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「朝日新聞 日本型組織の崩壊」朝日新聞記者有志

2017/10/09公開 更新
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朝日新聞 日本型組織の崩壊 (文春新書)


【私の評価】★★★☆☆(75点)


要約と感想レビュー

朝日新聞では裏取りしない

朝日新聞記者有志という不思議なグループによる朝日新聞内の実情報告です。驚くべきことは、朝日は最近まで平和運動活動家などからの情報は、そのまま記事にしていたらしいのです。記事の真偽を確認する裏取りは記者の基本・常識と思っていましたが、朝日新聞では裏取りしないとのこと。


慰安婦問題の根拠になった吉田清治氏の証言も裏取りしていなかった。(検証したら偽証だった)吉田調書の誤報(原発作業員が吉田昌郎所長の命令に反し、原発から撤退していたとの誤報)も裏取りしていなかったのです。


・先の大戦に関するいわゆる"平和報道"の際、研究者や平和運動活動家から提供される資料の裏取りなどはせずに記事にするのは当たり前だった(p63)


新入社員は取材妨害や写真の捏造を教育される

驚くべきことは、新入社員は他社の取材妨害や写真の捏造など"図太さ"を教育されること。さらに、吉田調書の原発退避誤報は、意図的に捏造したのではなくエッジを利かせた程度の認識だった。つまり、この程度のエッジ、メリハリ加工が朝日社内では行われているということなのです。


さらに吉田調書問題では、担当次長(デスク)は記事掲載翌日の21日、原発取材経験のある部員からの指摘を受けて、現場にいた所員に取材する必要があると考え、取材記者たちに指示したという。朝日新聞の取材班は、記事が出た後に、現場の取材をしようとしていたのです。


・吉田調書報道について・・彼らは「意図的に記事を加工した」という自覚さえ持っていなかった。許される範囲でエッジを利かせた、記事にいくばくかの大袈裟なメリハリをつけた・・その程度の認識だったのだ(p96)


朝日新聞の人事や官僚的な構造

本書では、こうした問題は、朝日新聞の人事や官僚的な構造に原因があるとしています。確かに朝日新聞の文化というか、組織に浸透しているもののように感じました。朝日新聞記者有志、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・古手の記者からは、自分の肉親の写真を判別不能なピンボケに加工して被害者写真として代用・・アルバムを何冊も遺族から借りっ放しにして他社が写真を掲載できないよう妨害したことなど、さまざまな武勇伝を聞かされ、図太さを身に着けるよう迫られる・・(p29)


・2012年、若宮啓文主筆(当時)が女性秘書を伴って中国に行き、往復のビジネスクラス航空券など巨額の経費を会社に不正請求・・若宮主筆は、ときに「竹島を韓国に」などと過激なコラムで物議を醸した(p195)


・2013年10月16日に発売された『週刊朝日』(10月26日号)に掲載された佐野眞一氏の連載『ハシシタ・奴の本性』が、差別的な表現に満ちているとして橋下大阪市長から猛抗議を受けた。橋下市長の怒りはもっともだった。記事には出生や血脈によって橋下市長を否定するかのうような部分が多数あった(p201)


朝日新聞 日本型組織の崩壊 (文春新書)
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【私の評価】★★★☆☆(75点)



目次

はじめに 朝日新聞社の病巣は何か?
第1章 内側から見た朝日新聞
第2章 吉田調書事件の深層
第3章 慰安婦問題 消された「謝罪」
第4章 権力闘争とモラルハザード
第5章 企業研究 朝日新聞は生き残れるか?


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