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「崩壊 朝日新聞」長谷川熙

2017/10/08公開 更新
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崩壊 朝日新聞


【私の評価】★★★★☆(80点)


要約と感想レビュー

従軍慰安婦問題の捏造

朝日新聞系列の雑誌「アエラ」の編集者として朝日新聞の近くで仕事をしてきた長谷川さんの一冊です。長谷川さんの疑問は、なぜ朝日新聞は、従軍慰安婦問題を裏取りせずに報道し続けたのか、ということです。


朝日新聞社は吉田清治証言を1982年に初めて紹介しています。朝日新聞社はその後も、吉田証言を真実とみなして、この人物を取り上げ続けるのですが、吉田清治の『私の戦争犯罪』(1983年)を読んで、内容がでたらめであることに気づいた人がいます。現代史家の秦(はた)郁彦氏です。


『私の戦争犯罪』では「労務動員(女性狩り)」の「命令書」が陸軍の西部軍司令部から山口県労務報国会へと伝達されています。西部軍司令部が、山口県労務報国会という軍組織でない文民の団体に命令を出す権限はないのです。しかも、朝鮮内のことは朝鮮総督府が行っており、山口県労務報国会に権限はないのです。書かれている日本の指揮命令系統がでたらめなことが、『私の戦争犯罪』を読んですぐわかったという。誰かに確認すればすぐにわかることを、なぜ朝日新聞は報道し続けたのでしょうか。


さらに、朝日新聞大阪本社は1991年(平成3年)8月11日付の紙面で、社会部の植村隆が韓国ソウル発で元朝鮮人慰安婦の一人がソウル市内に生存していることを報じています。金学順の訴状や韓国での本人の記者会見によると、貧困の中で彼女が妓生(キーセン)(芸妓))養成所に母親によって売られ、そこから養父が彼女を大陸の戦地の日本軍慰安所に連れて行ったという内容です。ところが、植村の記事には、事実が記載されておらず、しかも慰安婦と勤労動員の女子挺身隊を同一視し、「『女子挺身隊』の名で戦場に連行され」たとの虚偽が書かれているのです。


・秦(はた)郁彦は・・『私の戦争犯罪』の出版元の三一書房に出版の経緯などを聞こうとしたら、対応した人から「あれは小説ですよ」と言われ、呆気にとられた(p45)


共産勢力が朝日新聞内の勢力と連携

長谷川さんの取材では、状況証拠により、共産勢力が朝日新聞内の勢力と連携しているのではないか、という仮説を立てています。その状況証拠は次のとおりです。まず、朝日新聞社内では、朝日新聞内ではソ連派と中国派が対立するほど、左翼の勢力が幅を利かせ、出世していました。


また、吉田清治と朝日新聞の北畠清秦が連絡をと取り合っているところを、著者は目撃したという。北畠は、「吉田氏のような人は世間の圧力が強くなると日和(ひよ)ってしまう」とか、「違うことを言い出す」とか、「取材するこちらが常に手綱を強く持っていないといけない」などと言っていたというのです。


この朝日新聞論説委員北畠清秦は、慰安婦を裏どりせずに事実と認定し、矛盾を指摘する投稿を非難しているが、若い時、日本共産党に入党しようとしていました。日本共産党員であった北畠の親友だったという人から、北畠が朝日新聞社に1963年に入社し、大阪本社に配属されて二年くらいしたところ、北畠から日本共産党に入党する推薦状を書いてもらえないかと頼まれたという。


なお、慰安婦の嘘の証言を行った吉田清治は、日本共産党から選挙に立候補していました。吉田清治は、戦後、日本共産党から下関市市議会議員選挙(昭和22年4月30日投票)に吉田雄兎の本名で立候補しているのです。


これだけ朝日新聞が、共産勢力に乗っ取られたという状況証拠があるのです。スパイ防止法のない日本では限界があるかもしれませんんが、長谷川さんに頑張っていただきたいと思います。長谷川さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・取材で同席していた中年の華人女性が外に出てきて、・・「シンガポールにいるという日本の朝日新聞の女性の記者が、虐殺は日本軍がやったことにしておきなさい、かまわない、と言ったんです」そして、その女性記者の名前を「マツイ」と述べた・・「マツイ」とは朝日新聞社アジア総局員の松井やよりである・・(p77)


・かつて朝日新聞は1950年(昭和25年)9月27日付で、GHQの指令で公職から追放され、しかし姿を消して団体等規正令違反として全国に指名手配されていた日本共産党中央委員の一人の伊藤律と月光の下の兵庫県宝塚山中で単独会見したという「大特ダネ」を大々的に報じた。ところが、これが虚偽で大阪本社神戸支局員の作り話だった・・(p13)


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【私の評価】★★★★☆(80点)


目次

第一部 過去を「悪」と見る条件反射
 第一章 吉田清治を称えた論説委員
 第二章 マレー半島「虐殺報道」の虚実
 第三章 松井やよりの錯誤
第二部 視野が狭くなる伝統
 第一章 朝日にたなびくマルクス主義
 第二章 尾崎秀実の支那撃滅論の目的
第三部 方向感覚喪失の百年
 第一章 歴史を読み誤り続けて
 第二章 一閃の光、そして闇



著者経歴

長谷川熙 (はせがわ ひろし)・・・1933年東京生まれ。慶應義塾大学文学部哲学専攻卒。1961年に朝日新聞社入社。静岡、新潟の両支局を経て、1988年初めまで経済部で取材、執筆し、次いで、創刊の週刊誌「AERA」に異動。1993年に定年退社したが、その後もフリーの社外筆者などとして「AERA」で取材、執筆を2014年8月まで続ける。2014年8月5日の居直り的な慰安婦報道釈明記事を見て、朝日との訣別を決意。


朝日新聞内部告発関連書籍

「朝日新聞 日本型組織の崩壊」朝日新聞記者有志
「崩壊 朝日新聞」長谷川熙
「朝日新聞の大研究―国際報道から安全保障・歴史認識まで」古森 義久、井沢 元彦、稲垣 武
「「朝日」ともあろうものが。」烏賀陽 弘道
「朝日新聞血風録」稲垣 武


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