「スタンフォードの人生観が変わる特別講義 あなたのなかに、全世界がある」J・クリシュナムルティ
2022/08/28公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(70点)
要約と感想レビュー
クリシュナムルティとは、インドの神智学協会が作り上げた信者数万人という「星の教団」の長となるが、34歳のときに「星の教団」を解散し、一切の権威を拒み、世界を講演して歩く生活に入ったという。
私のクリシュナムルティの印象は、世界を悲しみに満ちていると理解していることです。人々は苦悩し、葛藤し、苦痛を感じ、ほんのつかの間だけ喜び、恐怖、絶望、そして欲求不満の連続に宗教に逃げ込んでいると発言しています。飲酒、ドラッグもそうした恐怖から逃げるための人間の抵抗だと言うのです。
私は楽しく生きているので、そんなに人生で苦しんでいる人が多いのかな?と疑問に思ってしまうのです。ただ、実際、困っている人が宗教を信じやすいということは事実だと思います。
・恐怖は自由を破壊します・・・世論を恐れ、うまく成功できないことを恐れ、孤独を恐れ、愛されないことを恐れ、そして自分を「あるべき」英雄像と比較して恐怖を増大させます(p53)
そしてクリシュナムルティは、人間というものは暴力的で、残酷で、欲深いものであり、それを変えることはできるのだろうか、と問いかけます。それは自分自身であり、自分の家族であり、自分の国、そして自分の信じている宗教から自由になることは可能だろうかと、問いかけるのです。
そして、自分が持っているものを手放しましょうと言うのです。それを死ぬことと表現しています。すべてを手放すと、精神が生き生きとし、自由で、身軽になるという。なるほど、それでクリシュナムルティは自分の教団や国や家族を手放したのです。煩悩を捨てるという意味で、仏教に感じました。
・民族意識は有害です。それは戦争や憎しみを生みましたし、今後も生みだしつづけるでしょう(p41)
また自分の中の恐怖から開放されるために、「あるがままに見る」ということを提唱しています。世界の混乱をあるがままに見る、人の悲しみを実際に見る。私には、自分の感情を捨てるというふうに読めました。これも仏教的ではないでしょうか。
クリシュナムルティの自分自身のなかに世界がある、という言葉が印象的でした。自分が変われば、世界が変わるということなのでしょうか。クリシュナムルティさん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・世界が国民や宗教・・に分断され、また民族が偏見にまみれて分裂している(p16)
・人間の内面は何世紀たっても、ほとんど変わっていません(p76)
・「私は怖い」と話す観察者と、恐怖と呼ばれるものとの関係は、どうなっているでしょうか・・・分析をとおして恐怖は払拭できるのか、ということです(p22)
・思考とは、結局のところ、時間である、ということではありませんか。思考とは、記憶や知識や経験による反応であり、過去から生まれるものです(p29)
【私の評価】★★★☆☆(70点)
目次
1日目 世界が変わるために
2日目 私を囲む壁を離れて
3日目 愛と死について
4日目 瞑想という精神のあり方
著者経歴
ジッドゥ・クリシュナムルティ(Jiddu Krishnamurti)・・・1895年、南インドに生まれる。14歳の時、神智学協会によって「世界教師」の候補者として見いだされ、ヨーロッパ各地で学ぶ。彼のために用意された「星の教団」の指導者となるが、「真理は道なき領域であり、いかなる宗教、いかなる宗派によってもそれに至ることはできない」と宣言し、34歳で同教団を解散。以後、世界各地をまわり、著名人との対話や、数多くの講演、著作などを通じて、人間を無条件に自由にすることに生涯を捧げた。1986年、アメリカ、カリフォルニアのオーハイにて逝去
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