マッキンゼーの手法「実戦!問題解決法」大前研一、斎藤 顕一
2020/09/24公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(77点)
要約と感想レビュー
問題解決は科学的
元マッキンゼーのお二人が問題解決の手法について解説する一冊です。問題解決というと難しく感じるかもしれませんが、会社でやっているQCは問題解決の手法です。データからテーマを設定し、データで問題を顕在化させ、打ち手を考え、やってみる。大切なのはこうした問題解決、改善活動がデータに基づく現場・現物・現実を反映したものであることであるというのです。
データを見るにしても、外的要因→市場の状況→自社という流れで、大きなところから小さなところへ順序で見ていくことが大切だという。それも、数字や事実をおさえましょう。例えば、「自動車ディーラー経営状況調査報告書」を見ると、粗利率は16%前後ですが、部門別平均粗利率では新車販売の粗利率が年々低下して、中古車販売の粗利率は年々高まっているなどを把握するのです。
ここで重要なのは、日本の工場に導入されたQC/TQC、ZD運動、VA/VFのアプローチが極めて科学的なものである、ということだ・・・人の意見ではなく事実(fact)に基づいて仮説を立て、そして実証する(p25)
問題の本質をつかむ
問題解決のやり方は、この本で学べばわかるので、実際にやってみればできるのでしょう。しかし、もっとも難しいのは問題の本質をつかむことです。本質的な問題が見えなければ、効果的な対策を考えることもできないのです。昔から問題が解決しないのは、本質がわかっていないのか目をそらしているのか、どちらかなのでしょう。
例えば、車のセールスの現場では、売る人と売れない人の差があります。売る人は月に8~9台、売れない人は0台、平均は4台ぐらいなのです。本質を探ってみると、実はベテランが効率の良い地域を独占していて、新人は営業所から遠い悪い地域を割り当てられているという現場もあるというのです。
演習問題・・・回答への道筋・・・最初に「なぜ母親は東京に来て、みんなと一緒に住みたいと言っているのか?」ということを理解する必要がある。それを理解しない限り、正しいアドバイスはできない。言い換えれば、問題の本質を認識しない限り、解決はできないのだ(p255)
いかに反対勢力を黙らせるのか
実は多くの会社では、課題の本質を理解しているのではないでしょうか。ただ、その本質というものがアンタッチャブルで、簡単に触ることができないから昔から問題は解決しないのです。
問題解決の本質は、いかに反対勢力を黙らせるのか、社内の力を使うのか、外部の圧力を使うのか、そんなところにあるように感じました。大前さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・リーダーは答えを知っている必要はない。答えに至るプロセスを知っている人間がリーダーになるのだ(p19)
・ツールである語学とITを学科にして〇×式の対象にすることが間違っている・・・それに代わる教え方としては「あなたが反日感情の強い韓国に行って、もうお互いにいがみあうのはやめよう、と英語で説明してごらんなさい」といったテーマを与えるのがいいだろう(p21)
・新しい競争相手の戦い方は、従来の競争相手とは全く違う・・・たとえば、インターネットによる自動車販売事業への新規参入の状況を理解すれば、その影響力の大きさを推測できる(p121)
・日頃から、情報に対する感度を高めておく(政府刊行物サービス・センターに時々行ってみる、専門雑誌の目次に目を通す、本屋に足を運ぶ(目次の研究)、ホームページをのぞく、雑誌の中吊り広告を読む、異業種の人と話をする)(p170)
【私の評価】★★★☆☆(77点)
著者経歴
大前 研一(おおまえ けんいち)・・・1943年生まれ。経営コンサルタント。マサチューセッツ工科大学博士。日立製作所、マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授、スタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授、高麗大学名誉客員教授、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役会長等を務める。
斎藤 顕一(さいとう けんいち )・・・経営コンサルタント。問題解決の出来る人材の育成者。現フォアサイト・アンド・カンパニー代表取締役。
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