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「老いの抜け道」近藤 勝重

2021/09/14公開 更新
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「老いの抜け道」近藤 勝重


【私の評価】★★★★☆(82点)


要約と感想レビュー

 著者の近藤さんは「サンデー毎日」編集長ののときに、胃がんの手術を受けました。胃がんをきかっけに海沿いの街に引っ越し、著者は50歳にして散歩道の樹木、道端の草花の美しさに気づいたという。


 お酒も辞めて、夜の盛り場に出ることもほとんどなくなり、仏壇や机に花を飾り、朝夕に散歩をするようになったのです。著者のそれまでの生活は、効率化を優先する近道人生でした。仕事は競争であり、結果に一喜一憂し、無理をしていたのです。


 一歩脇道に寄って、足を止めて、道端を見ると、そこに大きな樹が立っていることに気づき、「まいったな」という言葉が出たという。近道ばかり走っていたので、こんなに美しいものが存在していることに気づいていなかったのです。


・人生なんて夢みたいなもんだぜ。現実(うつつ)だと思うと悔いが少しは残るけど、夢だと思えば、楽しい夢を見たとしか言えないもんな(石原裕次郎)(p53)


 確かに仕事というものは、資本主義という効率的な社会を作るために貨幣を基準に作られた人工的な生活様式でしかありません。もちろんそうした効率化した社会によって私達は食べ物に困ることもなく、ネットで娯楽を楽しみ、安心してベッドで寝ることができているのも事実なのです。


 50歳を超えるとそうした現実に気づき、自分の人生を楽しむというか、味わうということも一つの選択肢として持っておくべきなのかもしれません。近藤さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・50歳?ピカピカのダイヤモンドだよ。今なら何にでもチャレンジできるぞ(p29)


・アランの言葉に、「きみ自身のことなど考えるな。遠くを見よ」というのがあります(p36)


・何を成したかじゃない、何を成そうとしたかが大事なんだ(高倉健)


・老年にとって、いわば肉欲や野望や争いや敵意やあらゆる欲望への服従期間が満了して、心が自足している・・・研究や学問という糧のようなものが幾らかでもあれば、暇のある老年ほど喜ばしいものはないのだ(古代ローマ政治家大カトー)(p20)


・父(藤沢周平)の基本姿勢は、戦わずして勝つことにありました。父は、これが嫌だあとか、これはいけないとか、相手を否定したり非難したりするようなことは言いません。代わりに、自分が駄目だと感じたことには、断ることで相手に理解してもらおうとしていました(p147)


・がんの告知を受けた人の約3割がうつ症状に陥るといわれています(p157)


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▼引用は、この本からです
「老いの抜け道」近藤 勝重
近藤 勝重,幻冬舎


【私の評価】★★★★☆(82点)



目次

ぼくら次第で何とかなるものは何とかしませんか
「老いる」とは希望のマイ・ウェイを「考える」こと
70歳が「若い!」といわれるそのわけは
「一瞬のハッピーがあったら、また走れるよね」
この人にして語り得る言葉
いたずらに大きくするな、がん不安
そう心配しなくてすむ「病名」で「安心」は禁物
トンチンカンも楽しもう
朝の光が照らす"老いの抜け道"
みなさん、怒りは下ろしましょう


著者経歴

 近藤勝重(こんどう かつしげ)・・・コラムニスト。毎日新聞客員編集委員。早稲田大学政治経済学部卒業後の1969年毎日新聞社に入社。論説委員、「サンデー毎日」編集長、専門編集委員などを歴任。毎日新聞(大阪)では大人気企画「近藤流健康川柳」の選者を務めている


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