「池上彰・森達也のこれだけは知っておきたいマスコミの大問題」池上彰・森達也
2017/02/24公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(78点)
要約と感想レビュー
テレビでおなじみのジャーナリスト池上さんと映画監督の森さんの対談です。池上さんは元NHK記者。森さんはオウム真理教の映画を作ったことがあり、ジャーナリズム業界に一言ある二人です。二人の共通点は、世の中の真実を伝えるジャーナリズムの役割を大切にしていることです。
池上さんはNHKを辞めるときに、「辞めれば、思う存分、原稿に専念できるな」と思っていたらしいのです。テレビに出ているより、本を書いているほうがおもしろい、楽しかったという。
大きな影響力を持つメディアだからこそ、問題も大きくなります。視聴率を重視する民法テレビ。自説で読者を誘導しようとする新聞。国民の空気に左右されるメディア。
池上さんが警鐘を鳴らすのは、太平洋戦争中に日本のメディアは「敵は鬼畜米英」と戦争を煽り、「適性語を学ぶとはけしからん」という風潮を作っていったという。対するアメリカは対日戦争後に、直ちに日本はどういうところかを徹底的に分析したというのです。こうした世論をコントロールするメディアの重要性と、特性を理解したうえでメディアと付き合いたいものです。
・民法テレビの場合、翌日に出る一分刻みの視聴率を見て、その話題・事件のときに数字がどうなるか細かくチェックします。例えば、ある事件を取り上げたら数字が上がるから、・・今日も続報をやろう・・(池上)(p194)
歴史を振り返ると、日本人は必ずしも冷静に事実を分析し、判断する民族ではないと感じました。だからこそ、世の中の動きを伝えるメディアに求める期待が大きくなっているのでしょう。
森さんが警鐘を鳴らしているのは、推定無罪なのに容疑者の顔写真をさらすメディアの無責任さです。さらに被害者の顔写真まで当たり前のように出す国は少ないという。残念なことです。池上さん、森さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・「イスラム国」による人質事件で多くの人が日本人二人の安否を心配しているときにも、「イスラム国」の中では千何百人人が虐殺されているし、アフリカでは何千人が餓死している(森)(p45)
・閉ざされた中で何か議論すると、強硬な意見を言った者が必ず勝つんです・・「おまえは臆病者だ」「尻込みしやがって」「忠誠心が足りない」「なんで徹底的に闘わないんだ」と言われると、強硬論が勝つ。(池上)(p203)
・大学で一番深刻なのは、四月に地方から真面目な学生が来たときに、カルト集団にひっかかってしまうことです(池上)(p132)
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【私の評価】★★★☆☆(78点)
目次
1 メディアを知る
2 メディアの「力」
3 メディア・リテラシーの想像力
著者経歴
池上彰(いけがみ あきら)・・・1950年、長野県松本市生まれ。ジャーナリスト・東京工業大学教授。73年、NHK入局。報道記者として松江放送局、呉通信部を経て東京の報道局社会部へ。「週刊こどもニュース」でお父さん役を務め、わかりやすい解説で人気を博する。2005年に独立
森達也(もり たつや)・・・1956年、広島県呉市生まれ。映画監督、作家。明治大学情報コミュニケーション学部特任教授。テレビ・ドキュメンタリー作品を多く製作。「A2」では山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞。2011年、『A3』(集英社インターナショナル)で講談社ノンフィクション賞受賞
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