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「変なおじさん【完全版】」志村 けん

2024/07/10公開 更新
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「変なおじさん【完全版】」志村 けん


【私の評価】★★★★☆(86点)


要約と感想レビュー

客席の反応を見ながらコントを作る

2020年に新型コロナで逝去された志村けんさんの一冊。志村どうぶつえんが見られなくなって残念です。この本では、志村さんがドリフターズの付き人から下積みをはじめて、映画「鉄道員(ぽっぽや)」出演までの2000年頃までの内容となっています。


まず、ドリフターズの「8時だよ全員集合!」では、試行錯誤の連続であったといいます。客席の反応を見ながら、じゃあ、もう1回やろうかと続けているうちに、定番ネタになっていったというのです。


ドリフターズの笑いはすべて台本があり、チームで笑いのために真剣に向かい合っていたという。現場で、スリッパで相手の頭を殴るにしても、普段から仲がよいから、思いっきり殴ることができたのだというわけです。


舞台は、お客さんの反応がすぐに返ってくるのがいい(p179)

仕事では手を抜かないこと

1985年に「8時だよ全員集合」が終了すると、テレビ番組「加トちゃんケンちゃん」がスタートします。バカ殿や「アイーン」などのキャラクターでお笑いの第一人者となるのです。


当時は水曜が「だいじょうぶだぁ」、木曜が「加トケン」の企画会議で、金曜が「加トケン」のロケ、続いて土曜がスタジオでの本番、月曜が「だいじょうぶだぁ」の本番。その合間に自分でコントを考えていたのですから、まったく余裕はないわけです。忙しいのに、逆に夜は飲みに行って、朝まで飲んでいたという。会社員でもよくあるパターンです。


志村けんさんの仕事のモットーは手を抜かないこと。衣装もセットも手を抜こうと思えば、どうにでもできるのですが、手を抜かないのです。バカ殿が酔っ払うコントで、壁がグルグル回るセットを作りましたが、セットだけで500万円くらいかかったことがあるという。いい時代だったのですね。


テレビの仕事は、僕たちもスタッフも、手を抜こうと思えばいくらだって抜ける。でも一回手を抜いたら、つまらなくなってしまうのは目に見えている(p148)

興味持ったものを続けてみる

若手へのアドバイスとして、少しでも興味を持ったものがあったら、それを一生懸命続けてみることを推奨しています。続けているとうまくなる。うまくなると、またおもしろくなってきて、さらに一生懸命やる。そうすると、誰かの目にとまって「じゃあ、お前ちょっとやってみな」と声をかけられるというわけです。


しかし私生活では、同棲生活は結婚まで継続できなかったようです。同棲しても、家で仕事に集中してしまうと、邪魔されたくなくて女性を無視しているかのようになってしまい、関係が悪くなってしまうらしいのです。常にコントのネタを考えている志村さんは、家庭に仕事を持ち込んでしまっていたようなのです。


変なおじさんは、実は仕事に真剣なおじさんであったという落ちがつきました。志村さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・一人前になったら結婚しようと思ってた。けど、この仕事というのは、なかなか一人前になれないものだ・・最近は僕も、いい仕事をするためには、いい家庭が必要だと思うようになってきた(p300)


・「こいつら本当に楽しそうにやってるな」って思うから、お客さんは笑う。やっている方に余裕がなくて一生懸命さが伝わってしまううちは、がんばってる気持ちがわかるだけ、見ていても笑えない(p54)


・相手が考えていることの一歩先まで神経を回すことができて、初めてまともな仕事といえると思うんだけど(p162)


▼引用は、この本からです
「変なおじさん【完全版】」志村 けん
志村 けん、新潮社


【私の評価】★★★★☆(86点)


目次

ドリフのメンバーになるまで
『全員集合』時代
『加トケン』『だいじょうぶだぁ』の新境地
『バカ殿様』
お笑いについて
気になる人、お世話になった人
変なおじさんリタ~ンズ
映画の現場
CMとラジオ
自分のこと



著者経歴

志村 けん(しむら けん)・・・1950(昭和25)年、東京都東村山市生れ。ドリフターズの付き人を経て、1974年、正式メンバーになる。『8時だョ! 全員集合』で、東村山音頭や加藤茶とのひげダンス、カラスの唄などが大受け、国民的スターとなる。その後、『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』『だいじょうぶだぁ』や『バカ殿様』『志村X』などで活躍。1999(平成11)年、映画「鉄道員」で高倉健と共演した。2020年逝去。享年70歳。


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