「Think Smart 間違った思い込みを避けて、賢く生き抜くための思考法」ロルフ・ドベリ
2025/02/20公開 更新

Tweet
【私の評価】★★★★☆(81点)
要約と感想レビュー
成功するためには失敗を排除すればいい
著者はビジネス書籍の要約を提供するサービス「getAbstract」の創業者です。著者が書籍から学んだことは、成功に意識を集中させるのではなく、失敗を排除すればいいということです。
そこでこの本では、より良い人生を送るために陥りがちな錯覚や落とし穴を解説しています。幸福になるためには、幸福になろうとするより、不幸を避けるのが近道なのです。
ビジネスにおける難問の解決法を学んだわけではない。学んだのは、難問は避けたほうがいいということだ(ウォーレン・バフェット)(p3)
人の幻想や錯覚
この本で紹介している錯覚を見ていきましょう。
まず、スイマーズボディ幻想です。これは水泳選手のように筋肉モリモリになりたいと、水泳をはじめる人がいると思いますが、これは錯覚です。水泳選手の体形がモリモリなのは、もともと体格のよい人が水泳選手になったという要因が大きいのです。
また、占星術、筆跡占い、手相占い、タロット占い、祖先の霊などを信じている人も、これは錯覚です。多くの人にも適合することを言われると、あたかも自分のことを言われたように錯覚してしまうのが、人間の特性なのです。
人間には、ほかの多くの人にも適合する性格描写を、自分だけに当てはまるように感じてしまう傾向がある・・占星術やアストロセラピー、筆跡占い、バイオリズム診断、手相占い、タロット占い、降霊術など(p168)
統計の数字に注意
錯覚と同じように、統計の数字にも注意する必要があります。
少数の対象に対し、統計データを取ると、その比率が大きく変動して信頼できないものとなります。例えば、農村部にある小さな店舗で万引き率が高かったとしましょう。実は、万引き率が低いのも、ほとんどが農村部の店舗なのです。
つまり小さい農村部の店舗では1,2件の万引きだけで万引き率が高くなってしまうし、逆にお客さんも少ないので、万引きがほとんどない店もあるわけです。
新薬開発でも、治療意図の錯誤という統計上の錯覚があるという。例えば、「新薬を定期的に服用した患者」の五年後の死亡率は15%で、「新薬を定期的に服用しなかった患者」の死亡率は30%だったとしましょう。
実は「定期的に服用しなかった」グループには副作用が強かったために薬の服用をやめた人が多いのです。したがって、定期的な服用をしたグループ」には「比較的状態のよい患者ばかりで死亡率が下がったというわけです。
ウィル・ロジャーズ現象・・オクラホマの住人がカルフォルニアに移動したら、どちらの州でもIQの平均値が上がる(p130)
ニュースから距離を置く
最後に、この本ではマスコミやニュースからできるだけ距離を置いたほうがいいと提言しています。なぜならニュースの制作者は、感動的な話や、どぎつい動画や写真に角度をつけ、一部を切り取った「事実」で私たちを扇動しようとするからです。
そのため、私たちが持つ情報は、本当の社会の姿と異なったものとなってしまうわけです。
いろいろな角度での錯覚が紹介されていて疲れました。ドベリさん、良い本をありがとうございました。
無料メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」(独自配信) 3万人が読んでいる定番書評メルマガ(独自配信)です。「空メール購読」ボタンから空メールを送信してください。「空メール」がうまくいかない人は、「こちら」から登録してください。 |
この本で私が共感した名言
・高額の宝くじに当たった人は、数年後には前より貧しくなる(p148)
・IKEA効果・・自分で組み立てたIKEAの家具は、高価なデザイナーズ家具より価値があるように感じられる(p50)
・地元のサッカーチームを応援したくなる・・私たちが集団に属そうとするのは・・私たちの祖先は、みんなそうしてきたのだ(p84)
・「ねたみ」を避ける・・・「自分がトップに立てるような得意分野」をつくる(p199)
【私の評価】★★★★☆(81点)
目次
新年の抱負が達成できないわけ―先延ばし
「理由」がないといらいらしてしまうわけ―カチッサー効果
比較しすぎると、いい決断ができなくなってしまうわけ―決断疲れ
「自分は大丈夫」と錯覚してしまうわけ―注意の錯覚
自分でつくった料理のほうがおいしく感じるわけ―NIH症候群
労力をかけたものが、大事に思えるわけ―努力の正当化
第一印象が当てにならないわけ―初頭効果と親近効果
ボーナスがモチベーションを低下させるわけ―モチベーションのクラウディング・アウト
「ありえないこと」を想像したほうがいいわけ―ブラック・スワン
現状維持を選んでしまうわけ―デフォルト効果〔ほか〕
著者紹介
ロルフ・ドベリ(Rolf Dobelli)・・・作家、実業家。1966年、スイス生まれ。スイス、ザンクトガレン大学で経営学と哲学を学び、博士号を取得。スイス航空会社の複数の子会社で最高財務責任者、最高経営責任者を歴任後、ビジネス書籍の要約を提供する世界最大規模のオンライン・ライブラリー「getAbstract」を設立。35歳から執筆活動をはじめ、ドイツ、スイスなどの主要紙や、ビジネス・経済誌を中心にコラムを多数執筆。スイス、ベルン在住
この記事が参考になったと思った方は、クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓
この記事が気に入ったらいいね!
コメントする