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「朝日新聞血風録」稲垣 武

2017/02/25公開 更新
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朝日新聞血風録 (文春文庫)


【私の評価】★★★☆☆(71点)


要約と感想レビュー

親中派の広岡社長

朝日新聞とはどういう会社なのか、朝日新聞の内部はどんな空気なのか、という疑問から手にした一冊です。著者は朝日新聞で整理部長、週刊朝日副編集長を歴任し、50歳で朝日新聞社を退社しました。1991年発行ですので、25年前の本です。中国、北朝鮮よりの報道が続く朝日新聞ですが、その原因は、社長の威を借る中国シンパが社内を牛耳っていたからだという。


社長、常務といった経営者自体が、親中国派・親ソ派だったのです。広岡社長は親中国派で、72年に常務となった秦正流氏は親ソ派だったという。親中国派の社長自らが、秋岡氏のような部下を使って、社内の報道をコントロールしていたのです。コントロールできなければ、左遷するのです。社長がそうした方針であれば、すべての社員はそれに従うのも不思議ではありません。


親中派の広岡社長は、「中国文化大革命という歴史の証人として、わが社だけでも踏みとどまるべきである。そのためには向こうのデメリットな部分が多少あっても目をつぶって、メリットのある部分を書くこともやむを得ない」と社内の会議で発言していたという。1970年には、広岡社長自らが松村謙三自民党代議士の訪中使節団に同行して中国に一カ月滞在し、「中国訪問を終えて」と題する顔写真入りの署名記事で文化大革命を礼讃をしているのであるから、広岡・秋岡批判や文革批判は不可能だったのです。


・中国ロビーじみた記者の一部は、あたかも広岡社長の意を受けて動いているかに装い、彼らを直接的に監督しその行動を掣肘(せいちゅう)しなければならぬ立場の編集局長、局次長、部長クラスまでが、それを敢えてすれば社長の怒りを買うのではないかとの疑心暗鬼に駆られて、放置しておいたというのが真相だろう(p44)


反対の人は左遷か子会社に出向

慰安婦や教科書検定や南京事件といった誤報を続けてきた背景は、持ち込まれた情報の背景を確認せず、関係者への確認もせず、報道してしまったことが原因です。朝日新聞の中にも、偏向報道に反対の人もいたようです。ただ、そうした人は左遷されるか、子会社に出向となったのです。


広岡社長の意向を受けて動いていたのが秋岡特派員です。秋岡は、中国情勢や中国関係のニュースの扱いについて、直接の上司である外報部長や編集局長を飛び越えて広岡社長と直接話をしているとのことで、その威光を恐れて、公然と真正面から反論したり意見を言った人はいなかったという。


秋岡特派員は、外報部時代の同僚だった岡井氏と涌井編集長を社の近くの日劇ビルにあったうどん屋に呼び出して「今のようなことをやっていると、編集長の地位も危なくなるぞ」と露骨に脅していたという。また、秋岡氏は「この記事の内容が正しいかどうかは問わない。中国側は激怒してわが社の特派員を追放する 強硬措置に出る恐れがある」「この前、朝日ジャーナルが問題になったときも、北京の新聞司の担当者は件の号を私の目の前で机に叩きつけた。本体の新聞に迷惑がかかる。その責任をどう取るのか」などと脅して、記事を操作していたというのです。


このように社長や編集担当常務などが中国シンパだから、保身と出世のために追従している記者が殆どで、何となく社内の「空気」が左がかっているから、左翼のふりをしているほうが何かと居心地がいいからに過ぎないという。著者の結論は、朝日新聞もふつうの会社である、ということです。出世と保身のために、社長の意向に沿って業務を実施している。バリバリの共産党員だらけという「空気」ではないのです。


・有能な人材でも村山派の烙印を押されたが最後、次長クラスに至るまで子会社に出向させられるか、閑職に追いやられた。主流である広岡社長派に忠勤を誓わなければ地位の保全もおぼつかないという状況は、さまざまな疑心暗鬼を生み、・・(p46)


新聞とは所詮そういうものだ

こうした朝日新聞社内では、毒ガス偽写真事件のように専門家に聞けば、すぐガセネタだと分かったものも報道されるのです。日中戦争に関する売り込みネタには、怪しげなものがあることは、4カ月前の「南京大虐殺実証写真事件」で分かっていたのです。
著者が、データと論理とエビデンスに基づく分析を避けて、感情的な紙面づくりをするのか、先輩や上司に聞いたところ、「新聞とは所詮そういうものだ。総合雑誌ではないのだから難しい議論を載せても売れない」回答する社員が多かったというのです。


著者が朝日新聞を辞めたのは、朝日新聞は過去の過ちを認めようとせず、現在の過ちについてして指摘されても教科書検定誤報事件のように文部省の検定姿勢を理由にするなど他に責任を転嫁したり、毒ガス写真事件の際に佐竹学芸部長が言ったように「中国戦線で旧陸軍が毒ガスを使用したという事実は動きません」と、写真の真偽から問題をすり替えたりして誤魔化そうとすることが許せなかったという。


やはり会社の方針とは、最終的には社長の方針なのだと思いました。そういう意味では、テレビ朝日は、朝日新聞の系列で役員の天下りが多いので、注意が必要かもしれません。稲垣さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・サンケイ・毎日・西日本の三記者追放の際、北京に特派員を派遣している関係九社で抗議と追放理由の詳細な説明を求める共同声明を出そうということになった際、朝日新聞が脱退までちらつかせて強硬に反対・・(p34)


・時の佐藤政権のもとでは日中関係改善の望みがないという中国政府の意向なるものを繰り返し特派員電として伝え、さらに佐藤退陣後の政権づくりに注文をつける中国側の条件まで伝えている。そして田中内閣が成立すると、「庶民宰相」と最大限に持ち上げた(p66)


・従軍慰安婦問題など、戦後補償の推進キャンペーンを張り、日本罪悪史観に凝り固まっている朝日新聞は、何でもかんでも日本の罪にこじつける体の記事が目立つ(p276)


・朝日新聞に限らず日本の新聞は、農村に茅葺屋根の農家があると、「南」の場合は「貧困の象徴」となり、「北」の場合は「民族の伝統の尊重」となる(p177)


・84年6月6日付の特集で、岩垂氏は、「社会主義国の農業はおしなべて不振だが、その中にあって北朝鮮は農業がうまくいっている国、 というのがわが国の北朝鮮研究者の一般的な見方」と書いている。しかし農業がうまくいっている国でなぜ主要食糧品が配給制が実施されているのか(p185)


朝日新聞血風録 (文春文庫)
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稲垣 武
文藝春秋
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【私の評価】★★★☆☆(71点)


目次

第1部 中国報道への弾圧
第2部 ソ連報道の奇怪さ
第3部 塗りつぶされた「戦争協力研究」
第4部 「風にそよぐ葦」たちの迎合病



著者経歴

稲垣 武(いながき たけし) ・・・昭和9年、埼玉県に生まれる。京都大学文学部西洋史学科(技術思想史専攻)卒業。朝日新聞入社、「週刊朝日」副編集長をへて平成元年退社、フリージャーナリストとなる。「悪魔祓いの戦後史」で第3回山本七平賞受賞。


朝日新聞内部告発関連書籍

「朝日新聞 日本型組織の崩壊」朝日新聞記者有志
「崩壊 朝日新聞」長谷川熙
「朝日新聞の大研究―国際報道から安全保障・歴史認識まで」古森 義久、井沢 元彦、稲垣 武
「「朝日」ともあろうものが。」烏賀陽 弘道
「朝日新聞血風録」稲垣 武


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