「「0から1」の発想術」大前 研一
2017/09/05公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(93点)
要約と感想レビュー
自分ならどうするか
パソコン、インターネット発展により世の中が大きく変わろうとしている中、何に取り組もうか、と悩まれている人へのアドバイスとなる一冊です。大前さんといえばマッキンゼーで活躍し、ビジネス・ブレークスルー大学を作るなど超一流のコンサルタント。その発想法を具体例を示しながら教えてくれるのですから、刺激的です。
発想力を鍛えるためには、日頃、「自分ならどうするか」を考える訓練をする必要があるのです。例えば、ロシアからアメリカに移住してきた東欧系ユダヤ人セルゲイ・ブリンは「もし自分が検索サイトを作るなら・・」という発想でグーグルを立ち上げたという。
では、ここで問題を出そう。Q もし、あなたがローソンの社長なら、どうすればセブンイレブンを超えることができるか(p75)
成功事例
大前さんの教えてくれる発想法は、顧客に聞く、組み合わせる、空きを活用する、欧米の成功を真似るなど教科書的なものを羅列しています。
例えば、組み合わせ発想法としては「携帯+オークション」の組み合わせで、モバオクが成功した。「個人の知識+ネット」でウィキベディアができた。オーストラリアには水陸両用バスで人気の観光バスがあるなど、こうした成功例を示されながら、では、あなたがローソンの社長だったらどうしますか?と質問されるわけです。
また、カルディではコーヒーを無料でお客に配布している。コーヒー1杯の原価はだいたい50円もしないのだから、コーヒーでお客を呼び込めれば、コーヒーを飲んでいる間に買い物をしていく客が増えるという具合だ。こうした無料でコーヒーを提供することを応用できないか?と考えるのです。
ニュー・コンビネーション・・「コンビニエンスストア×ファストフードショップ(カフェ)」が、スウェーデンにおけるセブン-イレブンだったのである。・・オーストラリアに行けば、セブン-イレブンはガソリンスタンドと組み合わさっている(p69)
発想しなければ実現もない
「ユーザーが求めているものは、何ですか?」「私たちは、それを十分提供していますか?」「ユーザーが満足していない部分の原因は何ですか?」「それを解決するには、どういう方法がありますか?」という問いを考え続けるしかないのだと思いました。
そして、発想には、正しい答えはないのです。ただ、発想しなければ、実現もないのです。そして行動しなければ、実現はないのです。新しい発想が求められている人への大きなヒントになる一冊だと思いましたので、★5としました。大前さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・GEのCEO(最高責任者)を務めていたジャック・ウェルチは・・社内で既存の事業部をつぶすための事業部をつくれと指示した(p54)
・ソニーが大きな視点を持って展開していたならば、「FeliCa」は共通化されて世界標準を取っていたはずだ。もちろん最近になって話題となっている「フィンテック」(Fintech)の基幹プラットフォームを築くこともできたはずだ(p62)
・アメックスは法人全体の決済も請け負っている・・アメックスと契約している企業は、社員全員にアメックスカードを持たせる。・・経理処理が容易になる(p87)
・おそらく5年後には(もしかするともっと早く)、すべてのデジタル機器がインターネットによって融合するだろう・・では、そういうリビングルームで自分たちができることは何か、提供できる商品やサービスは何か、と発想していくのである(p106)
・まずチェックすべきは「グーグル」だ・・定期的にグーグルウォッチャーとなって、変化の「兆し」を見逃さないようにしなければならない(p119)
・こうして考えたアイデアは、時折、2つ上の上司に実際にぶつけてみるというのも手だ。そういう発想に対し、上司がどれほどの許容力があるのかを測る手立てになる(p164)
【私の評価】★★★★★(93点)
目次
基礎編 「0から1」を生み出す11の発想法
実践編 「新たな市場」を作り出す4つの発想法
著者経歴
大前研一(おおまえ けんいち)・・・1943年福岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号を、マサチューセッツ工科大学(MIT)大学院原子力工学科で博士号を取得。日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年に経営コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社。本社ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長を歴任し、1994年退任。以後、世界の大企業やアジア・太平洋における国家レベルのアドバイザーとして幅広く活躍。現在、ビジネス・ブレークスルー(BBT)代表取締役、BBT大学学長などを務める
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