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「心を磨く 中村天風講演録」中村 天風

2024/07/09公開 更新
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「心を磨く 中村天風講演録」中村 天風


【私の評価】★★★★☆(85点)


要約と感想レビュー

心や体は道具

中村天風(てんぷう)は、日清日露戦争時は、大陸でスパイ活動を行っていましたが、当時死亡率の高かった肺結核を患います。死を意識した天風は欧米を放浪しながら、学者や有識者と面談し教えを乞うも、納得する答えを見つけることができません。途中、インドのヨガ聖者と出会い、弟子入りすると、病が治ってしまったという。


帰国後は「心身統一法」を説き、天風哲学として知られることになるのですが、この本はその中村天風の講演録なのです。まず、天風哲学では心や体は道具であって、自分の命の本質、真我は目に見えない気体のような霊魂、気で別にあるとしています。


体や、また心というのは自分の命を生かすための道具なんですよ・・命というものは、この気の中にある(p45)

恐れ、悲観、恨みは人を不幸にする

人間を不幸にする感情として、怒る、怖れる、悲観する、煩悶する、苦労する、憎む、恨む、やきもちなどを紹介しています。これは、過去には必要でしたが、現代社会では必要としていない、不必要な欲望や感情が残っているからだと説明しています。


だから私たちは、食欲、性欲、征服欲、金銭欲などにとらわれ、それを意志の力で抑えるのですが、やり過ぎると心配しすぎたり、怒りにとわられたり、煩悶したりすることになるわけです。そうした欲望や感情や、さらに心の奥にある潜在意識も含めて道具として適切に使いこなしていこうというのが天風哲学なのです。


つまり心や欲望にコントロールされて不幸を感じるのではなく、自分が心や欲望を支配して幸せになろう!ということです。


不幸を自分の心が感じているというよりむしろその方面に、自分の心が引きずり回されているからですね(p327)

心の欲望や感情を整理する

では、どうやって心を使いこなしていくのでしょうか。まず、心の欲望や感情を整理するのは、座禅です。心の中の欲望や、社会通年や道徳で押し付けられたルールなどを客観的に見定めるのです。


また、潜在意識をコントロールするのは、自己暗示です。例えば、寝る前に鏡を見て「私は信念が強くなる」と発声し、目が覚めたら「私は信念が強くなった」と口にする。バイオリニストなら、練習のときに、自分は世界一のバイオリニストだと思いながらバイオリンを弾くことを習慣にするとよいというのです。


もちろん一番悪いのは、「私は駄目だ」と自己否定することです。なぜなら、自分がここに存在すること自体が、幸せなことだからです。


あなた方は、この雑念妄念を整理して、心の鏡を研ぎ上げる安定打座法(天風式座禅法)という貴重な方法を修練会で教わっている(p113)

自分の行動で心を支配する

あの時代に、現代の潜在意識、メンタルマネジメント、暗示の力、マインドセットの内容を含むものを体系化しているのはすごいと思いました。自分の周囲の環境によって心を支配されるのではなく、自分の行動で心を支配するのです。


最終的には、現在の自分の状態で満足できる人こそが、自己統治のできた人であるとしています。レベルの高い本でした。天風さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・とにかく幸せに満ちきっていますから、何も私は欲しないのであります(p41)


・結局おまえの心の中に幸福があるんだ。何を見ても聞いても、自分が第一幸福になってみなきゃ駄目だという意味ですわね(p260)


・理屈でなく、そう思えばいいんだな・・いつも明るく朗らかに生き生きとして勇ましく生きられる、気楽な人生に生きられる人生こそ、人間の本当の人生だということ(p82)


・ささいなつまらないことでも、気を打ち込んで行う(p153)


▼引用は、この本からです
「心を磨く 中村天風講演録」中村 天風
中村 天風、PHP研究所


【私の評価】★★★★☆(85点)


目次

第一章 人間の正体は気体である 
第二章 生き方を間違えると「心の奴隷」になる 
第三章 「正しい心の使い方」ができる人・できない人 
第四章 五官感覚を磨き上げ、自己肯定に徹して生きよ 
第五章 「心機転換」こそが問題を解決する 
第六章 本能に打ち克つ人が幸福になる



著者経歴

中村 天風(なかむら てんぷう)・・・1876年、東京府生まれ。日露戦争の軍事探偵として活躍。当時、死病であった肺結核を発病したことから人生について深く考え、真理を求めて欧米を遍歴。 有名な学者や識者を訪ねるが、答えを見つけられず、帰国する途中にインドのヨガ聖者と出会う。そのまま彼の弟子となり、ヨガ哲学の指導を受け、病を克服。 帰国後「心身統一法」を説き、多くの著名人から支持され"天風哲学"として広く世間に認められるようになる。1968年没、享年92歳


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