「続 企業参謀」大前 研一

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続企業参謀 (講談社文庫)

【私の評価】★★★★☆(83点)


■1986年という日本がピークにあり、
 低成長という言葉が出てきた頃の
 マッキンゼー大前さんの一冊です。


 当時の日本は高度成長から
 低成長になって問題が
 表面化してきていたのでしょう。


 つまり、成長していれば
 とにかく投資して供給力を作っておけば、
 いずれは需要が伸びてバランスした。


 しかし、低成長時代になれば、
 一つの投資判断を誤れば、過剰投資となり、
 企業の存続さえ危なくなるのです。


・成長期では正確にいくらの設備投資を
 するのか不明でも、とにかく投資をしていれば、
 結果として過剰となった場合でも市場成長を
 1~2年待っていれば誤りは是正されたろう・・
 低成長が基調となってくると、誤りも永続する。
 場合によっては、判断ミスがもとで、競争力の失墜、
 収益性の悪化という状態に短絡しかねない(p64)


■大前さんがすごいな、と思うところは、
 時代を超えた日本の組織の問題を
 指摘しているとこでしょう。


 自部門の予算獲得ばかり考える事業部。
 前年度予算から変化できない予算配分制度。
 原価低減しか言わない役員。


 つまり、会社全体としてのビジョン、
 戦略を考える組織、人材が
 存在しないということです。


・研究開発に100億円以上投資し、その投資利益率
 (ROI)があまり厳しく問われないのに、
 私の商売でもある経営コンサルティングのような、
 ソフトな分野で本当にROIを抜本的に改善しよう
 というプロジェクトでは、技術開発予算の
 わずか1%の出費でも大騒動となる(p81)


■富士フィルムがカラーフィルムを
 作っていた時代ですから事例は古いものの
 事業の本質を書いているところが
 素晴らしい。


 それだけ日本の企業や日本人は
 何も変わっていないという
 ことなのでしょう。


 大前さん
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・なぜ事業を営むのか・・本質的問い直し(p107)


・ブルーカラーの生産性ではほぼ同じ・・・
 しかし、アメリカのメーカーの直間比率は
 直が8、間が2であるのに、
 日本のメーカーでは直が4、間が6(p88)


・経済構造に変化によって、本質的転換を
 迫られている業種にあって、トップからの
 原価低減や拡販の連呼に黙って応じており、
 かつそうした努力の延長線上に解がないのに
 あたかも「やっています」といった顔をして
 答える中間管理職もまた、新の意味での
 管理者とはいえない(p61)


・たとえば、外注といえども簡単に切れない
 会社にとっては、これをも固定費として
 取り扱い、業績評価には、売価から
 資材費のみを差し引いた限界利益を
 使った方が、ずっとよい場合もある・・・
 問題は、事業担当者にとって何が
 変動しうる費用で、何が固定費か、
 ということを通常の定義にとらわれずに
 把握することであり・・(p39)


・ポートフォリオ管理というものは、
 ごく簡単にいってしまえば、
 「企業戦略を立案する場合には、
 外部環境と、自社の事情の双方を
 考えなくてはなりませんよ」
 ということにすぎない(p28)


・事業からの撤退や製品の廃止を、
 一定の制度で同じように稟議できる
 仕組みを持っている会社は少ない(p35)


・目標を「成功」から「最悪の事態を避ける」
 ことに置換した場合には、
 さまざまな選択が自ら出てくることが多い・・
 破局に向かっている会社の場合には、
 最悪事態を想定し、"そこに至らない方策"
 を考える(p26)


・会社内で使う同じ一億円の収益に対する寄与の度合が、
 あまりにも全体のバランスとは無関係に、むしろ、
 使う部署そのものの歴史的発展過程のほうに
 引きずられて、役所的予算の配分が行われる傾向がある。
 やはり、五年か10年に一度は、過去にとらわれずに、
 将来のことを考えた抜本的資金配分の
 見直しを行う必要がある・・(p83)


・大企業で事業部制をとっているところは・・
 各組織の責任と義務が狭義に定義され、
 予算と決算という動脈と静脈によってのみ
 心臓としての中央機関(政府)に関係している。
 予算ワクからの逸脱許容範囲はプラス・
 マイナス数%であり、評価は失点法による。
 傾向としては動脈の中を流れる血の量をめぐって、
 露骨な分捕り合戦が行われ、
 セクショナリズム的心情を助長する(p124)


・第二次大戦中・・真の戦略参謀であるなら、
 拡大と撤退の潮時の判断を自分の
 最大の任務と考えていただろう・・
 だから、シンガポールが陥落し、
 インドネシアを部分的に掌握した時点で、
 ただちに和平交渉を進めなくては
 いけなかったはずである・・たとえば、
 インドネシアの石油のようなものの
 使用権などはもらっても、領土そのものは
 独立国として返してしまうという、
 一連の妥協策を用意していなくてはならない(p57)


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■目次

第1章 戦略的に考えるということ
第2章 "低成長"とは何か
第3章 戦略的思考に基づいた企業戦略
第4章 戦略的計画の核心



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