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「おかみの凄知恵 生きづらい世の中を駆けるヒント」冨永 照子

2021/09/16公開 更新
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「おかみの凄知恵 生きづらい世の中を駆けるヒント」冨永 照子


【私の評価】★★★★☆(89点)


要約と感想レビュー

 浅草の蕎麦屋「十和田」の女将で、「浅草おかみさん会」会長として有名な冨永照子さんの一冊です。


 著者は浅草の和菓子屋に嫁いで女将になったものの、従業員の給与は遅配で、旦那は芸者遊びが好きで、芸者を妾にして家に帰ってこない。その上、旦那と妾が商売に失敗して、ある時、借用書の束が送られてきて、著者が借金をすべて引き受けたという。


 だれもが、それはひどいという状況でもただ前向きに「どうすればいいだろう」と考えて、著者は行動してきたのです。どんな状況でも明るくノビノビへこたれずに前進する姿がすごいです。


・難題を一つこなすのよ。そしたら、次の扉が開けられるよ、ちゃんと(p165)


 著者は江戸っ子だから、やっぱり人間は、義理と人情と心意気が大事だという。「勇気」「やる気」「元気」で行動して自分を売るということです。もちろん失敗したり、うまく行かない時もあるのです。失敗したら、そこから学ぶことがあるという前向きなところが江戸っ子なのでしょう。


 老舗も三代続けば合格だという。そのためには調子の良いときに拡大せず、調子の悪いときには頑張るという中庸が大事。著者は四代目ですので合格ですね。


・「勇気」「やる気」「元気」の三本柱。あと少々の「リスク」を背負う。これがリーダーの条件。ただ、その土台に「感謝」が少ないと、柱はぐらついてくる(p73)


 面白いのは著者が若い頃の自分と、八十代の自分を比較しているところです。昔は度量が狭く「あんたにゃ、無理だよ」とか「とっとと辞めちまえ」とか思ったことを口にしていた。


 八十代の今なら、もっと言い方を工夫するか、言わないか。嫌いな人にも、その人の人生があると思えるようになったわけで、一歩引くことを覚えたという。


 浅草は元気がいいという印象があるのですが、元気のいい女将が裏にいたという落ちでした。読んで元気になりました。冨永さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・脈がありそうだと感じたら、何か贈ったりしてみる。まあ定番だとメロンとかさ、贈るわけよ、手紙も添えて(p21)


・感性を磨くために、趣味や習い事に励んでみるのもいい。少々の贅沢をしてみるのもいい。できたら、少し背伸びしたものに触れると、さらにいい(p22)


・仕事では、納得できないことにいっぱい遭遇する。そんな時、言いたいことをグッと呑み込み、「はい」と言うことも大事・・・一度引く・・・後はトップ同士で話をつけてもらう。上から圧力がかかれば、意地の悪いチンピラみたいな連中なんて、途端におとなしくなるんだから(p60)


・ 調子がいい時がしばらく続くと・・・必ず落とし穴にハマるわけ。でもね、穴に落っこちたほうがいいのよ・・・下から目線になった時、世の中がどう見えるか。周りの人間たちがどんなふうに見えるか・・・地べたから見ないと気づかないことが、世の中にはいっぱいあるのよ(p88)


・上っ面の言葉使って、いい人ぶっているだけじゃ、人生ダメだよ。嫌われてもいいから、ちゃんとしたことをズバッと言うべきよ(p91)


・何かやろうと思い立ったら、まずは「やる!」と口にする。次に、内容を周りに話して回る。そうやって自分を逃げられなくするのよ(p99)


・一人で抱え込んだりとかしない。なんでも喋っちゃう。そっちのほうが得よ(p200)


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▼引用は、この本からです
「おかみの凄知恵 生きづらい世の中を駆けるヒント」冨永 照子
冨永 照子,TAC出版


【私の評価】★★★★☆(89点)



目次

はじめに 凄知恵とは、人を活かす知恵である
第1章 お金は人に使え ~お金の凄知恵
第2章 生きるは商い ~かしこく働くための凄知恵
第3章 修羅場道 ~痛い目に遭った時の凄知恵
第4章 人を動かし嵐を呼ぶ ~人づきあいの凄知恵
第5章 旗を立てたら、走り続けろ ~素敵に歳を重ねる凄知恵
第6章 早く止まり木を見つけなさい ~男と女の凄知恵
第7章 どん底だって仏はいるから ~生きのび方の凄知恵


著者経歴

 冨永 照子(とみなが てるこ)・・・1937年生まれ。浅草仲見世老舗四代目。浅草おかみさん会理事長、(株)菊水堂代表取締役社長。1960年代から浅草復興のために尽力。「2階建てロンドンバス」の導入、「浅草サンバカーニバル」「浅草・ニューオリンズ・ジャズフェスティバル」を毎年開催、浅草寺のライトアップ、つくばエクスプレスの誘致なども実現。


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