「預金封鎖 あなたの金融口座を国家が奪うとき」石角完爾
2018/09/06公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★☆☆☆(64点)
■国の国債発行残高は880兆円だという。
国債の償還・利払いが23兆円なので、
平均利率は2.6%。
国債の新規発行額も33兆円となっており
もはや国債には頼れない状況に
なっていることがわかります。
現在は、日本銀行が国債を買い入れ、
その残高は420兆円にもなります。
国の借金を国の銀行が
買い入れているので
いずれ清算すれば借金は0(ゼロ)、
ということになります。
・バーゼル委員会による国際ルールの変更で、銀行が持つ国債はリスク資産だとみなす恐れが出てきたのである・・・そこで、日本の市中金融機関は、どんどんと国債を手放しはじめている(p5)
■国の借金(国債)が増えていくと、
場合によってはデフォルト
することがあります。
その場合、国は増税をしたり、
場合によっては預金封鎖を行って
借金を返していくことになります。
しかし、日本の借金は
ほとんどが円建てであり、
日本銀行が買い入れて、
通貨流通量を増やしてインフレに
してしまえばいい。
日本銀行の国債買い入れは、
インフレによる国債の清算を狙っている
ということなのでしょう。
・2001年12月2日、アルゼンチン政府は銀行の全ての口座をフリーズする・・・1ヵ月250ドル相当の引き出しが認められたのみ・・預金封鎖は預金没収よりは軽い措置だが、封鎖期間が12カ月にもなると、その間インフレ率が100%とすると物の値段が12カ月で倍になるから、預金の半分を没収されたのと同じことになってしまう(p250)
■借金は、いずれは何かの形で
支払わなければならないのだと
思いました。
それが増税なのか預金封鎖なのか
ハイパーインフレなのか、
それだけの違いなのです。
私たちはこうした状況に対応し、
自分の資産を維持するために
価値あるものを保有する必要が
あるのでしょう。
それは、金なのか、不動産なのか、
優良企業の株式なのか、
それとも自分自身なのか。
本書自体は状況説明と過去の歴史に
終始しましたので、★2つとします。
石角さん
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・国家が国債を発行し、その国の国民が国債を買う・・ローマ教皇の出した4万2000年債や、近代国家でも30年債(アメリカ)、50年債(フランス、カナダ)、100年債(メキシコ)、永久債などはリスクが高い(p29)
・ナチスはチェコを侵略すると、チェコの銀行にドイツ戦争債を買わせてチェコ国民の預金の70%をかすめ取った(p30)
・国債とは、人々に気づかれずに人民の富を国家権力が略奪するうまいやり口だ。したがって、できる限り外国人に国債を買わせるのが賢いアメリカ大統領といえる(p39)
・オスマン帝国国債は、ついに1875年にデフォルト(債務不履行)に陥った・・・1875年時点で、利払いだけで帝国税収の半分に達するというサラ金地獄に陥った。かくして1299年から続いた偉大な帝国は、1929年に終焉を迎えるのである(p83)
・キプロスの第2の規模を誇るライキ銀行が破綻し、10万ユーロ以上(1360万円)の預金口座については、10万ユーロを超える部分は全額没収となった(p246)
・世界の人口は、2050年には96憶人になる。この世界の人口増加は、資源の需要に100%つなかってくる。穀物にはまだ増産の余地があり、なんとかこの人口増加に追いつくかもしれないが、地中から掘り出す鉱物資源や貴金属、石油、天然ガスについては無理だ。値段が跳ね上がっていくことは目に見えている(p115)
・1933年の大恐慌のとき、ときの大統領フランクリン・ルーズベルトは「全てのアメリカ人は持っている「金」をドル紙幣と交換しなければならない」という緊急銀行法を制定した。同時に「金」を海外に持ち出すことも禁止し、100ドル以上の価値のある「金」はすべて没収された(p126)
・2010年以降のアメリカの個人負債の問題は、教育ローンと車のローンである。大学や大学院に行くのに学費ローンを組む。学校を卒業して働き出しても車のローンを組む。その総額が43兆ドル(5160兆円)になっている(p60)
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【私の評価】★★☆☆☆(64点)
■目次
第1部 浮かれた人々
第2部 宙吊り状態
第3部 苦しみの後
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