【書評】「「起業」の歩き方: リアルストーリーでわかる創業から上場までの50のポイント」藤野 英人
2013/10/11公開 更新
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【私の評価】★★★★★(91点)
要約と感想レビュー
「起業しないほうがいい」から始まる起業の本
「ひふみ投信」の運用で知られるカリスマ・ファンドマネジャーの藤野英人氏が、自らの起業経験と数多くのスタートアップへのアドバイス経験をもとに、創業から上場までの50のポイントを書き下ろした一冊です。
「ありきたりの上場体験談だろう」と思って読み始めたのですが、サブタイトルの「リアルストーリー」という言葉は伊達ではありませんでした。随所に、現場経験に裏打ちされた本物の知恵が宿っています。
最初の「ツカミ」からして、著者は起業を相談しに来た人に対して、まず「起業しないほうがいい」とアドバイスするといいます。起業のすすめなのに、ナゼかといえば、説得されて止めるような人は、起業に向いていないから。本当に起業すべき人間は、どれほど止められても動じません。これもまた真理なのでしょう。
私も・・起業を勧めないからです。むしろ徹底的に止めます。何を言われても「やる人はやる」のです。説得されてやめるような人は、起業に向いていません(p6)
3年以内に黒字化が目標
業初期の実務について、著者は惜しみなく具体的なアドバイスを提供しています。
最適な創業メンバーは3〜4人。事務所の備品は知り合いから無償でもらうことを勧めます。これは単なるコスト削減策ではなく、支援者の存在を社員が認識し、応援してくれる人の輪を広げるという効果があるのです。
財務目標として著者が設定するのは、月次の黒字を積み上げながら、できれば3年以内に黒字化を達成するというものです。壮大なビジョンを語る前に、まず足元の数字を積み上げていく姿勢は、著者は現実主義者なのでしょう。
採用についての助言も実践的です。必ずその人と一緒に働いた経験を持つ人から評判を聞くこと。給与水準は高く設定しすぎず、「執行役員」などの肩書や社内表彰制度で社員の貢献に報いること。
そして採用した人には、自分の得意な分野ほど思い切って任せ、逆に苦手な分野ほど自分でやってみるというアドバイスは、納得できます。苦手な分野を自分で経験することで、任せる際の判断基準ができるからでしょう。
部下を安心させる方法も、簡単です。「最近、どう?」と声をかけるのです。上司としての関心と存在を示して「信頼の積み木を積む」ことなのでしょう。
社員を安心させる魔法の一言・・・「最近、どう?」これで十分です。(p154)
組織文化と上場への道
著者が重視するのが、組織としてのルールとカルチャーの整備です。
著者のオフィスはワンフロアがよいという指摘は、環境が組織の風通しに直結するということなのでしょう。フロアが分かれると情報の流れが遮断され、互いの仕事が見えなくなります。
「掃除」と「挨拶」を大切にするというアドバイスも、細部への意識と他者への敬意が組織に根づいているかどうか、その会社の体質を映し出すバロメーターなのです。
日頃、アドバイスしている内容をまとめた一冊なのでしょう。コンサルティング・フィーとすれば、1500円はあまりに格安です。藤野さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・頭は低く、志は高く(p38)
・「掃除」と「挨拶」を大切にしよう(p158)
・オフィスはワンフロアがいい(p160)
実務教育出版
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【私の評価】★★★★★(91点)
目次
第1章 スタートアップ~信頼できる仲間とともに起業のタネを蒔く
エピソード1. 創業期を乗り越えるために必要なもの
エピソード2. 最初の顧客を見つける
エピソード3. 運転資金を調達する
資金調達についての基礎知識
ベンチャーキャピタルに投資してもらいたい時
主なベンチャーキャピタル一覧
第2章 アーリーステージ~会社の方向性を定めビジネスを拡大させる
エピソード4. 商品の販売戦略を決める
エピソード5. 商品不具合への対処法
エピソード6. 従業員の採用・待遇
第3章 ミドルステージ~企業としての形を整え、ピンチを乗り切る
エピソード7. 組織としてのルール、カルチャーの整え方
エピソード8. 緊急なトラブルへの対応
第4章 レイトステージ~出口戦略を固め、新たな「入口」へ突き進む
エピソード9. 「上場する」ことの意味
エピソード10. 公開上場までの長い道のり
著者経歴
藤野 英人(ふじの ひでと)・・・投資家、ファンドマネージャー。1966年富山県生まれ。早稲田大学卒業後、野村證券、JPモルガン、ゴールドマン・サックス系の資産運用会社を経て、2003年にレオス・キャピタルワークスを創業。取締役・最高運用責任者(CIO)として、成長する日本株に投資する「ひふみ投信」を運用し、高パフォーマンスを上げ続けている。
読んでいただきありがとうございました!
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