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【書評】「僕たちにはキラキラ生きる義務などない」 山田ルイ53世

2026/02/09公開 更新
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「僕たちにはキラキラ生きる義務などない」 山田ルイ53世


【私の評価】★★★★☆(84点)


要約と感想レビュー


ルネッサーンス~!挫折と屈辱の人生

「ルネッサーンス~!」でおなじみのお笑いコンビ・髭男爵の山田ルイ53世の一冊です。中学2年生のとき、通学中腹痛から「粗相」をしてしまったことをきっかけに不登校。そのまま、なんと6年間の引きこもっていたという。


20歳でやっと引きこもりを脱出して、大検を受けて大学生となるもキャンパスライフに馴染めず中退。逃げるように東京で芸人になって、10年下積み後に、やっと「ルネッサーンス~!」で一発当てたという「挫折と屈辱」の人生と総括しています。


引きこもっていたとき、山田ルイ53世の頭の中では、自分の中にあるルールを全てこなさなければ、無意味、そんな0か100かという考えに囚われて動けなかったのだという。また、成功している人を見て、自分と比較して、嫉妬の気持ちと、落ち込む気持ちに苦しんでいたというのです。


引きこもりでも前向きなことをしたいと思う日はあるが、勉強を始める前には、必ず部屋の掃除をしないと落ち着かない(p46)

プライドからの脱出

6年の引きこもりから脱出した方法は、やるべきことを「とりあえず」という箱に全て詰め込んで、「とりあえずこれで良しとする!」といういい加減さを許容してからだという。つまり、「とりあえず」で自分の脳を騙したというのです。


自分の中の「勉強の前に掃除」というルールも「最低限の衛生が保たれていたら、死にはしない」と諦めました。たった「1ミリ」の行動でも、動かないよりマシという当たり前のことに6年かかってようやく到達したのです。


芸人になってからも、「芸人は話の面白さだけで笑わせてなんぼだろ!」と思っていましたが、結果が出なかったので、コスプレ芸人として試行錯誤したら、「ルネッサーンス~!」で当たったのです。売れない自分を直視し、ジタバタして藁を掴んだら、思いのほか売れちゃったというわけです。


著者は自分のプライドで動けない人、自分の嫉妬を消せずに悩んでいる人に、その自尊心は分相応なのか、そこから考えはじめてみるのはどうだろうか?と提案しています。


負けを認め、一発屋という現実をゴクリと飲み込んで以来、むしろ、自分という人間にしっくりくる生き方の模索ができるようになった(p39)

完璧主義者の呪縛

著者はダメな現状を直視し、分不相応な自尊心を捨てたら、気持ちが楽になったという。普通に学校に行くで十分じゃないか。今の自分で十分じゃないか。社会の歯車になれたら御の字じゃないか、ということです。


だから著者は、大人が子どもに「夢を持て」「可能性は無限だ!」と催眠術師のように鼓舞するのが、無責任に見えるのです。夢を持っていない人が劣っているとみなされるような雰囲気に、息苦しく感じるのです。これは、完璧主義者の呪縛なのでしょう。


だから、著者は向いていない仕事はやらないし、他者を変えようとすることは諦めているという。街でマナーを守らない人を見ても、その事象に怒りを感じるのは、自分の感情の「リモコン」を他人に操作されていると考え、操作されないように工夫しているという。
 

著者はやっと自分の完璧主義のプライドをコトロールできるようになったのです。


ある程度人生経験を積めば,「向いていないこと」がわかるようになる・・向いていないことに立ち向かう行為は,自分の人生の時間と労力を無駄に割く危険も孕んでいる(p148)

嫉妬で何も手につかなくなる

それまで著者は、他人の活躍を見て、「よし!俺だって!!」と考える一方で、惨めな気分に包まれ、他のことが何も手につかなくなってしまっていました。


ただ、「最終学歴・実質中卒」では、お笑いやめたら、就職さえできないな、という退路を断たれた状況が、かすかに心を支えていたのです。


完璧主義者というのは、こういう風に頭の中で考えているのだなとわかりました。私はかなりいい加減ですが、それでも疲れていたり、不安なときは仕事が手に つきません。常にそういう状態の人がいるわけです。


ポジティブも結構ですが、ハードルを上げられては構わないと考える人もいるのです。山田ルイ53世さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・「普通」・・これを難なく達成できる人はもう超人だ・・とにかく著者は、最初の「普通に学校に行く」からつまずいた(p43)


・評判の芸人が,情報番組に出てしどろもどろ・・・向いている,向いていないは確実にある(p171)


・ネガティブにとらえられがちな「歯車」」だが,一方で,社会の歯車になっていないと,人は不安に駆られる(p156)


・食レポとは逆張りである・・男性向けなら「女性でも食べやすい」、反対のことをコメントしていれば、それらしくなる(p90)


▼引用は、この本からです
「僕たちにはキラキラ生きる義務などない」 山田ルイ53世
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山田ルイ53世 (著)、大和書房


【私の評価】★★★★☆(84点)


目次


第1章 生き方編
第2章 人間関係編
第3章 仕事編
第4章 家族編
第5章 将来編


著者経歴


山田ルイ53世(やまだ るい53せい)・・・1975年生まれ。兵庫県出身。地元の名門・六甲学院中学校に進学するも、中学2年の夏に引きこもりになる。6年間の引きこもりを経て大検に合格、愛媛大学法文学部に入学したが中退し上京、芸人の道へ。1999年にひぐち君とお笑いコンビ・髭男爵を結成、ツッコミを担当。執筆業でも才能を発揮し、「新潮45」で連載した「一発屋芸人列伝」は、「第24回 編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」作品賞を受賞した。現在はラジオパーソナリティを務めるほか、ナレーション、コメンテーター、執筆業、イベントなどでも幅広く活動中


お笑い芸人関係書籍


「僕たちにはキラキラ生きる義務などない」 山田ルイ53世
「おもしろい人が無意識にしている 神雑談力」中北朋宏
「火花」又吉 直樹
「間抜けの構造」ビートたけし
「人生後半戦、これでいいの」萩本 欽一
「Jimmy」明石家 さんま


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