「投資家が「お金」よりも大切にしていること」藤野 英人
2018/10/10公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
要約と感想レビュー
著者は、「ひふみ投信」というアクティブファンドを運用している人です。出だしで印象的なのが、「日本人はハゲタカである」と断言していることです。日本人は投資して、下がるとすぐに売ってしまう。上るとすぐに売ってしまう。短期売買が多いのです。
例えばブラジル株ブームのときに8兆円近いお金がブラジルに投資されましたが、元本割れするということで解約が相次いだという。その影響でブラジルの通貨であるレアルが暴落してしまったという。元本割れしてもその企業に価値があると考えれば、長期的に投資することが求められているのでしょう。
・海外では、投資信託を20年から30年くらいのスパンで持つのが一般的です・・・一方、日本では、投資信託の平均保有年数はたったの2.4年(p42)
さらに日本人は、寄付もしないし、投資もしない。自分の手元にお金を置いておく。社会のために何かをするわけでもなく、問題があればお役所のせいにする。公的なことは、とにかくぜんぶ国に任せておけばいい、「なぜ国がやらない!」と怒り出すのが日本人だという。
著者には、日本人は自分のことにしか興味のない守銭奴に見えるのでしょう。それでいて日本品は、真面目に働いたお金に価値があるのであって、投資や金融でラクに稼いだお金は汚く、価値がないと考えている人もいます。また、日本の大企業は、良いものだから売れるというプロダクト思考から抜け出せていないと批判しています。
・困っている人のために寄附もしないし、社会にお金を回すための投資もしない・・・日本人は自分のこと、すなわち、自分のお金のことしか考えていないのです。自分のお金を現金や預金として守ることしか考えていない(p36)
そういえば、日本人は学校でお金について教えていないと思いました。お金とは何なのか。お金とどう付き合っていくのか。教えることのできる日本人は、どれほどいるのでしょうか。
藤野さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・起業家がビジネスを創出すること・・・新しい付加価値を世の中に提供していることであり、新たな雇用を生み出していることであり、社会を活性化し、豊かにしていること(p67)
・金融教育とは、働くことに価値があり、その価値ある労働の延長に企業の利益があり、その利益の将来期待が会社の価値を形成していると理解することです(p151)
・私たちがバス事故を引き起こした・・・金沢・東京間の片道運賃は、電車であれば1万円強、飛行機であれば約2万円します。それをたったの3500円で行けるというのは、裏をかえせば、必ずどこかに「無理な値下げのしわ寄せ」が来ているということです(p90)
・私は、コンビニとは「便利なお店」というより、「孤独を埋めるお店」だと思っています(p116)
講談社
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
目次
第1章 日本人は、お金が大好きで、ハゲタカで、不真面目
第2章 日本をダメにする「清貧の思想」
第3章 人は、ただ生きているだけで価値がある
第4章 世の中に「虚業」なんてひとつもない
第5章 あなたは、自分の人生をかけて社会に投資している、ひとりの「投資家」だ
著者経歴
藤野 英人(ふじの ひでと)・・・投資家、ファンドマネージャー。1966年富山県生まれ。早稲田大学卒業後、野村證券、JPモルガン、ゴールドマン・サックス系の資産運用会社を経て、2003年にレオス・キャピタルワークスを創業。取締役・最高運用責任者(CIO)として、成長する日本株に投資する「ひふみ投信」を運用し、高パフォーマンスを上げ続けている。
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