「戦略がすべて」瀧本 哲史
2018/09/05公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(84点)
要約と感想レビュー
戦略とは
戦略とは、より少ない努力でより大きな成果を出すための組織の方針です。ビジネスにおいては、自社が勝てる土俵で戦うこと。資源をそこに集中するのが基本です。ビジネスでいえば、誰が経営しても成果を出せる、誰が担当でも成果を出せる仕組みが必要なのです。
例えば、鉄道会社は、鉄道を敷いて、その周辺の街を開発することで、大規模な集客を行い、そこに様々な事業者のビジネスを誘致する戦略でビジネスを展開しています。オリンピックなら「メダルがとりやすいマイナー競技に資源を集中して投入する」という方法もあります。勝てる土俵を作り出すのです。
・どの土俵なら勝てるかを見極め、勝てる土俵を選ぶ・・・楽勝でできることを、徹底的にやる(p95)
「知恵」を使った戦術
しかし、集中するとは、他を切り捨てることであり、普通の日本人には難しいのです。結果して総花的な計画となり、日本人は戦略が弱いと言われてしまうのでしょう。この本では戦略的な方法として、「知恵」を使った戦術も数多く紹介しています。
「知恵」を使ったビジネスとして紹介しているのは、オーストラリアなどで安く土地を買い、その土地を改良し農地として使い易くした後に高値で売却する事例があげられています。それ以外にも報道ニュースを簡単に作るために、ストーリーを事前に作っておいて、それに合うようなエビデンスを探し出す方法も紹介されています。
社内で出世する方法
さらに大学では、見かけの偏差値を上げる手段として、推薦などの「多面的な人物評価」枠を増やすことで、通常の入試の定員を減らす作戦も行われているという。勝つためにライバルの商品をコピーする会社もあれば、ウソでも誤解を与えてもどうどうとCMを打つ企業もあります。FIT電気のように嘘があったとしてもCMとしてインパクトがあり、売り上げさえ上れば違法ぎりぎり何でもありの会社も多いのは事実なのです。
これは、市場の評判を下げるというリスクを会社に取らせて、自分は業績を挙げて社内で評価されることを狙った戦略としています。東芝のパソコン事業の責任者も、粉飾決算を使った同じような戦略を使ったというわけです。
・「市場からの評価」というリスクは会社にとらせ、自分は社内という狭い世界で評価されることを目指し、イニシャチブをとって会社の変化を主導する・・この方策を狙うのが最もローリスクでリアリティがあるのではないかと思う(p88)
良い意味でも、悪い意味でも日本人は戦略に弱いのだと思いました。だから、他流試合で戦略的にやれる人にやられてしまうのです。やれる範囲で真正面から良い戦略を考えていきたいものです。瀧本さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・コンサルティング会社でも弁護士事務所でも・・・・「太い客」を持ってくることが、出世の決め手になる・・素質のありそうな人間をとりあえず大量採用し、才能が開花して顧客を獲得できた人間だけがパートナーになれる(p21)
・「逆をとる」、すなわち自分の仮説と逆の考え方や事実を探し、それがどの程度信頼できるかという、反証的な視点で確認していく・・・ネガティブな評価をしている人達を中心にヒアリングする(p148)
・日本人の組織は、意思決定のまずさを現場の頑張りで何とか解決しようとする。ところが残念なことに、「戦術の失敗は戦略で補うことが可能だが、戦略の失敗は戦術で補うことはできない」(p248)
▼引用は下記の書籍からです。
【私の評価】★★★★☆(84点)
目次
1 ヒットコンテンツには「仕掛け」がある
2 労働市場でバカは「評価」されない ル
3 「革新」なきプロジェクトは報われない
4 情報に潜む「企み」を見抜け
5 人間の「価値」は教育で決まる
6 政治は社会を動かす「ゲーム」だ
7 「戦略」を持てない日本人のために
著者経歴
瀧本 哲史(たきもと てつふみ)・・・1972年生まれ、2019年没。日本のエンジェル投資家、経営コンサルタント。京都大学産官学連携本部イノベーションマネジメントサイエンス研究部門客員准教授、株式会社オトバンク取締役、全国教室ディベート連盟副理事長等を歴任した。瀧本孝雄の子。
戦略思考関係書籍
「ボスコン流 どんな時代でも食っていける「戦略思考」」牧野 知弘
「戦略的思考トレーニング 目標実現力が飛躍的にアップする37問」三坂 健
「続 企業参謀」大前 研一
「戦略がすべて」瀧本 哲史
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