「代表作でわかる 印象派BOX」冨田 章
2018/10/12公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(82点)
要約と感想レビュー
■19世紀末の一流といわれる画家は
歴史画やお金持ちの肖像画を
描いていました。
そうした中で
普通の風景を描く貧乏画家たちが
企画したのが「印象派展」です。
最初は酷評されましたが、
10年ほどで印象派は
評価されていきます。
・低俗とされた「現実の情景」を描く・・・19世紀半ばまで・・歴史画を描く画家こそが一流の画家であるとされた。・・・宗教画や神話画も、歴史画の重要な領域であった。そして、高貴な人々を描いた肖像画が歴史画に準ずる地位を占めていた(p13)
■面白いのは第1回印象派展(1874年)が、
写真家のアトリエを借りて開催
されたことです。
現実の世界をありのままに
映し出す写真が一般化してきたときに、
印象派が生まれたのです。
写真とは究極の写実主義であり、
写真が絵画の世界に影響を
与えていたのは間違いないのでしょう。
・第1回印象派展は、写真家であったナダールのアトリエを借りて開催された。少なくともこの時代、絵画と写真とが隣接していたことは間違いない(p115)
■この本では印象派の次の世代、
セザンヌ、ゴーガン、スーラ、
ゴッホといった20世紀につながる
画家も出てきます。
文字よりも絵が多いのが
好印象です。
冨田さん
良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・モネが出品した《印象、日の出》が、ルイ・ルロワというジャーナリストに揶揄されて「印象派」という呼称が定着することになったわけだが、同様の酷評が相次いだために、初回(1874年)参加者の多くが、印象派と同列に見られてはたまらないとばかりにグループを去ることになる(p46)
・タヒチで制作した作品のほとんどが売れず、困窮の中で生活をしていたコーガンのもとに、最愛の娘が亡くなったという知らせが届く。絶望の中でゴーガンは、畢生(ひっせい)の大作を仕上げ自殺を図る。(p205)
・現存する最古の写真は1825年のものだが、写真術が普及し始めるのは1839年のガゲレオタイプ(銀板写真)以降のことである・・19世紀後半には改良が進んで新しい方式が発明され、いっそう身近なものとなった(p115)
・印象派の画家では、ドガが写真を絵画制作に利用したことが知られている。自ら写真機を使って撮影しており、親しい友人たちのポートレートも残している(p115)
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【私の評価】★★★★☆(82点)
目次
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印象派
ポスト印象派
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