「耳が聞こえなくたって 聴力0の世界で見つけた私らしい生き方」牧野 友香子
2024/07/08公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(84点)
要約と感想レビュー
読唇術で相手の言うことを理解
著者は生まれつき耳が聞こえない障害があり、手話でなく読唇術で相手の言うことを理解します。普通の学校で学び、大学に進学。1,2年で単位をすべてとり、3,4年は海外を単身旅行したり、山のリゾートでバイトしながらスノーボードざんまいの生活をしていたこともあるという。
卒業後はソニー株式会社に入社。その後、難病を持つ子を出産するというどん底を経験するのです。しかし、その苦しさから立ち上がり、同じ境遇の人をサポートする会社を起業。今では難聴の未就学児の教育支援やカウンセリング事業を行っています。常に前向きに、どうやればできるんだろうと笑顔で挑戦する姿勢に感銘を受けました。
ウェイクボード・・スピード感と爽快感にどハマリ・・スノーボードに行きました・・自分のペースでどんどんすべれるから、めっちゃおもしろくて(p17)
頼める人を増やす
耳の聞こえない著者が心がけているのは、一つは頼める人を増やすことです。耳が聞こえないので、どうしても聞き逃しや、口の読み違えがおこります。そんなとき、フォローしてもらったり助けてもらったり、代わりにやってもらえる信頼関係を持った友達を準備しておくのです。
二つ目は、自分から言い出すこと。自分から「どこどこに◯時に集合ね!」と決めてしまえば、聞き逃しすることはないわけです。耳は聴こえないけれど、「どうやれば、できるんだろう?」と考えているわけです。
頼める関係性の人をめちゃめちゃ増やす(p255)
障害児を支える人の負担は大きい
さすがに、子どもが難病を患っていることを知った時には落ち込んだようです。
しかし、それを「泣いてもいい。育てられへんかったら私が育ててあげる」と支えてあげるお母さんが素晴らしい。「ユカコのことが何より大事だから、どんな選択をしてもいいよ」と頑張れと一言もいわないご主人も素晴らしい。
介護でも言われるように、障害を持つ人を支える人の負担は想像以上なのです。「頑張れ」と言われても、もう頑張っているのですから、頑張るにも限界があるわけです。
我が子に障害や病気があった時のショック・・「私みたいな思いをしている親が、他にもいるかもしれない」(p214)
命さえあれば好きなように生きられる
障害があったから、人に頼ることができた。障害があったから、難聴児を持った人をサポートする事業ができたと、著者は語ります。著者はマイナスをプラスに転換できる人だと思いました。マイナスをマイナスのまま耐えるという人も多いと思いますが、マイナスをプラスに転換することもできるのです。
最後は、生きているだけでなんとかなる。自分らしく生きていけるという考え方に落ち着くのかもしれません。牧野さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・私の中の優先順位は、常に「"友だち"と"自分らしくいられること"」(p115)
・リゾートバイト・・30歳を過ぎても山ごもりしている人もたくさんいて、命さえあれば、どんなふうにだって、好きなように生きられると思えた(p120)
・障害児・難病児を持った親、みんながみんなその事実をすぐに受け入れられるわけでもないし、綺麗事では済まない現実もある(p170)
【私の評価】★★★★☆(84点)
目次
序 章:牧野友香子のざっくりトリセツ
第1章:自分中心に世界が回っていた子ども時代
第2章:できないことに傷つき悩んだ思春期
第3章:世界が広がり自分の道を見つけて就職
第4章:聞こえないこと以上に苦しかった子育て
第5章:ありのままの自分を生かそうと決めた起業
終 章:私らしく、しなやかに生きていく
著者経歴
牧野 友香子(まきの ゆかこ)・・・1988年大阪生まれ。生まれつき重度の聴覚障害があり、読唇術で相手の言うことを理解する。幼稚園から高校まで一般校に通い神戸大学に進学。大学卒業後、一般採用でソニー株式会社に入社。難病を持つ第一子の出産をきっかけに株式会社デフサポを立ち上げ、全国の難聴の未就学児の教育支援や親のカウンセリング事業を行う。現在は、仕事の都合もあって、家族でアメリカに暮らしている。また、YouTube「デフサポちゃんねる」は12万人の登録者数を誇る。
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