【書評】「こんな朝日新聞に誰がした」長谷川熙・永栄潔
2017/09/06公開 更新

Tweet
【私の評価】★★★★☆(81点)
要約と感想レビュー
マルクス主義勢力が朝日新聞に蔓延
朝日新聞の変わり者OBの対談です。変わり者という意味は、朝日新聞出身なのに共産主義者ではないということ。長谷川さんは「AERA」創刊時のメンバーで、当時「AERA」が好きだった私は、「この人が作っていたのか」と感慨深いものがありました。
長谷川さんの解説では、日本共産党が反自民党の人民戦線を構築しようとメディアの人間を動員しており、特に朝日新聞は、とにかく安倍首相を総理の座から引きずり下ろしたい一心で活動しているというのです。そもそも朝日新聞社内では、ソ連派と中国派が対立していたというので、いずれにしろ、真っ赤な組織だというのです。
この本で説明している活動の一例は、放送法の解釈についてです。まず、立憲民主党の小西洋之参院議員が「憲法9条改正に反対する内容を相当の時間にわたって放送した場合、電波停止になる可能性があるか」と質問します。この質問に対し、高市総務大臣が「放送局が政治的な公平性を欠く放送を繰り返し、行政指導しても全く改善されない場合、それに対して何の対応もしないと約束するわけにいかない」と法律どおりに応えただけなのに、すかさず朝日や毎日や東京新聞や東京弁護士会や国連における特別報告者が「電波停止を命じる可能性に言及した」と批判するわけです。
政治家、マスコミ、学者、弁護士会に配置した細胞が一体となって動いているというのです。
ひところ朝日社内はソ連派と中国派がそれぞれの国家を代表し、激しく対立していました・・どうしてそこまで、マルクス主義勢力が朝日、ひいては日本に蔓延してしまったのでしょうか(永栄)(p39)
朝日では左翼系の記事を書く人が出世
びっくりするのは、朝日新聞社内では、左翼系の記事を書く人が出世していったということです。中国や北朝鮮やポル・ポトのカンボジアが、朝日新聞では地上の楽園のように紹介されていたという。実態を報道しないのに、それを信じる人も多かったのです。
特に慰安婦報道を主導した大阪本社ではその傾向が強く、左翼やそれに迎合する人たちが左翼的な記事を書いて、出世していったのです。
大阪本社には左翼ポーズで能力以上に出世して行った者たちがいた。有名大学の卒業生で学業の優秀さを売り物にはするが、記者としては決して有能ではないのに、朝日らしい記者だとして評価されていた(OB)(p28)
書く記事はウソでもかまわない事例多数
そして、書く記事は、ウソでもかまわない。ウソも、ばれなければ「書き得」だからです。偽造記事の事例が、ポンポンといくつも示されるのにはびっくりしました。
例えば、「海外の大会で、『君が代』が始まると、席を立つ観客が多い」という記事について執筆者のY編集委員に聞いたら、『ウソですよ。だけど、今の社内の空気を考えたら、ああいうふうに書いておく方がいいんですよ』と答えたという。
また、日本・北朝鮮の間で問題がある時期には、「朝鮮学校に通う女性との制服チマチョゴリがナイフで切られる事件」が報道されていたという。その記事について、知人が「あんなことはもうやめないといけませんよ。自分の娘を使っての自作自演なんです。娘の親は総連で私の隣にいた男です。北で何かがあると、その男の娘らの服が切られる。朝日にしか載らないが、書いている記者も私は知っている」と言っていたという。
バレなければどんな記事を書いても問題ない、というのが新聞社の社風だというのですから、元社員の発言としては驚きです。
百人斬り競争を報じた当のの毎日新聞(当時は東京日日新聞)が自社の『昭和史全記録』で、<記事の百人斬りは事実無根>と書いている・・(永栄)(p64)
北朝鮮と朝日新聞の関係
長谷川さんは、北朝鮮がつぶれ、秘密情報が公開されれば、朝日新聞との関係が明るみになり、朝日新聞社は甚だしい打撃を受けるだろうと言っています。
例えば、朝日新聞OBの」松井やよりが実施した「日本軍性奴隷制度を裁く2000年女性国際戦犯法廷」とその「法廷」に絡んだ北朝鮮とのつながりや資金の出どころも含めて明らかにすべきと長谷川さんは警告しているのです。
朝日新聞記者OBとしては、守秘義務違反ではないでしょうか。当然ながら朝日新聞社が自主的に記事の検証をすべきだ、と提案しています。長谷川さん、永栄さん、良い本をありがとうございました。
無料メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」(独自配信) 3万人が読んでいる定番書評メルマガ(独自配信)です。「空メール購読」ボタンから空メールを送信してください。「空メール」がうまくいかない人は、「こちら」から登録してください。 |
この本で私が共感した名言
・特に、(朝日新聞)出版局は多くがマルクス主義者だったんじゃないかと思います・・マルクス主義に占領されていた頃の出版局にいた人から話を聞くと、一時期は「きちんと仕事をすること自体が資本主義に利する」と言って、サボることが一つの風潮にすらなっていたと言います(長谷川)(p36)
・「南京大虐殺」「百人斬り」について、『中国の旅』を書いた朝日の本多勝一元記者は、批判を受けると「あれは中国人から聞いた話をそのまま書いただけだ」とぬけぬけと言って憚らなかった。しかし新聞記者であれば、聞いた話を検証して記事にするかとうかを判断するのが当然でしょう(永栄)(p194)
・1971年に何カ月にもわたって朝日新聞に掲載された本多(勝一)氏の連載「中国の旅」がいかなる背景で誕生したのか、誰が本多氏を筆者に指名したのか、あるいは彼が自分で言い出して始めた連載だったのか、そうした経緯を含めて、あそこに書かれてあることの真偽について、朝日新聞社が自ら徹底的に・・自分の力で検証しなければいけない(長谷川)(p113)
・1965年でしたか、アメリカ議会で朝日や毎日のベトナム報道が偏っていると問題になったことがありました。米上院の外交委員会で、フルブライト委員長と次官ら国務省幹部がやり合うのですが、国務省は「朝毎両紙」には共産主義者がたくさんいる。朝日には二百人いる」などと言い放ち、国内でも大騒ぎになった(p33)
・一般の女性を官憲が強制連行して軍の慰安婦にしていたとして朝日は大々的に糾弾していたのに、その根拠が虚偽だったと分かると、今度は慰安婦が存在したそのこと自体が問題なのだと急に話をすり替えた。朝日のこの欺瞞性、卑怯さを、第三者委員会も見逃していなかった(長谷川)(p59)
・三井など財界というか財閥の本流は戦争を嫌ったのですよ。むしろ社会主義者やマルクス主義者のほうがあの戦争を推進する原動力だった。そこら辺の分析はこれまでほとんどなされていない(長谷川)(p112)
ワック (2016-12-19)
売り上げランキング: 9,295
【私の評価】★★★★☆(81点)
目次
第1章 朝日新聞は「マルクス主義結社」だ
第2章 朝日新聞は「歴史」に学ばない
第3章 朝日新聞は「虚報」「誤報」を繰り返す
第4章 朝日新聞は「GHQチルドレン」だ
第5章 朝日新聞は「不偏不党」を捨てよ
第6章 朝日新聞は「現代史の検閲者」だ 長谷川熙
第7章 朝日新聞は「ブンヤ」より「ジャーナリスト」がお好き? 永栄潔
第8章 朝日新聞の「大義」とは何か? 長谷川熙
第9章 朝日新聞は「戦後民主主義の優等生」か? 永栄潔
おわりに 故意の捏造記事が氾濫する朝日 長谷川熙
著者経歴
長谷川熙 (はせがわ ひろし)・・・1933年東京生まれ。慶應義塾大学文学部哲学専攻卒。1961年に朝日新聞社入社。静岡、新潟の両支局を経て、1988年初めまで経済部で取材、執筆し、次いで、創刊の週刊誌「AERA」に異動。1993年に定年退社したが、その後もフリーの社外筆者などとして「AERA」で取材、執筆を2014年8月まで続ける。2014年8月5日の居直り的な慰安婦報道釈明記事を見て、朝日との訣別を決意。
永栄潔(ながえ きよし)・・・1947年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1971年に朝日新聞社入社。富山、大津の両支局を経て、大阪・東京各経済部に所属。そのほか、「週刊朝日」「月刊Asahi」「論座」の副編集長、「AERA」スタッフライター、「大学ランキング」「週刊20世紀」の編集長などを歴任。
この記事が参考になったと思った方は、
クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓