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「実践経営哲学」松下幸之助

2021/06/01公開 更新
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「実践経営哲学」松下幸之助


【私の評価】★★★★☆(85点)


要約と感想レビュー

ダム式経営

パナソニック創業者である松下幸之助の書籍はほとんど読んでいると思っていましたが、この本はなぜか紹介していなかったのでご紹介します。松下幸之助の主な経営への考え方の基本をまとめたものとなっています。ダム式経営、雨が降れば傘をさす、衆知を集めるなど、あなたもどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。


ダム式経営であれば、資金繰りにも余裕を持つようにしているし、設備投資も余裕があるから追加の受注に対応できるのです。つまり予想は外れることが多いので、ある程度余裕を持っていれば、その範囲で対応できることを体得していたのでしょう。


ダム経営・・・「これだけは必要だろう」という的確な見通しに基づいた上で、それの10%なり20%なりのゆとりをあらかじめ持つようにするということである(p66)

雨が降れば傘をさす

松下幸之助の本がすごいのは、内容は当たり前のことが多いのですが、当たり前のことを当たり前にするところに経営の本質があるということです。


例えば、原価100円のものを110円で売るとしたとして、私達は本当に正しい原価を把握しているのだろうか。また、売ったら代金をもらうのが当然ですが売掛金をちゃんと集金しているのか。よい製品をつくって売るとして、本当にその製品は社会的に良いものなのか、それを世の中に理解してもらえているのか、ということです。


当たり前のことを当たり前にするという素直な心が大切なのです。松下幸之助は、素直な心とは、白いものは白く、まっすぐなものはまっすぐに、あるがままを見ることのできる心と表現しています。大切なことを大切にする心でもあるのでしょう。


雨が降れば傘をさす・・・わかりやすい例でいえば、百円の原価のものを百十円に売るということである(p30)

素直な心

松下幸之助は人間というものを知り、素直な心になれば、本質が見え、やるべき道が見えてくると言っています。そうした人を育てる、つまり経営のわかる人、どんな小さな仕事でも経営的な感覚を持ってできる人を育てることが大切なのです。


それを自分ができるのかどうかと自問すれば、やはり難しいのです。一字一時配慮された言い回しに、背筋が伸びる気分となりました。松下幸之助さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・経営は人間が行うものである・・・したがって、その経営を適切に行っていくためには、人間とはいかなるものか、どういう特質を持っているのかということを正しく把握しなくてはならない(p19)


・事業経営というものは本質的には私の事ではなく、公事であり、企業は社会の公器なのである・・・常に、そのことが人々の共同生活にどのような影響を及ぼすか、プラスになるかマイナスになるかという観点から、ものを考え、判断しなくてはならない(p26)


・利益なき経営はそれだけ社会に対する貢献が少なく、その本来の使命を果たし得ていないという見方もできるといえよう(p35)


・衆知を集める・・・聞くたびにフラフラゆれ動いているというようなことでは、聞いただけマイナスということにもなりかねない。あくまで自分の主体性を持ちつつ、他の人の言葉に素直に耳を傾けていく(p87)


・自分なり会社幹部の経営力を適切に把握し、さらには資金力、技術力、販売力などといった会社の総合実力をはかりつつ、その範囲で経営を発展させていくことである。いいかえれば、ムリをしないということである(p72)


▼引用は、この本からです
「実践経営哲学」松下幸之助
松下幸之助、PHP研究所


【私の評価】★★★★☆(85点)


目次

まず経営理念を確立すること
ことごとく生成発展と考えること
人間観をもつこと
使命を正しく認識すること
自然の理法に従うこと
利益は報酬であること
共存共栄に徹すること
世間は正しいと考えること
必ず成功すると考えること
自主経営を心がけること
ダム経営を実行すること
適性経営を行うこと
専業に徹すること
人をつくること
衆知を集めること
対立しつつ調和すること
経営は創造であること
時代の変化に適応すること
政治に関心をもつこと
素直な心になること



著者経歴

松下 幸之助(まつした こうのすけ)・・・1894年(明治27年)生まれ、 1989年(平成元年)没。パナソニック(旧社名:松下電気器具製作所、松下電器製作所、松下電器産業)創業者。「経営の神様」とも言われる。PHP研究所を設立して倫理教育や出版活動を行う。晩年は松下政経塾を立ち上げ、政治家の育成にも意を注いだ。


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