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「わたしが、認知症になったらー介護士の父が記していた20の手紙」原川大介

2022/11/08公開 更新
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「わたしが、認知症になったらー介護士の父が記していた20の手紙」原川大介


【私の評価】★★★★★(92点)


要約と感想レビュー

認知症になったら

介護のプロが教える両親が認知症になったときの心構えです。認知症の比率は85歳以上で50%とも言われています。つまり認知症は、病気というよりも老化現象であり、年をとれば一定の確率でだれでも認知症になってしまうのです。


まず最初に両親が認知症になったときに知っておくべきことは、介護する人の負担を減らすことを最優先することです。介護サービスが使えるのであれば、限度まで使えばいいし、お金の心配があれば、専門家に相談すればいいのです。また、どのように介護していくのか、親戚の中で議論になったときも、あくまでも今、介護している人の意見を尊重するのが原則です。介護疲れで、介護されている人よりも介護している人のほうが具合が悪くなっては本末転倒ということです。


介護サービスを使えるだけ使えばいい・・お前が幼かった頃、私たちはお前を保育園に通わせた(p24)

介護祭ービスを選ぶには

介護のプロだけあって、介護サービスの現状や課題をよく知っているんだな、と感じました。例えば、介護をしてくれる人に介護される人の性格や好みや人生歴を教えてあげることが重要です。なぜなら介護される人の中には、タオルが枕にないと眠れない人やネギが嫌いで食べられない人がいます。そうした人それぞれの特性を知っていないと、単にタオルがないから眠れないだけなのに、夜眠らないので困ってしまい、はてには強い薬を飲ませて寝せてしまうということがおきるというのです。


認知症の人の中には、「夕方の支度をしなければならない」と言い張る人もいます。そうした人を困ったおばさんと見るのは簡単です。しかし、長年夕食を作ってきたおばさんなのですから実際に介護施設の食事作りを手伝ってもらうと、意外と施設も助かるし、本人も落ち着いて家に帰りたいなどと言わなくなることがあるというのです。あえて夕食の準備や食器洗いなどの仕事(役割)をしてもらうことが、人としての自尊心を守るのです。


このように世の中には、患者さんに寄り添ったよい介護サービスもあれば、イマイチの介護サービスもあるわけです。サービスを受ける側から情報提供するだけで、介護サービスの質がよくなる可能性があるのです。仮にデイサービスを使っていて問題があれば、あまり深く心配せずに、他のデイサービスを試してみるのも選択肢として持っておきましょう。


デイサービスに馴染めなくても、心配ない。デイサービスは、他にもたくさんあるからだ(p99)

介護は楽にしていい

父さんが認知症になったら「お前は、何も悪くない」という最初の一言が印象的でした。介護とは誰もが通る道だから、多くの人が同じことを感じ、悩んでいるのです。子どもを育てるのもたいへんですが、老人を介護するのもたいへんです。誰もが介護について、学んでおくべきなのでしょう。


娘への20の手紙の形式になっているので読みやすく、心が揺さぶられました。★5とします。原川さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・介護職の中には残念ながらアホもいる・・・多くの介護職はすばらしい。・・・たまたま、最初にアホと出くわしてしまった不運な方なのかもしれない(p32)


・薬をやめて本人も家族も楽になったということは少なくない・・・副作用が強く出ていると相談すると「いきなりやめるのはよくない」・・などと言う介護職がいる(p74)


・「治療はしなくても原因を明確にするため」に受診を勧められるかもしれない・・・自分たちの安心のために、本人や家族が望まない受診や入院をさせる(p161)


・父さんが自宅やお前の家で暮らしているなら、「父さんの死後、自宅に来て死亡診断をしてくれる医師の確保」が必要だ(p162)


▼引用は、この本からです
「わたしが、認知症になったらー介護士の父が記していた20の手紙」原川大介
原川大介、中央経済社


【私の評価】★★★★★(92点)


目次

第一章 何よりもまず伝えたいこと
1 お前は何も悪くない
2 先にはっきりさせておく 
3 介護サービスを断られてしまわないか?
4 お金について
5 お前の名を忘れても
第二章 お前が楽になるために
6 話が通じない・言いたいことがわからない 
7 父さんが嘘をついたときは
8 家族間で揉めたときは
9 薬について 
10トイレの失敗 
11今後の認知症薬の可能性 
第三章 介護サービスの利用にあたって
12デイサービスに馴染めなくても 
13施設に入ることは、父さんの不幸でもお前の諦めでもない 
14あかんべえしたお婆ちゃん
15手厚い介護を受ける方法 
第四章 とても大切なこと
16母さん以外の女性の名を呼んだときは 
17「明日があるさ」なんて、本当の絶望を知らない奴の戯言だ
18死について 
19取り上げてほしいもの。車・火 
20徘徊が始まったら 



著者経歴

原川大介(はらかわ だいすけ)・・・1984年生まれ、静岡県焼津市出身。介護士(介護福祉士・ケアマネジャー)2004年より、社会福祉法人東益津福祉会で14年間、その後、有限会社長者の森で3年間、介護士、生活相談員、ケアマネジャーなどとして、認知症を持つ御本人と御家族への介護・支援に 従事。認知症介護実践研修の指導者として、主に家族支援の講師を担い、毎年多くの介護士を育成。現在は、個人事業主として、介護事業の経営実務と運営支援を業とする。


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コメント(1)

ありがとうございます!昨日、Amazonの売り上げランキングが上がっていて喜んでいたのですが、その訳が分かりました!本のソムリエさんのおかげだったのですね。メルマガ拝読しました。とても嬉しい内容でした。本は、どれだけ一生懸命に書いても、読んで頂かなければ無力です。書評レビューを通して、多くの方に、この本の存在と内容を届けてくださり、本に力を与えてくださいました。本当にありがとうございました!

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