にも特徴があります。パワハラをする人の特徴は、マキャベリ主義、サイコパシー(精神病質)、自己愛傾向の三つで「ダークトライアド(やばい人の3つの特徴)」と言われています。
 

つまり、社交的、活発、陽気なのですが、本当の意味で人に関心がなく自己を優先するため、他人を平気でいたぶることができるのです。そうした人はノルマが課されると、部下に「ノルマが達成できていない分際で、休めると思ってんじゃねえ!」と簡単に言えるのです。


また、マキャベリ主義が強い人は、表立って暴力は振るいません。自分の責任問題にならないようにより慎重に、より注意深く人を傷つけたり、追い込んだりするのです。


具体的には、仕事を邪魔したり、仕事のミスを攻撃したり、攻撃対象の悪い噂を広めたり、飲み会で攻撃対象を排除したり、攻撃対象がミスをするように仕向けたりして、自分の優位性を維持するのです。


能力の高い部下が来た際に自分の地位が脅かされることを恐れて、その部下がわざとミスをするように仕向けたり、自分の方が上の立場であることを示すために皆の前で罵倒したりすることで、自尊心を回復する(p135)

パワハラへの対処法

そして現実には、パワハラする人が、上層部から気に入られていることがあります。基本的に仕事ができるので、自分のやり方を押し付けるので、短期間には成果が出るのです。


また、パワハラする人は、弱い人には強圧的ですが、反対に、強い人には従順で笑顔で対応する優秀な人にしか見えません。疲弊する部下がいる一方で、それを受容するフォロワー(部下)もいるので、上層部からは問題が見えにくいのです。


したがって、パワハラへの対処法は、同僚や後輩、部下へのヒアリングです。


そしてパワハラの可能性がある場合は、上司が「それはパワハラになりうる」「社員として不適切な行動だ」と言って、止めるしかないのです。


ただし、いきなりパワハラで処分は認識の相違があるので、まずは文書で注意指導を行いましょう。「次に同様の言動を行った場合は、懲戒処分となる可能性がある」と通知することを推奨しています。


したがって、パワハラしている人の上司が放任型だと、パワハラに「無言の承認」を与えてしまい、最悪の結末に進んでしまうこともあるのです。


第一段階・・不和の段階・・第二段階・・攻撃的行為の段階・・第三段階・・管理者層が加担する段階・・第四段階・・被害者に対する烙印の段階・・第五段階・・組織からの排除の段階(p159)

パワハラが厳しく処罰される

最近はパワハラが厳しく処罰されるようになり、パワハラを表だってやることは難しくなりました。


思い出せば私も会社員生活37年、書類を投げる人もいたし、間にある机を蹴る人もいたし、私がいじめられている環境に耐えられなくて上司が会社に来なくなったこともあるし、先輩に過去の引継書を隠されたうえで、「引継書どう書くか考えてないんですか?」と詰められたこともあります。


それでも結果的には、精神的に強くなったし、よく考えて仕事をするようになったし、メルマガのネタにもなったし、いい思い出になっていると思います。


世の中にはいろいろな人がいますので、楽しめますよ。津野さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・部下に耳の痛いことを伝えるにはどうしたらよいか・・・ほめられる点・できている点を先に伝える(p254)


・マレーシア版職場のいじめ尺度・・・職場内容とは無関係の不必要な仕事をするよう求められる・・指導・助言なしで働くよう言われる・・締め切りを守るよう強いられる・・何か間違っていた時に、不当に非難される(p232)


・個別配慮型リーダシップとは、上司が部下の長所を伸ばせるように手助けしていたり・・部下がそれぞれが異なる欲求・能力・抱負を持っているものだとして接している状態(p238)


・ステップ1部下の長所を見つける・・ステップ2感謝する・承認する・ほめることで、報酬を与える・・ステップ3期待していることを伝える(p243)


▼引用は、この本からです
「パワハラ上司を科学する」津野 香奈美
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津野 香奈美 (著)、筑摩書房


【私の評価】★★★★☆(84点)


目次


第1章 パワハラとは何か
第2章 誰がパワハラをしているのか
第3章 パワハラを引き起こす上司の三大リーダーシップ形態
第4章 なぜパワハラは起こるのか―パワハラが発生するメカニズム
第5章 パワハラ上司にならないためにはどうすればいいのか


著者経歴


津野 香奈美(つの かなみ)・・・神奈川県立保健福祉大学大学院ヘルスイノベーション研究科准教授。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。博士(医学)・博士(保健学)・公衆衛生修士。10年以上にわたり職場のパワハラ等の人間関係や上司―部下の関係性と健康との関連に関するエビデンス(科学的根拠)を継続的に発表している、日本で唯一の社会医学系研究者。研究結果を現場に生かすべく、企業や自治体でコンサルティングを実施している。


パワハラ関連書籍


「なぜパワハラは起こるのか:職場のパワハラをなくすための方法」宮本剛志
「一流の人は知っている ハラスメントの壁」吉田 幸弘
「パワハラ上司を科学する」津野 香奈美
「モンスター部下」石川 弘子


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